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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 中編
219/258

えぴそど219 等価交換

「出てきたぞアルネロ。」


「ああ、いくぞ。」


俺とアルネロが倉庫入り口を見張り続け、既に数時間が経っていた。


日は完全に暮れ、辺りは暗く、所々に設置された魔鉱石がほのかに明かりを灯す。


俺とアルネロは走り、倉庫の敷地を完全に出た面兵を呼び止めた。


「す、すみません!あの、フットプリンツの方ですよね!」


「……貴方方は昼間の…その名を外で発するのは止めて頂けませんか。」


「あっ、ご、ごめんなさい。」


「それで、何か御用ですか。私も用事があり急ぐのですが。」


「あの!桃犬に話しがあるんです。ですが、入り口で止められてしまって。何とか中に話しを通してもらえませんか?」


そこまで言うと、面兵は軽い溜息を吐き、俺とアルネロを倉庫内に連れて行ってくれた。


中に入ると、昼間に訪れた時とは違い、中はなにやら慌ただしく、一階では馬車に荷物が積みこまれていた。


そして、そのまま地下には降りず、馬車の所に案内をされ、面兵に馬車の前で待つように言われる。


「桃犬様、イの壱です。」


「あぁ?なんでまだここに居るんだよ。さっさと黒猿に資料を渡して、アスタリアへ連れて行けよ。」


「はっ、申し訳ございません。ですが、桃犬様にお会いしたいと、昼間の方々が来られておりましたので、お連れ致しました。」


桃犬は馬車の影から顔だけ出し、俺とアルネロの姿を確認する。


「分かった。イの壱、ご苦労だった。お前は任務に戻れ。後は俺がやる。」


「はっ。」


面兵が俺とアルネロを横切り、再び出口に向かおうとしていたので、俺が感謝の言葉を伝えると、面兵の人は軽い会釈を行い、そのまま外へと出ていった。


「アルネロ、康介。ちょっとそこで待ってろ。」


「あ、ああ。すまない急に来て。」


桃犬達フットプリンツのメンバーはどこかに出かけるのか、尚も荷造りを続け、俺とアルネロはそのままその場に立ったまま待たされる事となった。


特にやる事も無いので、俺達はしばらくその光景を眺めていた。


どこにこんなにも人員が居たのかと思うほどに、面兵を始め、素顔のままの兵の姿も倉庫内には多数存在しており、所狭しと作業を続けいる。


幾分か作業が落ち着いたのか、桃犬が兵に指示をしながらこちらに歩いて来た。


「待たせたな。」


「いや、いいんだ。それより、凄いな。」


「あ?何がだ。」


「本当に最初会った時と印象が違い過ぎてな。部下達をしっかり統率していて、まるで一流企業のエリートみたいだ。」


正直な感想だ。


見た目は完全に子供ながら、顔つきや人を使うその様は、その辺の大人よりも格好が付いている。


「きぎょう?はんっ、そんなおべっかはいい。それで考えはまとまったのか。」


桃犬は倉庫の片隅に置かれた椅子に座ると、兵が持ってきた飲み物を呑み始めた。


「あ、ああ。ひとまず、攻め込むタイミングについてだが。」


「言ってみろ。」


「今すぐ向かおうと思う。」


「………正気か?」


「ああ。サブダブが勇者を裏切ってからでは無く、裏切る前に。」


「……おい、アルネロ。お前の意見はどうなんだ。」


倉庫に入ってから、アルネロはまだ一言も喋っていない。


俺は、アルネロがまだ悩んでいるのでは無いかと器具したが、アルネロから発せられた言葉は『総意だ』とのこと。


「…………」


アルネロの言葉を聞くと、桃犬は手で口元を抑える様にし、何かを考え出し口を閉ざした。


「あの…」


「……なんだ。」


「そこで、一つ相談なんだが…桃犬、俺達と一緒に来てくれないか?」


「阿呆か。無理に決まってるだろ。」


桃犬の事だから、こちらから別段情報を与えずとも、興味本位で付いてくるかもしれないという淡い期待は、見事に砕け散った。


「俺にもユージ君から与えられた任務がある。それを放棄して、どれくらいかかるか不明な作戦に参加は出来ない。それに、そもそも自殺しに行くようなもんだぜ。誰が行くもんか。」


「………もし、一緒に来てくれるなら、とっておきの情報を渡す事が出来ると言ってもか?」


その言葉に、桃犬の目つきが鋭くなり、沈黙のまま俺を睨み続けた。


「……………………任務を放棄してまで俺の身を授ける情報ね……国家間を行き来するダンジョンでも、そいつは無理だったぞ。それ以上のものがまだあるってのか?」


「………ああ、ある。だが、こんなに人が居る所では聞かせられない。もちろんアルネロにもだ。話すなら二人きりになりたい。そして、聞いた以上は俺達に協力をしてもらう。」


「アルネロにすら知らせていない情報ね…なぜそうまでして俺を引き入れたい?何かあるのか。」


「単純に戦力の増強を見込みたいだけだ。」


「それならベルが行きたがってる。あいつに言えばわざわざ俺と取引する必要は無いぞ。」


「彼女にはまだ信を置けない。だからお前に頼んでるんじゃないか。」


「はっ!はははっ!!おかしい事を言うぜ康介は!じゃぁ何か?俺は信用出来るっていうのか?ぶはははっ!!!あの森での戦いを忘れたのか!?ぎゃはははっ!!!」


「ああ、出来る。お前達の組織の中で、君だけは世界を敵だとか味方だとか、そんな小さな単位で見ていないだろ?俺達の思想に賛同しろと言っている訳じゃない。価値在る情報であれば、それを元に君を雇いたいんだ。」


「ははっ……鼻水出たわ…へへっ……ああ、分かった。俺の信条は等価交換だ。お前が渡す情報に見合った事はしてやろう。例え俺自身が同行出来なくとも、良いようには図ってやる。だが、しょうもない内容だったら承知しないぞ。」



それから桃犬は俺だけを連れ

地下へと降りていった

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