えぴそど43 力持ち
10月1日よりこの物語は煙草の増税の影響により
平日のみの投稿となります
予めご了承をくださいm(_ _)m
「コースケ!やったな!最後はダメかと思ったぞ!」
「凄いよ!ほんとに凄いよコースケ!」
「流石で御座います。ネームドを一人で倒されるなど勇者や拳王クラスですよ。」
「旦那ぁ!俺ぁ感動したぜ!すげぇぜ!」
「ハイロックオーガを一人でねー…。」
「あ、ああ。ありがとう。それよりみんな、あの狼を助けたいんだ。手伝ってくれないか。」
直様、フルブライトさんは狼に向け回復魔法をかけ、ハピスさんは狼に何か注射をしてくれた。
「ひとまずこれで大丈夫だと思うよー。」
狼の意識はあり、助けようとしているのを理解しているのか、特に警戒したり抵抗する様な事は無かった。ただし、木に押しつぶされ呼吸は荒く辛そうだ。
問題はその狼に倒れかかっているこの大木だ。
「フルブライトさん、魔法でなんとかできませんか?」
「攻撃魔法であればどけることは出来ます。ただ、ハティにも当たる恐れもありますし、ズレ方によってはより一層傷つけてしまうかもしれません。」
「そうですか…ユージリン、剣のスキルで切れないか?」
「俺もそれを考えたが、木の向きが悪い。端だけを斬るにしてもハティに当たってしまうかもしれない。」
「やっぱり無理か…ん?待てよ。そういえば…。」
俺は先ほどの鬼の討伐で得たスキルの中に、身体強化がある事を思い出した。もしかしたらこれでいけるかもしれない。
「みんな少しだけ下がっていてくれ。一つ試してみたい事がある。」
何が起こるか分からないので、念の為皆と距離を取る。そして【すきる】を開き、〈身体強化(死神)〉の発動を念じた。
身体に力が漲った感じがしたので成功なのか?若干だが皆がひいている様にも見える。
だが、そんな事より狼だ。
俺は木を掴むと持ち上げてみた。
「んぎぎぎぎぎ!!!!」
結果から言うとビクともせず、全く持ち上がらなかった。
「なんだよこれ!全然駄目じゃん!!」
身体強化と銘打っている割に、普段と全く力が変わっている気がしない。どこを強化してるんだよ!
「身体強化というスキルを獲得したんで使ってみましたが、無理でした…。」
「そうですか、見る限り発動はしている様ですけどね。やはり一か八か私が魔法を使ってみるべきでしょうか…。」
「おっしゃ!俺がやってみよう!」
どうしたものかと考えていたら、ヤッパスタが木を抱きかかえ手で持ち上げようとした。
「ぬぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃ!!!」
「う、浮いた!!」
「ぎぃぃぃぃぃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
若干だが巨木が浮き始めている。
線は細いヤッパスタのどこにそんな力があるのか。
直ぐに全員でヤッパスタを手伝い、木にありったけの力を注ぎ持ち上げていく。
「んぐぐぐ!!もう少しで抜けられそうだ!が、頑張れみんなぁぁ!!!!」
俺の鼓舞から間もなく、隙間から狼は自力で抜け出し、毛についた土を身体を振るって落としていた。
「ぜはぁ…ぜはぁ…だ、旦那ぁ…ちったぁ役に…立っただろ…ずはぁ…ずはぁ…」
「はぁ…はぁ…ああ…はぁ…ヤッパスタ…お手柄だ…はぁ…はぁ…」
フルブライトさんとハピスさんの2人の処置により、狼は自力で立ち歩く事ができている様だ。そのまま俺達の顔を見渡すと、爆風で吹き飛ばされた仲間の死体に駆け寄り、顔を舐めている。
「さて、急いでブーメルムに戻りましょう。」
「あのオーガの素材はどうするの?勿体なくない?」
「ああ、確かに嬢ちゃんの言う通りだ。肉は食えないが、牙や爪、それにあの武器はお宝級だぞ。何だったら頭蓋骨や手足の骨そのものだってかなりの価値がある。」
骨の素材と言っても、この鬼の骨か分かるのだろうかと疑問に思っていたが、あの武器は確かに高く売れそうだ。
だが、巨体の鬼が使っていただけあり、その大きさは柄の部分だけで172cmの俺と同じくらいある。さらに頭の部分は、まるでトールハンマーの様になっていた。
「そうですね…では急いで牙と爪、後は持てる分の骨の採取を致しましょう。あの金槌は残念ですが今の我々では運搬する方法がありません。」
「ん?ちょっと待て。運搬できたらいいんだよな。」
ヤッパスタはそう言うと金槌の所に歩いて行き、ひょいと持ち上げた。
「ヤ、ヤッパスタ!持てるのかそれを!?」
「あ?にいちゃん~さっきの木に比べたらこんなもん大した事ねぇよ。それに、俺は大盾使いだったんだぜ?これくらい余裕だー!なっはっはっはっはー!」
「凄いねヤッパスタ!力持ち!」
「嬢ちゃんありがとうよ!ちーと振り回すには重たいが、訓練すりゃこれで戦う事もできそうだぜ。」
「でも街に戻ったら処刑なんでしょー残念だねー。」
場の空気が一瞬凍った
この女まじで空気読む能力が皆無なのか?読んだ上で言ってるのか?わざとか?そうなのか?
「さぁさぁ、みなさん。急いで準備をしていきましょう。」
フルブライト先生だこれ。
先生は手をパンッ!パンッ!と叩くと、それぞれが分担し鬼の解体を始めていった。
俺もメイエリオに預けていたエブリンの短刀を受け取り、鬼の足を切ってみる。
いや、解体ってまじまじ見ると結構グロいんですけど。みんなよくそんな普通の顔してやれるね。
メイエリオなんて鬼の顔の解体してるんだけど…
頭蓋骨採取の為に顔の皮を剥いでるんだけど…
え、ちょっとなに?あの子たくましすぎない?
「康介ーちょっといいかなー。」
俺はハピスさんに呼ばれ振り返ると、急に抱きつかれた。真正面から2つの大きな水風船が俺を挟み込む。
「ちょっ!急になんですか!!」
驚きを隠しきれず動揺するも
抵抗する事無く鼻息が荒くなる自分がいた
スケさんカクさん
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死神:什造 じゅうぞう
貧乏神:丞之座 すけのざ
疫病神:郭東 かくとう
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郭「どうする丞之座。憤怒をあのまま野放しにすると良い事ないと思うぞ。」
丞「まー今ところは俺の陣地に居ても敵対してる感じでな無さそうだし放置でいいんじゃないかと思ってきたわ。」
郭「な!?お前!あのオカマと組んで帝国壊そうって魂胆じゃねーだろうな!」
丞「は!?お前!あのオカマと組んで仲良くするとか死んだほうがマシだろ!」
郭「それもそうだな。」
丞「で、残りの嫉妬のスキルは決まったんだし、誰にするのかは決めたのか?」
郭「秘密だろ流石に。」
丞「ケチっ。」




