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えぴそど38 Judgment Day

コースケと合流し挨拶をするが、彼はなぜだか少し不機嫌そうだった。この独特な格好といい、やはり何か隠しているのかもしれない。


その後、エブリン商会にて彼の身の回りの物を揃えて行くのだが、ギルドから一軒家を贈られると聞き本人は驚いている様子だ。


おそらく、監視する為の仕掛けを作っているのかもしれない。そうなるとこの依頼はその時間稼ぎか。


そうしてギルドへ行き、ジャクシン様より依頼内容の説明を聞いた。


『ワイルドオーク』の討伐。

確かに俺とフルブライトさんがいれば倒せる相手だろうが、メイエリオと冒険者成り立てのコースケには危険だと思う。


ジャクシン様に質問するも、返ってきたのは俺とメイエリオはリハビリを兼ねての付添との事。俺は問題無いが、メイエリオには早めに復帰できる様に地を固めてあげるのが懸命だ。


コースケ自信も依頼を承諾し、俺達は街を出てワイルドオークの出るブロスの森へと向かう。


雑談を交えながらの道中、コースケはエブリン商会で貰った槍の型をフルブライトさんから習っていた。


本人は初めてだと言っていたが、得物の動かし方が素人に感じない。本当は元々槍や棒状武器の経験があるのではなかろうか。


コースケはフルブライトさんの指示で、街道を外れた所に行くコボルトに挑む事になった。


結論から言うと、目が非常に良く、教わった事をすぐに実践できるセンスがあるのだと感じた。


如何に型を習えども、あくまでそれは理想の物である。何千何万と繰り返し対処する一つになる。それをパターンは少ないにしろしっかりと行えている。


また、相手の攻撃を恐れず向かっていき、ギリギリの所で避ける。最初の攻撃は完全に当たったかと思ったが何故かコボルトの方が弾かれていた。


彼は単純に槍を楽しんでいる。

俺の疑心は少し晴れたのか、気付けば勝利した彼に笑顔を送っていた。


それから、彼にキャンプ地での組手の稽古を提案した。理由は2つある。一つはどこか警戒している彼と距離を詰められればと思ったから。


もう一つは強くなる彼をもっと見たいと思ったからだ。


「コースケ。足元を見すぎだ。自分の間合い、相手の位置、周りの状況を素早く判断しないと。」


「わ、わかってる!うぉ!でも、うわ!とと、あぶねー。」


俺は覚えのいいコースケに対し、オーソドックスな剣の攻撃パターンをゆっくり繰り返していった。時折イレギュラーな攻撃を混じえても、その目でしっかりと追い対処している。


「どうだ、魔物と人とでは全然違うだろ。」


コースケ自身にも攻撃をさせ、どう受けられ、どう回避するかも見せてやった。これで二の手、三の手を見つけやすくなる。


しかし、不意にされた彼の質問に動揺してしまった。


「うぉ!っと、じゃぁなんで冒険者になったんだ?」


「それは…」


一瞬、メイエリオの笑顔が浮かんでしまう。


「すきありー!!!!」


コースケは見え見えの大振りで縦に振り抜いてくる。普段なら横に躱す所だが、動揺した所為か咄嗟に剣で受けてしまった。


「くっ!」


本気では無いにしろ、重たい攻撃だった。

彼は見た目に反し膂力がかなり高いのだろう。なんとかそのまま受け流したものの、槍はそのまま地面に当たるか当たらないかの所で切り返して来た。


「掛かったな!ここだぁぁぁぁぁ!!!」


「甘い!」


面白い発想だ。

ちゃんと二の手を考えて攻撃されている。彼はどんどん強くなる。ただ、その叫ぶ癖をなんとかした方がいい。バレバレだ。


俺は切り返しの攻撃を剣で受け止めた。


「おおーい!そろそろ出来るよー食べよー!」


メイエリオの料理が出来た様だ。俺達は食事を終えるとテントで夜を明かし、翌朝ブロスの森へと入っていった。


ちなみに、料理は涙が出てむせる程美味しかった。



森へ入りしばらくすると、盗賊の襲撃に遭う。

直後、コースケが後退する様に指示を出したが、相手は7人。分が悪すぎる。彼の槍術ではまだ複数との対人戦は厳しい。


「俺も残る!」


彼をこんな所で死なせるには惜しい

もっともっと強くなる彼を見ていたい


いつしか彼の成長を楽しみにしている自分がいたが、メイエリオが俺の肩をポンっと叩き遠くを見る目で『大丈夫よ。』と言ってきた。俺は意味が分からなかったが、すかさずコースケが叫んだ。


「ユージリン!メイエリオを頼む!」


そうだ、彼女を守ると決めたのだ。

コースケにも意地があるのだろう。いや、メイエリオの態度からして勝機があるのか。どちらにしてもこのままでは危ない。俺は彼が言う通り彼女を連れ後退した。


離れた所で盗賊達の追手は無かった。

フルブライトさんは、どうやら探知魔法を発動し警戒してくれている。


時々、盗賊の怒鳴り声と金属音が響いていた。

彼は善戦している様だ。彼の戦いを見てみたかった。


「裸の王様じゃねーかよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


コースケの叫び声が森に響き渡った。


「フルブライトさん!やっぱり助けに行くべきだ!」


「いえ、あの人数が全てだとは限りません。私は貴方達の安全を確保する事を命じられており、その案には賛成できません。それに…」


「それに?」


「彼なら大丈夫でしょう。」


メイエリオと言い、フルブライトさんと言い、何を根拠にそう言っているのだ。


それから間もなく


「フルブライトさぁぁぁぁぁぁん!終わりましたぁぁぁぁぁ!」


再び叫び声が聞こえると、俺は誰よりも早く彼の元へ駆けつけた。


「コースケ!!大丈夫だっ……たか?」


傷や血等は出ていない。

だが明らかに攻撃は当たっている様だった。



その証拠に股間は丸出しになっていた

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