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えぴそど51-勇12 精算の蕾

カクトは腰に携えている皇帝から直々に渡された剣を抜く。マンティコアを3体を残し、〈廓〉以外のスキルがクールタイムに入っており使えない状態だった。


〈廓〉は雑魚を殲滅するには都合の良い技だが、威力が物足りない。


ここまでは順調に来たものの、せめて〈歪〉が使えないと苦戦を強いられる事が見て取れた。


こういう場面になる程、魔力操作が出来ないカクトに取って、新たなスキルの獲得は急務に感じられ、苛立ちを募らせていた。


兵士達は残り50人前後だろうか、2体のマンティコア相手に盛り返しつつある。


ならば、一旦ジョリーアンと合流し確実に一体を仕留めていくのが最善と思われた。


カクトはジョリーアンの元へ走る。


「2人とも無事か!」


「はい…!ですが…もう魔力が…。」


「カクト~スキル残ってる~?うわっと!!あっぶな~…こいついい加減仕留めて欲しいかも~!」


「〈廓〉しか使えない!〈強化〉はもうすぐだ!〈歪〉が戻るまで一緒に戦うぞ!コルピナは回復するまで下がっていろ!」


カクトが加わると2人の連携が上手く回りだした。


飛び立とうとする際には〈廓〉を使い、攻撃を出さればジョリーアンが受け流す、その隙にカクトが剣撃を入れる。


更に、スキルの殆どが溜め技のジョリーアンに取っては、ここからが本領発揮と言わんばかりに、惜しげも無く披露していった。


コルピナは魔力が殆ど無くなっており、やや離れた所で回復に努めている。


カクトは〈身体強化(鬼)〉が使えるようになると直ぐに発動し、更に攻撃を重ねていった。


しかし、名剣とは言え〈歪〉と比べると切れ味の差が歴然であり、倒すのには時間が掛かってしまう。


「カクト~!!アイアンメイデンも使うからちょっとだけ守って~!」


「分かった!」


ジョリーアンが大錘を地面に突き刺し集中し始める。

足元に大きな白い魔法陣が現れると、魔法陣の縁に沿い、内外にトゲが付いた光の壁が創り出された。


更に、頭上より人形の様な無機質で大きな顔が徐々に落下し始め、一つの場所に完全にマンティコアを閉じ込める。


「カクト~!!」


「ああ!!」


移動範囲を制限されたマンティコアは、飛ぶことが出来ない為カクトの剣撃を諸に受けてしまう。


「ボォォォォォォォォ!」


羽と尻尾を失いつつも、マンティコアは術者であるジョリーアンを狙い突進する。


だが、身体強化をしたカクトの移動速度の方が早く、ジョリーアンの前に立ち塞がると、マンティコアが振り上げた右前足に剣を振り胴体から切り離した。


「行けるぞ!ジョリーアン!あいつはもう飛べない!畳み掛けるぞ!」


「あいよ~!!」


ジョリーアンはアイアンメイデンを解除し、再び大錘を手にマンティコアに飛び掛かり攻撃を重ねる。


徐々に削られたマンティコアにカクトがトドメとばかりに首元に剣を突き刺すと、巨体を大地へと委ね倒れた。


「次に行くぞ!コルピナ!どうだ!?」


「おそらく…数回分の…強化と回復は…使えます…!」


コルピナの声に頷くと、兵士達の方にいるマンティコアを確認する。残り2体。兵達は残りが30人もいない状態だ。


周りに死体が溢れ、兵達は移動や攻撃が制限されてしまっている様に見えた。対するマンティコアはお構い無しに踏みつけていく。


カクトの身体強化は再び切れるも、〈歪〉の使用まで残り数分と勝機を見出していた。また、あと1時間も経たない内に〈禍〉の使用も可能となる。


「ジョリーアン!手前を片付けるぞ!コルピナ!俺とジョリーアンに強化だ!距離は取っておけ!」


「分かりました…!」


「ジョリーアン!兵達に指示を出せ!こちらに近づけさせるな!」


「ういよ~!全員聞けー!!!こちらは勇者様と私が引き受ける!!距離を取りそちらの一匹に集中されたし!!!」


兵士達はその声を聞くと『おー!!!』等と声を上げ一斉に奥に走りだし、死体が密集する場所から離れつつ攻撃を続けていった。


「コルピナ今だ!」


「はい…!」


コルピナがカクトに指示すると、コルピナの強化魔法が2人に当てられる。同時にカクトは〈歪〉を発動し光の刀を握り込み、マンティコアに斬りかかった。


だが、戦いから1時間以上が過ぎ、カクトにもジョリーアンにも疲れの色は見え隠れしている。


「ジョリーアン!グランドスラムを使えないのか!?死体が邪魔だ!」


足場が悪い状況にカクトは苛立ち、地面を抉る大技で周りを吹っ飛ばす事を提案する。


「だめだめ~!使えるけど~命を賭して戦った者達に向けて放つもんじゃないよ~!!」


「只の死体だ!早くこいつを殺さないと俺達も危ういんだぞ!」


カクトとジョリーアンはマンティコアに攻撃を加えつつも、お互いの意見をぶつけあっていた。


「それでもだ~!それでも勇気ある者達を無下にはできないよカクト~!それなら距離を取るか〈廓〉で足場を────」


「もういい!」


カクトは更に苛立ちを見せ、マンティコアに立ち向かっていく。この速さの魔物に対し、〈廓〉で足場を作りながらの戦いは隙を与えてしまう可能性があった。


また、〈歪〉を巨大化しての一刀両断は破壊力こそあれど、普通に振るってしまえばこの魔物では避けてしまう。


その隙を作るはずのジョリーアンが、死体を気にして上手く立ち回れていないのだ。


「ぐぅっ!!!!…………ぶはぁ!!」


「ジョリーアン!」


マンティコアの2つの尻尾による連撃と爪のコンボがジョリーアンに直撃してしまう。


ギリギリで大錘を身体と爪の間に引き入れるも、どうやら肋骨が幾つか折れている様であり、血を吐きながら膝を突いてしまった。


「コルピナ!すぐに回復とジョリーアンを下げろ!」


「はい…!…………ジョリーアン…!こっちへ…!」


駆け寄ってきたコルピナの肩を借り、ジョリーアンは苦しそうに先ほどまで戦っていた場所にまで後退した。


「うっ!…………はぁ…はぁ…はぁ…ちっ!」


カクト自身も腕に力が入らなくなってきている。

コルピナのかけた強化魔法の効果が切れると、一気に疲労感に襲われた。


兵達は十数名程になっており、マンティコアにはまだ致命傷すら与えられていない。


「あと…はぁ…はぁ…36分…。」


カクトは再び〈身体強化(鬼)〉を発動する。

身体強化には回復効果は無い為、次に切れた時の反動は計り知れないものとなる。


それでもカクトは意を決し、再びマンティコアに斬りかかった。



「ぶっ殺してやる!」

ここで勇者編に一区切りつけるつもりが

また長くなってしまいもう一話だけ続きます

お付き合いください


そうですね

主人公の影がうっすいですよね

ふふふ 分かっていますとも


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