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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 中編
218/258

えぴそど218 ありがとう

俺とアルネロは、フットプリンがジャンカーロで拠点としている城壁近くの倉庫に再び戻って来た。


憔悴しきっているヤッパスタと、グリカもアルネロの進言によりそのまま宿に残らせ、アルネロと二人で挑む。


俺達が倉庫を離れ数時間が経っており、倉庫入り口を警備するランスター兵が入れ替わっており、俺達は入り口で足止めをされた。


「ですから、中に居る方に康介が来たと言って頂ければ分かりますから!伝えてくれるだけでいいんですって!」


「だから!こっちも何度も言ってるだろ!俺達ですら中との接触は禁止されてるんだよ!早く帰ってくれ!」


「くぅ…あ、アルネロどうする?」


「……しかたない。はなれてでてくるのをまつぞ。」


「あ、ああ…」


俺とアルネロは仕方なくその場を離れ、入り口が見える場所に座り、中からフットプリンツかパーフラ関係者が出てくるのを待つことにした。


しかし、待てども待てども中から人は現れず、日が暮れ始めている。


「……なぁ…ゴミ…」


今まで沈黙のままただ座って待っていた中で、アルネロが不意に口を開く。


「ん?なんだ?あ!おしっこか?あーこの辺倉庫ばっかりで店とか無いもんな…」


「ちがう。」


「え?でかいほう?」


「ころすぞ……むりにきをつかわなくていい。」


バレた


桃犬の話を聞いてから、明らかにアルネロのテンションは低い。


そして、俺が桃犬に何かしら重大な情報を渡そうとしている事を知ってから、更に暗い表情を見せている。


アルネロは俺が桃犬に何を言うのかを、再度聞こうとしているのだろうか。


そう感じた俺は、無理矢理アルネロの話を逸らそうとした。


「…たのむ、きいてくれ。」


彼女はより一層に声のトーンを落として話し始めてしまった。


こうなっては、無理に俺が話を差し止めるのも野暮というものだ。


「分かった。ふざけるのは止めるよ。言ってくれ。」


「ああ……わたしはおまえがだいきらいだった。」


おい

いきなり嫌われたぞ


「さいしょにあったのをおぼえているか?」


「ああ、もちろんだ。ジャクシンさんと話している部屋に、急にアルネロが入ってきたよな。いきなり扉を開けるから、もう少しで俺の鎌がジャクシンさんを貫く所だったっけ(笑)」


「ふっ、わらいごとではないがな。ちなみにとびらをきゅうにあけたのはわざとだ。けはいはかんじていたが、じゃまだったのでふっとばそうとおもった。」


「おい。なんのはらいせだよ。」


「ははっ…ゆるせ。」


「で、なんで嫌ってたんだよ。」


「かんたんだ。ジャクシンさまが、きさまをきにいっているからきらいなのだ。もしかしたら、ジャクシンさまをとられるとおもったんだろうな。」


「そういや、アルネロってジャクシンさんの前と、俺達と一緒に居る時とキャラが本当に違うよな。ジャクシンさんの前だと、明るい天然キャラぽいのに、俺達の前だとただの鬼軍曹だし…」


「『隊』としてこうどうするうえで、しきけいとうをしっかりしなければ、そのたいはほうかいする。だれかがきらわれてでも、ともにこうどうするいじょう、じょうげかんけいをめいかくにするひつようがあるのだ。」


「軍人って感じだな。そういう所に温度差を感じてしまうよ。多分、俺とヤッパスタは、まだどこか観光気分で同行しているのかもな。」


「……それでも、おまえたちはわたしについてきてくれた。『国』のことなどまったくかんけいのない、ただのこじんてきな『復讐』につきあってくれている。」


「そんなの…」


「ありがとう。なかなかいえなかったが、ほんとうはこころのそこからかんしゃしている。」


アルネロは俺の方を向くと、笑顔を見せる。


「わたしをきづかってくれてありがとう。わたしのかんがえをゆうせんしてくれてありがとう。わたしのことをしんじてくれてありがとう。わたしといっしょにきてくれて…ほんとうにありがとう。」


「な、なんだよ急に!おかしいぞアルネロ。」


俺は彼女の美しい笑顔に、明らかに赤面しているのが分かるほど顔が熱くなった。


「おかしくはない。いつかつたえなければならないとおもっていた。ただ、それがいまだっただけだ。」


「本当にそう思ってくれてるなら、今度からゴミ呼ばわりはするなよな。」


「ああ、わかった。ゴミのことをゴミとよぶのはやめておこう。」


「うおい!」


「ははっ!じょうだんだ。ちゃんとコースケとよぶようにする。ふふっ。」


俺が拳を上げ、本気では無いが殴る素振りを見せると、アルネロはまるで少女の様に笑いつつ、手でガードする素振りを見せた。


「はぁ…ひさびさにわらってほほがいたい。」


「アルネロの笑顔なんてレアものが見れてよかったよ。」


「……ふっ……わたしにひとりでたたかえるつよさがあればよかったのだがな…」


アルネロは優しい表情のまま、俯きつつそう言い放った。


「今更一人で行くとか言うなよ。ここまで来たら一緒にやり遂げるぞアルネロ。」


「……ああ、わかったコースケ。わたしにはおまえがひつようだ。ヤッパスタも、グリカも、ひとりもかけることなく、いえにかえるぞ。」


「それフラグだぞ。」


「そんなもの、コースケのカマでへしおってくれるだろ?」


「もちろんだ。折るどころか、真っ二つにしてやる。」



俺が拳を突き出すと

アルネロは笑顔で拳を返してくれた。

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