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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
モナオ(仮)
243/258

えぴそど243 王冠花

「んぐっ!んぐっ!んぐっーーぷっはぁー!!」


私は絶賛トモを撫でながら、ギルド内に設置されたバーで、真っ昼間からお酒を一気飲み中です。


「久しぶりだなメイエリオちゃん。こっちに戻って来たと思ったら、何ヶ月も顔を出さないで。」


「ふぃ~…うん、まあーね~……レンジャー学校が思った以上に大変でさ……それより!おかわり!」


「ははっ、まぁほどほどにな。」


昼時を過ぎたギルド内は些か静けさがある。


冒険者の殆どが森やダンジョンなど、クエスト遂行に出てるってのもあるし、この時間から呑んでる事自体が基本的によろしくはない。


数ヶ月この街を離れていたにも関わらず、ギルド職員も、冒険者にも、見知った者は多い。


ただ、街に戻って来たと思ったら、レアモンスターのハティを引き連れ、尚且ジャクシン家のお墨付きを持っている様な得体の知れなさに、私をみんなは敬遠してる。


さらには、私がこの街を離れるきっかけとなった、ドボーク平原の悲劇をみんな知っているし、それが私の死神扱いを加速させてるって事も知ってる。


そんな私が禍々しい花を携え、ハティを小脇に昼間から酒を一人で呑んでいるのだ。


誰も声をかけてくる筈がない。


だからといって、今に始まった事も無いので、私は気にする事は無く、バーのマスターと時折談笑を挟みつつ、ストレスフリーな時間を楽しんでいた。


そんな時、ギルドのドアが開かれる音が耳に入り、私は何気なくドアの方向を見た。


そこには、不思議な面を付け、見た事が無いデザインの服を着ている男(骨格により判断)が立っていた。


その男は、この街のギルドが初めてなのか、中を一通り見渡すと、バーの方向へ、つまり私の方向へと向かってくる。


私は、もしかしてトモを狙ってるとかそんなのだったらどうしよう…とか思いつつ、身構えながらその様子を眺めていると、男は私の方向から逸れ、カウンター席に座った。


「何にしましょうか?」


「……なんでもいい、強い酒を。」


「あいよ。」


マスターが声をかけると、面の男はなんとも透き通った声で答える。


差し出された酒を前に、男は面を外すと懐にしまい、酒を口に含むと、長く綺麗な黒髪に、切れ長の目元が涼しく、長身からは想像も出来ないほどに中性的な雰囲気が漂った。


私はお酒を飲む事も忘れ、その様子をしばらく眺めてしまっていると『何か用か』と男に話しかけられる。


「え!あ!いや、ご、ごめんなさい。その、何というか、ふ、不思議な格好だなーって。」


「……そっちこそ、幻のハティを連れ、更に幻とされた王冠花の蕾を持ち、昼間から堂々と一人で酒を呑んでいるだろ。」


確かにそう聞くと、変なのは私の方かもしれない。


「お、おうかんか?ごめんなさい。これさっきもらったもので、何かよく分かってないんです。」


「……もう300年近く発見されていない花だがな。花が咲けば、自我を持ち人の言葉が分かるとされている。」


「え?なにそれ凄い。」


「大した事は無い、植物型の魔物だと思えばな。」


なんだかそれは嫌ー!


「お、襲われたりしないかな…」


「俺が知る限りでは宿主を攻撃した事例は無い。」


「宿主って…寄生とかされちゃうんですか?」


なんだろ、ものすごーく不安になってきたんだけど。


「その辺りをどう判断しているかまでは知らないが、魔力を与えたものを親だとでも思うんじゃないか?」


「親…」


まだ彼氏も出来ていないのに子供ができちゃうのね。


「詳しいんですね、花とか興味なさそうなのに……あっ!ご、ごめんなさい!見た目で判断した訳とか!そういうんじゃなくて!」


私ったら超失言。


「興味無さそうか…ふっ、俺はこう見えても昔、植物学者だったんだ。とは言え、今は主に仕える只の兵士だがな。」


「植物学者…それで見ただけでこの花が分かったんですね。」


「ああ。だが、さっきも言ったが、その花は300年近くも人目に出ていない。もちろん俺も古い文献でしか知らないが、その葉の独特な模様と…鉢をよく見てみろ。」


「鉢?」


私が王冠花の鉢を回し、裏手を見てみると、そこには小さく『王冠花』と書かれていた。


わお

私ったら超うっかりさん


「以前の俺なら、喉から手が出る程欲しがった株ではあるが…今は興味が無い。だが、あまり人目においそれと出さない方がいいぞ。力づくでも欲しがる者は居るだろう。」


「は、はい!家に置いとくようにします!……ちなみに、なんで『王冠花』って言うんですか?」


「……さあな、育ててみればいずれ分かるだろう。店主、酒を。」


「あいよ。」


「あ、わ、私が一杯奢ります!この花の事を教えてもらったお礼に…」


「……ふっ、なら、頂こう。」


「そうだ!あの!」


私は先の失敗を忘れないように、今度は先手を打っておく事にした。


「なんだ?」


「お名前を聞いてもいいですか?実は、この花をくれた方のお名前も聞けず仕舞いで…」


「……生憎だが、名乗れる名を持っていない。」


「え…あ、でも、何か周りの人とか、呼ばれてる名前とかないんです?」


「………イの壱。そう呼ばれている。」


「イノイチ…さん?」


「ああ。」


イノイチさんは短く答えると、微笑みながら酒が注がれたグラスを差し出してきた。


私も特大のジョッキを差し出し、ゆっくりと重ねると、『キンっ』と軽やかに鳴り響く。



なにこれ

もしかして私にモテ期来てないこれ?


take1


「メイエリオです」


「わふっ!」


「次回のカマ切り戦士はー!ついに始まったね私の章が!」


「わふっ!」


「ふふふっこれで、もう影が薄いだなんて言わせないんだから!」


「わおーん!」


「つか!なんで私の相方がトモなの!?え!?癒やされるけど!なんか!なんか言葉の駆け引きとかそういうのないの!?ひとりツッコミ!?え!?なんで!?」


「わふっ!へっへっへっへっ」


「待った!待ったまーった!このまま一章終わるまではつなげないって!やり直し!やーりーなーおーしー!」




take2


「メイエリオです!」


「シュナだよー」


「次回のカマ切り戦士はー!ついに始まったね私の章が!」


「生姜?」


「章だよシュナ!でもどうしよう!みんなと違って、私だけ恋愛ステージに突入しちゃってるんだよね!」


「おねぇちゃんは戦ったりしないの?」


「そんな物騒なお話もう時代遅れだよシュナたん。私達は平和でのんびりスローライフな時を過ごしちゃおー!」


「おー!」


「次回!泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる!【えぴそど244 血の匂】ぜったい読んでよね!」


「え、平和…?」

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