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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 中編
226/258

えぴそど226 すると川上から

「旦那ぁ!後ろだ!!」


「OK!任せろ!!」


背後より飛びかかってきた狼型の魔物を、俺は鎌化槍で薙ぎ払うと、そのまま後転しつつも素早く体勢を立て直し、狼型に追撃をいれる。


「よし!残り3匹!ヤッパスタ!グリカ!行くぞ!」


「おっしゃぁ!」


「はいなのです。」


ジャンカーロより東側にある森に入り、俺達は今魔物討伐を行っている。


帝国南部の各地で、またしても魔物の集結が見られるという情報を元に、セシルが暇そうにしていた俺達を駆り出した。


ただ、今回はランスター領主からの正式な依頼でもあり、今後の旅の金銭事情を考え、尚且、メンバーのレベルアップも図れればと、承諾した。


「これで!終わり!なの!Death!!」


グリカの巨大な回転ノコギリが狼型の魔物に向かい、垂直に振り下ろされると、血しぶきを派手に撒き散らしながら、狼型は見るも無残な肉片へと変わった。


「これで……方付いたか。」


「とりあえず付近に気配は感じねぇですぜ。俺は素材を集めますよ。旦那は休憩していてくだせえ。」


「大丈夫だよ、ありがとうヤッパスタ。一緒にやろう。グリカ、一応周りの警戒を頼めるか?」


「ラジャなのです。」


俺と桃犬の交渉が行われて既に3日が経っている。


桃犬からは結局『考えさせてくれ』と明確な返答は貰えず、向こうから接触してくるまで待機している状態である。


アルネロはアルネロで、やる事があると俺達とは別行動中だ。


「よし、こんなもんだろ。」


「毎回感心させられるけど、鮮やかな手際だな。」


「なんの、旦那。これくらいできねぇと、冒険者なんかやっていけねぇですぜ。」


「そうだろうけど、なんか…さっきまで生きてた動物の内蔵を見るってのは、まだ慣れなくて。」


「まぁ、この狼は食べられねぇから、毛皮と爪を取るだけなら、本当は内蔵なんて見る必要はねぇんですがね。」


そう、俺以外の二人の戦闘スタイル的に、ハンマーで潰す、のこぎりで切り刻むと、原型を留めない倒し方になってしまう。


素材回収する前から、結構なグロ状態なのだ。


「コースケ、周りは大丈夫そうなのです。それと、地図通りこのまま進むと、新しいホットスポットと思われる場所にぶち当たるのです。予定よりかなり早いペースなのです。」


グリカが返り血で真っ赤な状態のまま、地図を見ながらこちらに戻ってくる。


「そ、そうか。とりあえず近くに川があったよな?こんな血の匂いぷんぷんさせたまま突っ込むのは危ないだろ。少し洗い落とそう。」


「旦那、今更水で洗った位じゃ匂いは消せねぇぜ。」


「そうなのです。剥ぎ取った素材を持ち運ぶ時点で、丸わかりなのです。」


「そ、それでも!なんか心情的に嫌なんだよ!こんな状態で進むのは!」


相変わらず衛生概念のズレが生じたまま、俺は無理やり二人を引き連れ、森の切れ目を流れる川へと向かった。


「随分と濁ってやがるな。」


「南部は元々鉱石の多い土地柄ゆえ、水に色々な成分が染み出て、水が濁ってしまうのです。」


「へぇ、グリカは何気に物知りだよな。」


「これくらい子供でも知っている事なのですよ。」


「そ、そうか、ごめん。」


「でもよ、これだけ濁ってりゃ、水棲の魔物が近付いても分からねぇな。旦那、どうするんで?」


「俺が水を汲むよ。俺なら不意な攻撃も防げる。ヤッパスタ、いつもみたいに、桶と瓶をつくってくれないか?」


「了解だ。」


俺とグリカは川の近くに荷物を下ろし、ヤッパスタは木を削りながら、簡易的な桶と瓶を作ってくれた。


その後はひたすらに俺が水を汲み、グリカが装備や素材の血を洗いし、ヤッパスタは食事の準備をしてくれた。


ただ、一度に汲める水は少なく、俺は何度も何度も川と瓶を行き来する羽目となる。


「はぁ、はぁ、こういう時、フルブライトさんのありがたみを感じるよ。」


「あー、水属性の魔法ですかい?」


「ああ、どんだけ汚れても、フルブライトさんの水魔法で一瞬洗浄だったもんな。」


「そんでトモの風魔法で乾燥。思えばあん時の道のりは綺麗でしたね。」


「そうそう。」


俺とヤッパスタが染み染み振り返っていると、グリカの視点が川の一方向を見つめ、動かなくなった。


俺もその方向を振り向いてみると、川を小舟が流れており、その上に人間が倒れていた。


「おっさんの川流れなのです。どんぶらこ~どんぶらこ~」


「うおい!言ってる場合か!!気を失ってる!助けなきゃ!!ヤッパスタ!」


「おうっ!」


俺とヤッパスタは急いで川の中に入り、小舟まで泳いで近付くと、舟にしがみつき、バタ足で舟を押した。


「うっぷ、駄目だ旦那。流れが早え!この男を川に落として泳いだ方が早いぜ!」


「あぁ!同感だ!ヤッパスタ!そっち側から舟を押して転覆させられるか!?」


「任せろい!」


ヤッパスタが川に潜り、勢いをつけ下から舟を押し上げると、舟は大きく傾き、中で倒れていた人が俺の方へと着水した。


「よし!捕まえた!ヤッパスタ!こっちを手伝ってくれ!」


「おうよ!」


二人で苦労しながらも、なんとか流されていた人を岸まで運びつけた。


「はぁはぁはぁ…しんどぃ!」


「中々でけぇし重てぇし…げほっ!げほっ!」


「おっさんが三人並んで、川で川の字に倒れ込む姿は、正直むさ苦しいのです。」



今はグリカの辛辣な言葉に

ツっこめる余裕は無かった

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