表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/258

えぴそど42 泣いた黒鬼

ハ「ねぇ彼さ、なんですぐ裸になるの?」

メ「……気にしちゃ負けよ…。」

ユ「ノーパン健康法という特訓らしい。」

ヤ「いや、だから聞いた事ねぇって。」

鬼は金槌を大きく振りかぶると、俺では無く俺の足元、地面に向かい金槌を勢い良く振り下ろした。


振り下ろす前にはスキルを使ったのか、鬼の腕が一回り大きくなり、地面に魔法陣が展開された。


そのまま金槌が打ち抜かれると、地面は一瞬強く発光し大きく弾け飛んだ。


その衝撃は余りにも激しく、飛んできた岩の破片等は強肉弱食では弾かれず、俺のアイアンボディに当たってしまう。


身体に当たった殆どが土だった為、多少の切り傷などで済んでいるが痛い。股間は太ももで咄嗟に挟んで無事な様だ。


だが、問題はその爆風と衝撃で、身体が空中に高く巻き上げられてしまった事だ。



しまった

いやこれやばい



強肉弱食はレベルの高い相手からの攻撃を弾く、だが自然落下する衝撃には関与してこない。それはタルガージ達と揉めた時に証明されている。


この高さから落ちれば流石にやばい!ヤバすぎる!どうすればいい!どうする!どうしたら!!


徐々に近づく地面に焦りが募る中、俺の身体は柔らかい何かとぶつかった。


「ぐぇっ!」


俺はまだ落下中だ。

だが、その身体は狼の背に乗せられていた。


「お前…なんで…」


『わふっ』


狼はこちらを見ると小さく吠えた。

舌を出し口を開いたその表情は笑っている様に見える。


「……ははっ!よし分かった!ヤろう!2人で!」


狼は魔法を使っているのか魔法陣が出ており、下から風が吹き上げていた。その逆風を使い、軽やかに地面に着地する。


鬼が打ち抜いた地面は大きく抉られていたが、こちらが着地する頃には既に走って距離を詰めて来ている。


そして再び地面に魔法陣が現れ、先ほどの攻撃を繰り返そうとしていた。くそ!連発できんのかよ!


「あっちだ!あっちに跳んでくれ!」


俺はなぜか言葉が通じている気がし、指を指しながら狼に指示を出す。狼に通じたのかは定かでは無いが、指差した方向に向け風魔法を使い高く跳んでくれた。


再び起こる衝撃派


狼は風を上手く使い空中を駆け、鬼と距離を取った場所に着地した。


土煙の中から走ってきた鬼が現れるも、この距離があれば鎌を使っても狼を傷つけない。


『b』ボタンはまだ回復していないが、〈小かま〉で充分だ。始点終点を素早く決め、〈けってい♡〉を押す。


空間が揺らぐと鎌が一気に伸びた。

だが鬼の走るスピードに角度が合わず、外れてしまった。


「くそ!その図体で速すぎんぞボケぇ!」


距離がかなり詰まってしまったが、もう一回だ!始点終点!〈けってい♡〉!!!!


しかし、今度は鬼に避けられた。


そう、明らかにこいつは今避けたのだ。

確かに空間の揺らぎは目に見て分かる、だが鎌が出れば瞬きの間も与えぬほど瞬間的に刃が伸びる筈。


こいつはその僅かな揺らぎから、攻撃角度を判断し避けたって言うのか!?


鬼の足元に魔法陣が現れ金槌が光ったかと思うと、柄の部分に光る鎖が現れた。鎖鎌成らぬ鎖金槌だ。


鬼は走りながらそれを振り回し、大きく湾曲しながら薙ぎ払う様に放ってきた。木々を次々に抉り、俺の所にも到達する。


『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


そのまま距離を更に詰められ完全に鬼の攻撃間合いに達するが、焦る必要は無い。強肉弱食に今日も感謝…


────ドンッ!


「ぐぅっ!」


急に横から衝撃を受ける。

見ると、狼が俺に体当たりをしていた。強肉弱食が反応していない。そもそも、なんで急に狼が────


よろけながらよく見ると、後ろから大木が4本まとまり、俺の居た位置に倒れてきていた。


そのまま木に押し倒された狼は完全に挟まってしまい、身動きが取れていない。俺が状況を理解する間も与えぬまま、鬼の蹴りが狼の顔に炸裂する。


血飛沫を吐きぐったりとなる狼

狼は俺をかばってくれたのだ


狼の事が心配だが、今は一刻も早くこの鬼を倒す方が先決だ。鬼の後方、離れた所にはみんなの姿が見えた。メイエリオが不安そうな顔をしているのが分かる。


まず、この鬼は頭が良すぎる。

おそらく、直接攻撃は効かない事を既に理解している筈。そして、直接攻撃で無ければダメージを与えられる事も見抜かれている。


「へっ…大見栄切ってこれじゃぁ格好悪いよなぁ!」


俺は今までスキルに甘えすぎていた。

もちろん、補うために短槍も練習しようとは思っている。それでも、一朝一夕で補えるものでは無い事は重々承知だ。


少しくらい知能があるとは言え、魔物程度に鎌と強肉弱食の弱点をつかれたのはかなりショックだ。


だが


勇者や魔王、賢者に拳王。

対処しなければ成らない猛者達が俺の道の先に待ち構えている。こんな所で気後れしている場合じゃない。


俺の覚悟を示せ


「この戦いが終わったら街に帰ってベッドで寝るんだあああああ!!!」


俺は鬼に向かい走り出した


鬼は距離を取りながら、鎖金槌で頻りに周りの岩や木を攻撃している。その破片が飛んで来る度、俺の身体に生傷を作り出す。


宛ら岩のショットガンだ。

俺は破片を浴びながらも足は止めず走り続ける。


鬼のすぐ眼前まで来ると、俺は鬼の脛にしがみついた。さぁ!どうだ!


鬼は振り払おうと必死に足を振り回すが、俺はありったけの力を振り絞りガッチリと掴んで離さない。


続いて、鬼が金槌で俺の背中を攻撃しようとした瞬間、俺は手を離し横に跳んだ。


対象の居なくなった金槌は慣性に従い、鬼自身の足を殴りつける。自爆である。


「ガァァァァァァ!!!」


明らかに痛がっており、膝を着いてしまう鬼。

すぐに見失った俺を探し辺りを見回す。真後ろを向くと俺と目がしっかりと合った。俺は既に〈小かま〉をセット済みだ。


俺の方を向いた鬼の顔は

どこか泣いている様にも見えた



「またな、ぐっすり眠れ。」



────シュッ!!



【経験値50000を獲得しました】

【特殊指定モンスターの討伐により以下の条件を満たしました】


【称号〈鬼退治〉を獲得しました】


【称号〈鬼退治〉により〈グランドスラム〉がスキルに追加されました】

【〈契約〉により〈グランドスラム〉がスキルより消去されました】


【称号〈鬼退治〉により〈高位土魔法〉がスキルに追加されました】

【〈契約〉により〈高位土魔法〉がスキルより消去されました】


【称号〈鬼退治〉により〈身体強化〉がスキルに追加されました】

【〈契約〉により〈身体強化〉は〈身体強化(死神)〉に変換されました】



無機質な声のアナウンスを聞きながら

俺は鎌で飛ばされた鬼の首をただ眺めていた

神々の雑談3

**************

死神:什造 じゅうぞう

貧乏神:丞之座 すけのざ

疫病神:郭東 かくとう

**************

丞「じゃーよ。こういうスキルはどうよ。」


郭「ふんふん、おーえげつねぇな。でもま、いいんじゃないか。俺は賛成だ。」


什「う…んー。これって私すんごい不利じゃない?」


丞「元々はお前が原因だろ。これくらい認めろよ。」


郭「そうだ!そうだ!あ、ちなみに俺の見てくれよ丞之座。」


丞「おー!いいじゃねーか。俺は賛成だ。」


什「ちょ、ちょっと!せめてここはこうしてもらわないと!」


郭「おいー!ふざけんなよ付ける前より弱体化するじゃねーか!」


什「わかーったわよ!じゃぁこうして頂戴!その2つを認める代わりに、康介ちゃんのスキルにこれとこれを付け加えさせて!」


丞「オートエイムは分かるが、このバーストって能力要るか?」


郭「ぷははは!本人まで遅くなってたら意味ねーだろ!」


丞「そもそもまだ転移させたばっかで日も経ってねーし、スキルいじるの早くね?」


郭「まーいいじゃねーか。ははっ。俺は賛成だ。」


丞「郭東がそう言うなら…俺も賛成でいい。」


什「ありがとうね♡じゃさっそく行ってくるわ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
良かったらポチって下さい!
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ