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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
モナオ(仮)
242/258

えぴそど242 お花屋さん

前回までのあらすじ


通ってた学校が、休校に急遽なってきゅぅ!っとこう、お酒をかっこみたい気持ちになった私は、テンション爆上げしすぎて、曲がり角でパンは咥えてなかったものの、テンプレ通り人とぶつかり、新たな物語のきっかけを無事フラグったのだった。



「あの!ほ、本当にごめんなさい!」


「い、いやいや、僕は大丈夫。君に怪我が無ければそれで。」


そう言ったジェントルメンは、私の無事を確認しながら手を引き、私が立ち上がったのを確認すると、にっこりと微笑み、膝を曲げ落として割れた荷物を片付け始めた。


「あ!わ、割れちゃって…弁償します!」


割れたものを見ると、それは花瓶と複数の花で、見事に地面にぶち撒けられていた訳で…


「あーいやいや、気にしなくていいから。この子達は丈夫だし、鉢なんか簡単につくれるしで本当に気になさらず。」


「でも!完全に私が悪いんだし、何かお詫びでも!」


「…んーそうかい?じゃぁ…」


そう言うとジェントルメンは私に付いて来る様にと言い、割れた花瓶を袋に詰め歩き出した。


「すぐそこだから。」


とても優しい雰囲気を醸し出すその人は、歳は40代だろうか、整った顔立ちに無精ひげが味を出しており、背は高く、服は所々破れたりほつれていたりするものの、後ろを付いて歩くだけで、花のいい香りが漂ってくるナイスミドルだった。


「着いたよ、ここでちょっと待ってて。」


「え、あ、はい……え?」


私は、眼前に広がる光景を目の当たりにし、言葉を失ってしまう。


「なにこのボロボロな家…」


ブーメルムや王都と比べると小さい街とは言え、それでも商業が盛んな事もあり、王国全土で見れば、そこそこの規模を誇る商業都市ヤー。


商人や、その売り物を目当てにした人々で、表通りは華やかで活気に溢れているけど、その反面、格差は広がる一方で、裏通りに入ると、多少ボロボロな家がある事はもちろん知ってる。


それにしても、今にも崩れそうなこの家は、果たして家屋と呼んでいいのだろうかと思うほどに朽ち果てていた。


「?……花…屋?」


その入口に、これまたボロボロの立て看板が置かれており、そこには『花屋』と書かれてる。


「そう、僕は花屋を営んでいるんだ。といっても、見ての通りまともなお店を開くほどのお金は無いからね。ここを倉庫にして、表通りの露店で細々と売っているよ。」


ジェントルメンが、ボロ屋敷から何かを手にし出てきた。


「でだ…よいしょっと…これを君にあげるから育ててあげてよ。」


「え?」


ジェントルメンが手にしていたのは、何とも禍々しい模様の葉っぱを持つ蕾の花だった。


「人の子は耳が遠いなぁ…」


「ヒトノコ?」


「ああ、いやいや、まぁこれを育てるのが君の贖罪って事でどう?これなら納得かい?」


「でも、私…ぶつかって、花瓶を割った上にお花を貰ってたら…」


「あーいいのいいの、これ売れ残りだからさ。僕は物を捨てる事が出来ない性分だからね。売れ残りのこの子でも、君が育ててくれれば、僕の手助けになるよ。それに、ぶっちゃけこの子は僕には育てられないんだ。」


そう言うと、優しい笑顔のままジェントルメンは私にその花を差し出した。


「……分かりました。この子の事しっかり育ててみます。」


「うんうん、ありがたい。あ、その子は水が要らないからね。」


「水が要らない?ほっとくんですか?」


「うん。その代わり、適度に魔力を注いであげてよ。魔鉱石に明かりを灯す要領でさ。できるかい?」


「ええっと…今やってみてもいいですか?」


「もちろんさ、やってごらん。」


私は促されるまま鉢に対し魔力を練ってみると、花が淡く光っているかの様に色味が強くなり、更には少しだけ動いた様にも見えた。


「そんなもんでしょ。一度にあげすぎると水と一緒で良くないから。朝と晩に今くらいの量をあげてみてよ。」


「は、はい!頑張って育てます!」


「うん、じゃぁ僕は露店に花の補充をしないといけないから。またね。」


そうしてジェントルメンは、優しい笑顔を見せながら、荷物を抱えて表通りに向かい歩いていく。


歩いていく姿をどれくらい見ていたのだろうか、我に戻った時には完全に日が高く昇っており、正午を向かえる鐘が鳴ってた。


「うわ!え!?こんな時間!?……もう、乙女かよ……あ、名前聞くのも忘れてた…」


ふと気になり、彼が進んだ方向へ向かい表通りまで出るも、見渡す限り行商人の店で溢れかえっていて、すぐには見つけられそうにない。


「んーどうしよ…あっ!ご、ごめんなさい!」


往来が激しい表通りの真ん中に鉢を持って突っ立っていれば、人ともぶつかるし、最悪ぶつかって鉢を割ってしまうかもしれない。


「うんーまた今度にして、この子を一回家に持って帰るか…」


私の中でジェントルメンの名前を聞く事は諦められても、お酒に対する執着は消えない訳で…


「よし!このまま行こう!いざ!ギルド酒場へ!」



そうと決めた私は

レンジャー講習よりも素早く的確にギルドに向かった

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