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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
モナオ(仮)
253/258

えぴそど253 お花畑

「とにかく、次から中級魔法を使う時は、十分に注意する事。と言っている。」


「はぁい…ごめんなさいおねぇちゃん…」


「怒ってる訳じゃなく、心配しているだけだ。と言っている。」


私がシュナに小言を並べて、既に30分近くが経った。


イノイチさんを通訳に、ブロックサインを送り、シュナに知っておいて欲しい事を伝える。


ただ、ブロックサインは通常戦地で音を立てられない状況で使うもので、手話とはまた異なり種類が少ない。


不完全な片言の言葉を、イノイチさんなりに解釈し、補足しながら伝えてくれた。


伝えてた内容として、一番は簡単に中級魔法なんて発動させない事。


なんでって、魔力消費も激しいし、魔力操作に集中力も必要になってくる。


使うなら、ここぞという場面に絞るべきだ。


シュナに確認した所、学校では中級魔法は習っていないらしい。


独学で覚えたとすれば、とても喜ばしい事なんだけど、やっぱりちゃんと基礎戦術を知った上でなければ、危険が伴ってしまう。


次に、今回は子鬼だったからいいけど、通常狩りと言えば戦利品が必要になる。


それを売ってお金にしなきゃならないし、クエスト依頼だった場合、討伐の証拠にもなる。


こんな蒸発する程の威力をぶっぱしちゃったら、何も残らない。


一緒に冒険に出たパーティメンバーから、嫌われる未来しか見えないよね。


後は単純に、シュナの様な子供がこんな魔法を使えるだなんて世間に広まってしまったら、悪用しようと悪い人達がシュナを狙っちゃうかもしれない。


そんな親心から、私は怒る程では無いにしろ、シュナにあれこれと、急遽開いた講習を続けた。


「ともかく、分かったなら良し。初めての魔物討伐おめでとう。と言っている。」


「……うん!ありがとうおねぇちゃん!」


私は優しくシュナの頭を撫で、そのまま抱きかかえると、トモの背中に乗せた。


『待たせて ごめんなさい』


「構わない、メイエリオが言った事は、この子にとって必要な事だ。」


『ありがとう 救われる』


「それにしても、君は思った以上に弓の技術が高いんだな。」


シュナへのお説教中、大きな音を立てる魔法を使っちゃったものだから、近くに居た魔物が寄って来てしまった。


流石にイノイチさんの手を煩わせる訳にはいかないと、私は話しを続けながらも、矢を魔物に放ち、何気に二十匹近くはヘッドショットで倒している。


それもこれも、ベビーゴブリンやコボルトの様な低レベルの魔物だから出来た事ではあるけど。


『恥ずかしい ありがとう』


「……いや…それよりどうする。先に進むか?」


『行こう』


思いがけないタイムロスがあったけど、シュナが成長したと思えば痛くも痒くも無い。


そのまま私達は草原を抜け森の中に入り、更に歩みを進める。


森の中でも魔物は普通に出来てきた。


ドボーク平原と比べると若干討伐ランクは高いものの、それでも、今の私達の相手では無い。


一応はレンジャー見習いとして、敵の急襲にだけ会わないよう、周りに気を配りながら慎重に進む。


その上で、なるべくシュナに戦い方を教えながら応戦し続け、気付けば森の出口が見えてきていた。


『想像より 早く 森 抜けた』


「そうだな。元々大した距離では無かったのもあるが、メイエリオの案内が的確だったんだろう。レンジャーの学校に行っていると言ってたが、いいガイドになりそうだ。」


口調はゆっくり淡々と言っているものの、褒められて嬉しくない筈が無い。


私は顔を赤らめながらも、森を一番に抜ける。


辺りを見渡すと、遠くの方に長い壁を有するガルガン砦が見えていた。


森からやや離れた場所に、人為的に岩などで囲まれた場所が見える。


モンチロマッチョイの捜索隊がベースキャンプに使っている場所だろうと近づくと、火を起こした跡や、テントを設置したであろう跡等があった。


私達はそこで小休憩をとりながら、地図を広げ、現在地と探索予定地の確認をする。


日暮れまではあと3~4時間くらいだろうか、今日はヤーに戻るつもりは無いので、野宿の準備もしっかりしている。


(運んでるのはトモだけど…)


まずは、ここから既に少し見えている群生地で様子を見て、花の近くは魔物が多い地域って事もあるし、無理せずここに戻り、早めに火を焚くべきだろう。


そんな事を考えている中、後ろにくっついていた筈のモナオが、先程からウロウロ歩き周り、視界の端々に映り込むのが異様に気になる。


「日暮れまであと3~4時間。ここをキャンプにして、まずは一番近いあの群生地の様子を見に行く。プランとしては、そんな感じじゃないのか?」


やばい、心が読まれてるの!?


私は明るい表情を見せ、頭を上下に肯定する。


「よし、なら進もう。」


私はその言葉にも頷き、地図を鞄にしまい、歩き出そうとした。


が、モナオの様子がなにやらおかしい。


何か落ち着きが無いというか、そわそわとしている。


ん?


モナオは岩で囲まれたキャンプ地の中心で、ゆっくりとズボンを下げ、しゃがみこもうとした。


あっ!これトイレだ!



▶『これだ!見つけたぞ!』

▷『危ない!みんな下がれ!』

▷『だめ、モナオ。みんなが見てる…』



選択肢これか!



「あぶな……駄目!モナオ!!!みんなが見てる!」


「すまない、生理現象だ。」


咄嗟で選択肢を間違いかけたが、あながち間違いでも無いなと思っていた。


というか、そこをキャンプ場所にしようとしたのに、使えないじゃない。



呆れながらモナオに背を向けると

遠くに見える花達が風でそよいでいた

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