えぴそど30 唸れ必殺の燕返し
フ「コースケ様。あちらにもコボルトの群れが。」
康「さ、先を急ぎましょう!!!」
「お怪我はございますかコースケ様。」
「いえ、大丈夫です。どうでしたか…初めてだったんで勝手が分からない事が多かったですけど。」
「充分でございますよ。よく相手の事が見えてらっしゃる。コースケ様は目が良いのでしょうね。短槍もコースケ様に合っておられると感じました。」
「まじっすか!へへへ…ありがとうございます。」
大人になってから褒められる事が無かったので、変な声を出してしまった。素直に嬉しいものだ。
「コースケ!凄いよ!初めて使った武器であんな立ち回れるなんて。格好良かったよ!」
「あ、ありがとうメイエリオ!なんだか照れるなぁ。」
やって良かった。
メイエリオの中で俺の評価が格段に上がった気がする。裸族イメージから早く脱却したいものだ。
「確かに、初めての武器での立ち回りとしては凄いが、これでワイルドオークに勝てるのか?」
「大丈夫だよユージリン。コースケはまだスキルを使って無いし、あのスケアリーベアーを倒してるんだよ?余裕で狩っちゃうよ。」
「そうか、スケアリーベアーを倒せるんだもんな…うん…そうか…」
ユージリンはどこか納得できていない様だ。
もしかしてメイエリオが格好良いと言った事に嫉妬してるんじゃないのか?ははは、勝ったな。
そこからまた馬に乗り込み、最初の目標地点であるキャンプ場に向かった。
俺は槍での戦闘の興奮が冷めず、フルブライトさんに型についてあれこれ質問していた。馬上で次々と型を試し身体に覚えさせていく。
それを見ていたユージリンが、キャンプ地で組手の相手をしてやると言ってくれた。十中八九、自分も良いところを魅せたいだけだと思う。
まだ日は暮れていないが、キャンプ地に到着すると、馬に積んであったテント等を組み立てる事になった。
どことなく、メイエリオとユージリンの表情が硬い。
理由は言うまでもない、たった三日前に野営をし地獄絵図を味わっているのだ。
「お二人共、大丈夫ですよ。今回はコースケ様もおられますし、微力ながら私もおります。睡眠耐性も中級がありますので、一番長く夜警を行えます。皆さんはなるべくしっかりと休んで下さい。」
「ありがとうございます。フルブライトさん。街に居る間は大丈夫だと思ったんですけど、いざそうなると思うとちょっと怖くなっちゃいました。」
メイエリオは苦笑いを浮かべながら、何かを思い出した様に悲しい顔になる。
ジャクシンさんが『リハビリ』と言った理由が分かった。心の傷はそう簡単に治るものではない。
「よし!テントも出来たし、気を取り直して組手をするかコースケ!」
「あ、ああ。でも食事が。」
「大丈夫だよ。私が作るからコースケはしっかり練習しておいでよ。」
「ありがとうメイエリオ。よし、じゃぁユージリン!お手合わせお願いします!」
「おう!いつでも来い!」
俺は必死に強肉弱食が発動しない様、短槍でユージリンの攻撃を受ける。ユージリンも反復練習の様に、ゆっくりと同じ攻撃を繰り返し、俺に教えようとしてくれている。
「コースケ。足元を見すぎだ。自分の間合い、相手の位置、周りの状況を素早く判断しないと。」
「わ、わかってる!うぉ!でも、うわ!とと、あぶねー。」
「どうだ、魔物と人とでは全然違うだろ。」
「ああ、それにしてもユージリン、本当にBランクに上がったばかりなのか!?素人の俺が言うのもなんだが、動きに無駄が無いと言うか、とりあえず凄いぞ!」
俺は語彙力を失っていた。
それほどまでにユージリンの立ち回りは美しい。
時折こちらの攻撃のチャンスをわざと作ってくれるのだが、どんなパターンで攻撃しても手にした木の棒でいなされてしまう。
「ほら、足が止まっているぞ。さっきも言ったが剣技だけで言えば上級を得ている。ギルドランクは依頼をこなさなきゃ上がらないし、Aランクになる為には上級を2つ以上、おっとこっちだ!…取らないといけない。それに…俺は元々冒険者になるつもりは無かったんだ。」
「うぉ!っと、じゃぁなんで冒険者になったんだ?」
「それは…」
うわぉぅ!赤面してるんだけど!
もう俺分かっちゃったんだけど!
そしてチャンスだ!
「すきありー!!!!」
俺はわざと大振りに上から短槍を振り下ろす。
もちろん穂先にはカバーを付けており、当たっても切れる事は無い。
「くっ!」
「掛かったな!ここだぁぁぁぁぁ!!!」
ユージリンは木の棒で辛うじて受け流す。
俺は地面まで振り切った短槍を素早く切り返し、今度は下から上へと振り上げた。
短槍流奥義!必殺!飛燕!燕返し!(適当)
「甘い!」
ユージリンは上体を反らしつつ木の棒を打ち落とし、鍔競り合いの形になった。
「おおーい!そろそろ出来るよー食べよー!」
俺の必殺技、燕返し(適当)を防いだユージリンと俺は目が合ったまま、それぞれの武器を引いた。
「ありがとう!ユージリン!その、また良かったら組手の相手をしてくれないか。」
「ああ、もちろんだ。俺で良かったらいつでも声をかけてくれ。」
ユージリンと握手をし、メイエリオとフルブライトさんの元に戻り食事を摂った。
その後、一つしかないテントにどの順番で寝るかを揉めた事は言うまでも無い。
そして夜も更け、何事も無く朝を迎えた。
俺達は支度を整え、ブロスの森に入っていく。ワイルドオークの出没地点までは2時間程進んだ先にあるらしい。
魔物も多い森だから気を引き締める様にと、フルブライトさんの忠告が入る。皆一様に緊張した面持ちで進んで行く。
だが、問題は魔物だけでは無かった…
逸道:郭東の葛藤1
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死神:什造 じゅうぞう
貧乏神:丞之座 すけのざ
疫病神:郭東 かくとう
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俺の名は郭東
疫病神の一族だ
疫病神族ではまだまだ若く
神とは名ばかりの底辺で在る
持っている神器は
専ら先輩達のランクの低いお下がりで
不満しか無い
正直この神器だと
ポテンシャルの2割程度の存在でしかない
このままだと四次元ポ○ットが無い
ドラ○もんになってしまう
なんとしても
もっとレア度の高い神器が欲しい
これではヤル気も出ないし
福の神に成るなんて夢のまた夢だ
かと言って
一生懸命にこつこつ働くなんて性に合わない
ある日地元の大先輩でもある
高龗神様が声をかけてきた
★★★★★★★★★★★★★★★
青狗です
お読み頂き誠にありがとうございます。
そして…
レビューに感想に評価にブックマークに
本当に本当に本当に本当に
ありがとうございます!!!!
涙が出てしまい目が腫れたので
誤字脱字が加速する恐れがありますが
ご了承ください!!
今ちょうど39話を書いていますがこの辺り危険です!
いやまじでごめんなさい!
レビューについては印刷して部屋に貼りました!
朝と晩に敬礼しています!
これからもがんばります!




