えぴそど32 盗賊のアジト
ユ「コ、コースケ。この布をやるから巻けよ。」
康「いいんだユージリン。これはノーパン健康法と言う強くなる特訓だ。」
ユ「そ、そうか。」
盗「そんな特訓聞いたことねーぞ…」
現在俺達は、森の中をワイルドオークが出たという方向とは反対に向け移動中。
そう、盗賊のアジトに向かっている。
盗賊のリーダーは縄に繋がれ、先頭を歩かされていた。傷はフルブライトさんの魔法で治っている。
馬が無くなった俺が縄を持ち、3人は馬に乗り後ろを付いてきている状態だ。
ほぼ裸の男が、悲壮感溢れるボロボロの男を縄に付け散歩している絵面は、傍から見ればさぞ気持ち悪いだろうな。
「ここまでで勘弁してくれ…まっすぐ行けば柵と小屋が見えてくるはずだ……殺されるにしても、奴等に裏切ったと思われたくねぇ。」
盗賊のリーダーのプライドだろうか。
おそらくフルブライトさんは斬ってしまう気満々だ。だが、これは正当な司法取引と言ってもいい。
甘いと言われても、ここで殺してしまうのは間違っている。
「どうでしょう、フルブライトさん。彼を殺すのは簡単だと思います。このまま生かし、街で正式に罰を受けてもらうべきだと思うのですが。」
「……コースケ様がそうおっしゃるなら、ならその木に括りつけておきましょう。馬も留めて置きたいですが、ここは魔物も出ますので誰かは残らないといけません。」
「…じゃあ……ユ、ユユ、ユージリンとメイエリオはここで待っていてくれないか…」
苦渋の決断だ
断腸の思いだ
この2人を2人きりにしてしまう事に、どれだけ俺が声を振り絞ったと思う!目から血が出ていてもおかしく無い!
現実的に一人で待たせるのは危険だと判断した結果、こういう振り分けになっちゃうんだよ!
盗賊のリーダーと馬を木に括ると、2人を残し俺とフルブライトさんは先へ進んだ。
一瞬ユージリンがガッツポーズをしている様に見えたが、敢えて見なかった事にし、俺は下唇を噛んだ。
先に進むと、盗賊のリーダーが言っていた柵と小屋が見えてきた。いやめっちゃ赤いんだけど屋根。森の中で赤屋根ってこいつら潜む気ある?
俺の前にフルブライトさんが手を差し出し進むのを止める。
「コースケ様。探知魔法を使ったところ、相手はどうやら外に3名、中に9名おります。如何致しますか?」
「結構居ますね…俺が一人で突っ込むのもアリですが、また逃げられる可能性もあります。フルブライトさんは裏に回って逃げ出す奴を任せたいのですが。」
「分かりました。これをお渡ししますので、180秒後に突入して下さい。」
フルブライトさんは懐中時計をカチっと押して俺に渡すと、回り込むように森の中に消えて行った。
秒針が時を刻み、180秒!いざ突撃の刻!
こちら側の外に居るのは2人。
この2人に向かい走り短槍を構える。早くも気付いた一人がこちらに剣を構え、もう一人が『敵だー!』と叫んでいる。
ここまで来たらもう一緒だ。
俺は石突で剣を構えていた盗賊の腹を思い切り突く。そのまま短槍を引くと横に薙ぎ払い顔面をぶっ飛ばした。
昨日何度も練習したコンボ技だ。
「キィィン」
【経験値50を獲得しました】
仲間に向かい叫んでいた盗賊がこちらにナイフを投げて来た。もちろん強肉弱食さんの餌食だ。距離を一気に詰め頭に目掛けて思い切り振り下ろす。
2人の盗賊を制圧した所で中からわんさか出てきた。
「あいつはさっきの!」
「ボスはやられたのか!?」
「構わねぇ!やっちまえ!」
「「「「「「おう!」」」」」」
うん、7人がこっち来ちゃった。
実戦に勝る訓練は無しとはよく言ったものだ。
俺はユージリンに教わった様に、相手の剣撃を受け、そのまま攻撃に移して行く。
得物を持っての集中攻撃は、仲間を斬ってしまう可能性があるので難しいはず。
一度に斬り掛かってきても2~3人づつが限界だろう。
俺は短槍を大きく振り回す様に薙ぎると、そのまま身体を回転させ、端に居た盗賊に向かい袈裟斬りの様に短槍を振り抜く。
そのまま返しつつも、隣の盗賊の頭部を柄で…
あっ……
「かっ!はっ…」
【経験値480を獲得しました】
振り向いたら隣の盗賊が思いの外近くに居て、短槍が首に刺さっちゃった…
無表情で短槍を引き抜くと、俺に向かって返り血がわんさか吹き出した。
やっちゃった…
この世界に来て初めて『人』を殺してしまった。
もういいや!!!!面倒くせぇ!!!!
「お前ら!撫で斬りじゃぁー!!!!」
相手は悪党だと俺は開き直り、石突や棍で戦うのに徹する事を辞め、槍としての斬る、突くを惜しげも無く使っていく。
最初に短槍で殴って気絶した相手にも止めを刺して行く。
【経験値480を獲得しました】
【経験値480を獲得しました】
正直、魔物も人も大差無かった。
殺意を向ける者、暴力には暴力で立ち向かう。これがこの世界のルールであり摂理!習うより慣れろだ!
だが『異世界全員大虐殺』それだけは嫌だからな!
そこからは無我夢中だった。
相手のレベルを見ても俺より髙いので命の危険は無い。
だが、そこに胡座をかく様な真似はしない。
【経験値480を獲得しました】
【経験値480を獲得しました】
【経験値480を獲得しました】
なるべく敵の攻撃をいなし、避け、鎌を使わず短槍で戦って行く。あと、2人。
「動くな!武器を捨てろ!!こいつがどうなってもいいのか!」
声がした方を振り向く。
小屋に残っていた盗賊の一人が人質を羽交い絞めにしており、首元には剣を当ていた。しかも人質は女性だ!美人だ!巨乳だ!おっぱいだ!
ぐぬぬ…卑怯な…
ん?いやいやいやいや、ちょっと待て。
これ、いつから人質救出作戦になってたんだよ!
「いや!誰!?」
「お、おめーらの仲間だろうが!?」
「知らんぞ!」
「てめー嘘付きやがったな!!」
「ごめーんね。そこの裸の人ーた~す~け~て~」
女は笑顔で助けを求めて来る。正直、助ける義理は無かったが、見殺しにできる訳でも無い。決して胸に目が眩んだ訳ではない。無いったら無い。
「わかった!武器を捨てる!」
俺はきょ……盗賊に屈してしまった
逸道:丞之座の挑戦
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死神:什造 じゅうぞう
貧乏神:丞之座 すけのざ
疫病神:郭東 かくとう
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俺の名は丞之座
俺は今悩んでいる
郭東に誘われたこの遊戯だが
初期設定が非常に面倒臭かった
趣旨は簡単だ
高龗神様が
用意した地球に似せた星で
これまた高龗神様が用意した人や獣の魂を
俺と郭東で分けて戦い勝った方の勝ち
後は全部自分達で
考えていかないと行けない
(高龗神様がどうやって
魂を用意したのかは怖くて聞けなかった)
神器は俺か郭東
どちらかしか貰えない事になる
スタートダッシュを
決める為にも初期設定が重要だ
だが初期位置から
それぞれの魂の生まれ変わる
種族の選択に特徴
思考の方向性まで…
やる事が多すぎてさすがに疲れる
俺は意を決して隣の部屋にいた郭東に
ある程度一緒に設定しないか?
と持ちかけた




