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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
モナオ(仮)
248/258

えぴそど248 花を求めて三里 β

「学校に行ったらね、北の方で軍隊の人が出る位の戦闘があったから、しばらく休校って言われたの。」


迂闊だった。


保護者として意識が低すぎたと言っても過言では無い。


私が通っている訓練校レベルですら休校なのに、貴族の子供達も通っている魔術校が通常営業している筈が無い。


そりゃ2日程の距離にある街で戦闘行為があれば、大事を取って、自宅待機させるでしょ。


シュナは家の外で魔力操作の鍛錬を行いながら、私の帰りを待っていたらしい。


一言で言えば立派だ。


それに引き換え私は、授業が無い事を良い事に、真っ昼間からギルドで酒を飲み、挙げ句の果てに謎の強制イベントに参加してるときた。


自分がとても情けなく思え、少し涙が出る。


「おねぇちゃん、その人は?」


シュナがモナオを見ながら、少し怯えた様子で聞いてきた。


モナオはモナオで反応すらせず、明後日の方向を見ながら棒立ちしている。


せめて、最低限のコミュニケーションは取れる様にしておいてほしかった。


そう思った矢先、私の目の前に選択肢が表示された。



▶『行こう!ガルガン砦に!』

▷『まずはメンバー集めにギルドへ行こう』

▷『君の新しいお父さんだよ』

▷『さあ、傷の手当をしよう。ここに座っちまいな!』



まぁ、一応会話のキャッチボールと言うか、シュナの質問に答えられる様に選択肢を出してくれたのはありがたいけど、使う訳ないじゃん。


「……さぁ、傷の手当をしよう…ここに…座っちまいな…」


私はこの言葉をモナオに向かってでは無く、膝を折り、困り笑顔を見せ、シュナの頭を撫でながら放った。


シュナはとても頭の良い子だ。


説明は無くとも、私の置かれている状況を理解してくれるかもしれない。


と思っていた時期が私にもありました。


シュナは頭に『?』マークをいくつも浮かべ、困った顔をしながらあからさまに動揺している。


私はシュナにジェスチャーで謝りつつ、心底嫌な顔をしながら、モナオの傷の手当を行った。


「ありがとうメイエリオ。じゃぁモンチロマッチョイの花を探しに行こう。」


一応はお礼を言っただけ良しとするか。


「モンシロ…マッチョ?」


シュナの頭にクエスチョンマークが増える。



▶『行こう!ガルガン砦に!』

▷『まずはメンバー集めにギルドへ行こう』

▷『モンチロマッチョイはモンチロマッチョイだ』

▷『とても貴重な花で、彼はそれがどうしても必要なんだ』



「とても…貴重な花で………彼はそれが…どうしても必要なんだ…」


「花?おねぇちゃんなんだか喋り方がいつもと違うけど、何かあったの?」


私はシュナのその問いに、自分の口を指差しながら頭を上下に頷く姿勢を見せる。


私のその姿に、シュナは何かを感じとったのか、立ち上がると、モナオの方に向かう。


「あの、私シュナと言います。貴方のお名前は?」


「………」


モナオはだんまりを決めたまま、正面を見続けており反応しない。


「……おねぇちゃん。もしかして、何かに巻き込まれてる?」


私はシュナのその言葉に、目を見開き、何度も頷いた。


「操られてる…とかじゃないんだよね。喋り方がいつもと違うけど、表情はいつものおねぇちゃんだし。」


やっぱりこの子は頭が良い。


私の目からは涙がこぼれ、初めて今の状況を理解してくれた存在を、強く抱きしめた。



────

────

────



それからしばらく、モナオを放置したまま、シュナが様々な憶測を私に振り、私はその憶測に対し頭を左右か、上下にすることで意思疎通を図る。


「じゃぁ、そのモンシロマッチョの花を見つけられたら、おねぇちゃんの制限が解かれる可能性があるって事で良いんだよね?」


自信半分、半信半疑ではあるが、私はゆっくりと頷いた。


この時点で台詞の選択肢に、一切の変化は生じない。


「貴重な花って言ってたけど、遠い所にあるの?」


私は首を横に振る。


「今から行くの?」


私は首を横に振る。


「もしかして…危険な所なの?」


私は首をゆっくりと少しだけ斜めに振る。


「……おねぇちゃん!私も一緒に行く!」


私は両手を前に出し、慌てて首を左右に強く振った。


確かに戦力は欲しいし、シュナは魔法も使え、獣人としての身体能力もある。


でもまだ11才の子供だ。


ヤーにある森ですら狩りをした事が無い少女に、如何に強力な魔物が出ないとは言え、ピクニック感覚で連れて行けるような場所ではない。


と言いつつ、ガルガン砦なんか私も行った事は無いけど。


「そんな状態のおねぇちゃんを放っておけないよ!私も戦うから!」


私が返答に困っていると、トモがゆっくりと近付き、シュナを包む様に伏せ私の手を舐めた。


トモは人の言葉が分かるので、今の会話の流れから、自分がシュナを守ると言っているのだろう。


私はトモの頭をゆっくりと撫でると、シュナに向かい肯定の意味を込め頭を縦に振った。


「やった!」


喜びはしゃぎながらトモに抱きつくシュナを横目に、私は思い出した様に王冠花に魔力を注ぐと、シュナと一緒に晩ご飯の支度を始めた。



その間

モナオは微動だにせず前を見続けている

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