えぴそど57 方針
起きた。
よほど寝苦しかったのか、途中に二度三度うっすらと起きた記憶がある。目を開けて周りを見渡してみると、見覚えのある部屋の中に居た。
自宅のリビングだ
うっ!頭が割れそうに痛い。気持ち悪くて吐きそうだ。おしっこもしたい。だがトイレがどこか分からない!
リビングの床には、トモとヤッパスタも寝ていた。
周りには酒瓶と衣服が散乱しており、俺もヤッパスタも素っ裸だ。
ともかく昨日の事をよく思い出すんだ俺。
たしか、酒場に居た俺達はハイペースで酒を呑んでいき、少女が眠そうだったので、ユージリンとメイエリオが一緒に連れて帰って…
そこから…そこからどうしたんだっけ…。
そう、気付けばヤッパスタと二人裸で大の字だ!
きっついわそれ!おっさん二人の裸はきつい!
つかいい加減ベッドで寝かせろおおおおお!
「お目覚めになられましたか?」
声がする方を見ると、コノウさんが水を持って立っていた。
「随分と飲まれましたね。いくら忠告しても、こちらで寝られると言うのでそのままにさせて頂きました。」
「あ、ああ。すみません。いきなりこんな醜態を晒す形になってしまって。」
俺は裸のまま水を受け取り、喉に流していった。
「メイエリオ達は?」
「メイエリオさんとシュナさんはお部屋でまだお休みされております。ユージリンさんはトレーニングだと走りにでかけました。」
「シュナ?…ああ!あの女の子か。そういえば名前聞いてたな。」
とりあえずみんな無事な様だ。
トモも起きてこちらを見ている。俺はそのままヤッパスタも起こし二人で風呂に入ることにした。
「さぁ、みんな揃ったらこれからの予定を話していこう。」
「分かった。だけど旦那。旦那には何かこれからの目的があるんですかい?」
「ああ。あるにはあるんだが、まだ具体的にどうこうできる状態じゃないんだ。その時が来たら話すよ。」
「了解だ。ともかく俺は旦那の役に立てる様に頑張るからよ。」
「頼もしいな。期待してるよ。」
俺達は酔いを覚ます為にゆっくりと汗をかき、風呂からあがる。
リビングに戻ると、部屋は清掃されており、庭ではトモとメイエリオ、シュナが遊んでいた。
ちょっと待って。
よく見たらシュナあれ猫耳ついてない?え?
昨晩はずっとフードを被っていたから気付かなかったが、どうやらシュナは獣人だった様だ。まぁ、大した問題では無いので基本スルーする。
しばらくしてユージリンも戻ってきた為、少し遅めの朝食を食べる事にした。
「みんな、昨晩はお疲れ様だったな。今後の事について話をしておきたい。」
「それよりコースケ。あまり言いたくは無いが、昨晩の様な呑み方をしていると身体を壊すぞ。」
「1時間経たない内に空のジョッキが並んでたもんね。」
「う…わ、悪かったよ。なにせ久しぶりだったからな。次から気をつけるよ。」
前世の自分が酒の呑み過ぎで死んでしまっているので、今後はしっかりと自制をしていきたい所だ。
「それで、今後の方針として確認しておきたい事がある。まず、メイエリオとユージリンはこの後どうして行くんだ?」
俺が問いかけると、二人は顔を見合わせる。
先に口を開いたのはユージリンだった。
「まずはコースケとメイエリオに魔力操作について教えて行ければと思っているよ。生活の事もあるから合間合間に狩りが出来ればいんだが。」
「私もそんな感じかな。とにかく今は、強くなる必要があるから修行と狩りの往復だね。」
「そうか。一先ずこのまま行動を一緒にしてくれると言うのなら、是非この家を拠点にしてくれると助かる。」
「それは願ったり叶ったりだが、宿代を出せる程余裕がある生活をしていないぞ。」
「ははっ、今更お金を取ろうなんて思っては無いさ。俺も狩りに行って稼いで行きたいしな。ダンジョンなんかにも潜ってみたい。」
ヤッパスタとトモは俺の行動に強制的に付いて来させるとして、メイエリオとユージリンも一緒なのは心強い。
「ダンジョン…正直コースケがいるなら行けるのかな…。」
「ああ、旦那が居れば間違いなく深層まで行けるぜ嬢ちゃん。見た事も無いようなお宝に出会えるかもしれねぇ。」
ん?この口ぶりだと、この世界のダンジョンは結構危ないのか?存在は聞いているが、まだ一度も見たことが無い。
ファンタジーの定番として、ダンジョンに潜らない冒険はありえないだろ。魔力操作が落ち着いたら是が非でも行くしか無い。
「そして、シュナ。君はこの家で家政婦として働いて欲しい。もちろん自分ができる範囲で無理をしなくても構わない。給料だって出すつもりだけどどうだい。」
「かせいふ?分からないけどなんでもやる。私にお仕事下さい。」
おお。昨日よりめちゃめちゃ喋る様になってる。
メイエリオがずっと一緒に居てくれたお陰で、人馴れしている様だ。
彼女の経緯についても聞いている。
彼女は少し勘違いをしている様だが、話の筋からどうやら半年前に口減らしをされたみたいだった。
それからはゴミを漁り、ギルドに置いてある本を頼りに薬草を集め、商会でお金に換えていた。
今後は危ない森に入る必要は無い。
ここで安全に仕事をしていけばいい。正直これは俺の自己満だが、こういう角度で世界を知っていくのもいい経験だろう。
「よし。じゃぁ今後の方針として、午前中に俺とメイエリオがユージリンから魔力操作を習って、午後からは皆で狩りに出かけよう。魔力操作も落ち着いたらダンジョンに入ったり、依頼を受けていくってのでいいかな。」
「俺は問題無いぞコースケ。」
「私も大丈夫!」
「俺は旦那に付いて行くだけだからな。」
こうして本格的に冒険者として
動き出す事になった
はずだった…




