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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 中編
223/258

えぴそど223-勇44 居てはいけない者

【帝国領北部 ケイレ地方 スカイアロー領】


「バーネット総司令、勇者様より増援の催促が届いております。」


「………」


スカイアロー領内、レベリオンの本部を置くリバイバでは、大量の書類が置かれた机で、アズが頭を抱えていた。


「総司令…?」


「……分かっている。カクトを東部に送りはや二ヶ月。良く耐えてくれている。」


「ええ、流石勇者様です。あの高レベルの魔物が出現するドロスを、あの寡兵で持ちこたえるとは本当に素晴らしいです。して、返答は如何なさいますか?」


増援要請がカクトから送られるよりはるか前より、アズは兵士の確保を行い続け、体制が整い次第東部防衛の増強を行うつもりだった。


しかし、再三の進言にも関わらず、帝国中央が動く事は全く無く、それどころか、まるでレベリオンの徴兵に対抗するかのように、各地の有権者達が高待遇の徴兵を始めだしていた。


元々、勇者の威光を頼りに、私営団として兵士の待遇面では決して優れているという訳では無い上に、過酷な最前線に送られ多数が死亡していると風潮されてしまい、レベリオンへの志願者は、日に日に減る一方だった。


「……これをジョリーアンに送ってくれ。カクトへでは無く、ジョリーアンにだ。」


「はっ、かしこまりました。」


アズは事前に用意していたであろう封筒を伝者にわたすと、伝者は敬礼を行い部屋を出ていった。


「………耐えているとは、そういう意味では無いのだがな…」


アズが虚ろな目で机に積み重ねられた書類の束を手に取ると、扉がノックされ、返答する前に男が入ってくる。


「おーこれはこれは総司令。ご機嫌麗しゅうでしょうよこれそれ。」


入ってきたサブダブは、ソファにどかっと腰を落とすと、荷物をテーブルの上に広げだした。


「……あぁ、ここまで胸糞悪い気持ちは久方ぶりだ。今すぐにでもダンジョンに籠もり、魔物どもに八つ当たりしたいな。」


「ははっ!まぁまぁそう言いなさんなよおやっさん。ほれ、いい酒が手に入ったから持ってきたってよこれ。」


サブダブが酒瓶を振りながら笑いかけると、アズは口元を緩めながらソファに向かい、サブダブの向かいに座った。


「………」


「うーんいい香りだ。」


無言で座るアズの前にグラスを差し出し、サブダブは栓を抜いた酒瓶の注ぎ口を匂う。


そして、アズも注がれた酒を手にし、香りを楽しむ様に鼻の前にグラスを運んだ。


「どうだいおやっさん、いい酒でしょうよ?」


「……ああ、そうだな。」


アズはグラスに入った酒を飲み干すと、真面目な顔になり、サブダブを真正面から見つめた。


「お、喉でも乾いてたのか?仕方ねぇなぁ、みんなにも飲ませてやりたがったが、おやっさんには特別に二杯目だってよこれそれ。」


サブダブがアズの手元にある空のグラスを受け取ろうとすると、アズはグラスをテーブルに置き、サブダブの手を掴んだ。


「ちょ、おやっさん。気持ち悪いでしょうよこれ。」


「……カクトと出会う前までは、お前らと一緒に行動をしているだけで、俺は本当に楽しかった。本心だ。全員が面倒な奴で、特にお前とジョリーアンには毎回手を焼かされたがな。」


「ははっ、面倒って、それが『冒険者』ってもんでしょうよ。真面目な奴なら、軍隊に入ればいいでしょうよ。」


「……ああ、そうだな。いつから俺達はこんな貴族や軍隊ごっこに時間を取られているのやら。」


「カクトを見つけたのが運の尽きだとでも言いたそうな顔でしょうよこれそれ。まぁ、おやっさんは本当に良くやって…いたっ!おやっさん、そろそろ手を離してくれってよ。」


サブダブの手は以前アズに握られたままとなっており、掴む力は除々に強くなっていった。


「……サブダブ、いつからだ。」


「…何がだよおやっさん。とりあえず手を離してくれってよ。」


「白を切っても無駄だ。身辺を探るのが得意なのは、『お前達』だけじゃないぞ。防衛任務中のお前が、それを無視しここに入ってきた。理由は簡単に想像できる。」


そこでようやくアズはサブダブの手を離し、もう片方の手で、ソファの裏に隠してあった剣を握った。


「………いやぁ、おやっさんには敵わないでしょうよこれ。で、おやっさん。それを知ってどうする?俺を殺すかい?」


「……ふっ、馬鹿を言え。簡単に殺せるなら苦労はしない……サブダブ、目的はなんだ。なぜ俺達を裏切る。」


アズは静かに剣をサブダブに向けるも、その表情はどこか悲しそうだった。


「おやっさん、裏切るとは違うでしょうよ。俺は元からこうで、昔から何も変わっちゃいないってこれ。つか、誰か俺に聞いた事でもあるか?勇者カクトに生涯の忠誠を誓い、世界の為に血を流すのかと。」


「それもそうだな。よし、次からはそう質問するようにしよう。」


「次があればでしょうけどね。」


サブダブは立ち上がると同時に足元に魔法陣を展開させ、両手を前に出し構えを取った。


「もう少し、お前とは話をしたかったがな。」


「言っとくけど、これでも悪いと思ってるでしょうよそれ。何分こっちも時間が無いんでね。」


「サブダブ、お前とは付き合いが長い。どっちが帝国のナンバーワン冒険者なのか……きっちり決めておこうじゃねーか!!!」



アズは剣を振り上げ

大層嬉しそうにサブダブに向け飛びかかった

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