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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 中編
215/258

えぴそど215 きらわれもの

「ねぇ、聞いているの?」


賢者の声に俺は我に返る。


「え?あ、す、すみません。なんでしたっけ。」


みんなにとっては一瞬の出来事だっただろうが、俺にとっては声を張り上げた10分間だった。


「はぁ……もういいですわ。キラハから直接聞く事にします。」


賢者は呆れた様に俺から興味を無くした。


「ふむ、ならなぜヤツは『勇者』とこうどうをともにしているんだ。」


色々と開放された俺は、改めて桃犬とアルネロの会話に耳を立てる。


「簡単な事だぜ。サブダブは自分が皇帝や王様になりたいのさ。」


「……ふにおちんな。かりに、『王国』と『帝国』のそうほうを『勇者』にほろぼさせたとして、そのごの『施政者』になのりをあげるならまだしも、いまのだんかいで、『勇者』をうらぎってメリットも…いやそのまえに『勝算』があるものなのか?」


少し聞いていなかっただけで、なんとも不穏な話になっていた。


「まず、知っておかないといけないのは、勇者カクトが帝国のお偉いさんの反感を買いまくってるってことだ。」


あー

転生モノでたまにあったなー

勇者が疎まれてる話


「レベリオンなんて組織を許可なく発足させたのも然り、その旗印に帝国獅子の紋章を引用した事もそうだ。各地の救済と言えば聞こえは良いが、実際は相談すら無くやりたい放題だ。我が物顔で領内を好き勝手している組織を良くは思わないだろ。」


「あれは『皇族公認』の『紋』だときいたぞ。」


「いーや、皇帝も嫌々ながら認めるしかなかっただけだ。帝国内の最大組織であるパーフラ教を完全にバックに付け、300年も現れなかった未知の力を持った勇者の行動を止められる訳がない。だからこそ、サブダブが反旗を翻せば、貴族共がこぞって味方につくだろうな。」


「……その『紋』と『名前』をつけたのは?」


「もちろんサブダブだ。奴はこうなる事が分かってたんだ。逆に言えば、勇者が魔王を倒した後じゃ遅い、民衆が完全に英雄化しちまうからな。」


「『魔王』をたおし、『魔物』のきょういをなくすことより、『勇者』という『不穏分子』のはいじょをゆうせんとするのか。」


「全くもってそうだ。魔物の活動が活発化しているとはいえ、300年…いや、先代勇者も含めると500年は今の状態で国を維持してきたんだ。貴族共は自分の領土と爵位を次の世代に残すことしか考えていない。哀れな奴らだ。」


「………『貴族』どもにめをつけられ、ヤツが『大義名分』をもってぐんをおこしたとして、『天舞』にかてるものなのか?」


「勝てるんだろうよ。勝てる算段があるからこそ、準備をしている。そこまでは流石に俺も知らねぇ。」


「やりようはありますわ。」


そこまで話を聞いていた賢者が、カップをコトっとテーブルに置くと、アルネロに向かい話かけた。


「やりよう?」


「ええ、天舞の信託を授かったとしても、結局は人間ですもの。首を斬られ心の臓を突き刺せば、死にますわよ。そう、例えば寝ている時とかね。」


「ちかければちかいものほど、てにかけやすいということだな。」


「そうですわ。だからサブダブはきっと、舞台が整い次第すぐにでも勇者カクトの暗殺に着手する筈。」


「……ふむ…」


正直な所、俺とヤッパスタ、グリカは完全に置物状態だ。


更に言えば、ヤッパスタとグリカに関しては、話に飽きてきたのか、途中から用意されたお菓子を食べ、包装紙で折り紙をして遊びだしている。


俺もヤッパスタ達に混じろうかと思ったが、大人として、アルネロの方を選ぶ。


「な、なぁ。その話を勇者に話すってのは駄目なのか?」


「むりだ。」


俺の案はアルネロに一蹴されてしまう。


「なんでだよ。勇者に協力を仰げば、上手く行きそうだけど。」


「コースケ、まず、このはなしには『証拠』も『確証』もない。わたしも『桃犬』だからこそ、しんじるだけであって、ほかのものからきいたとして、『真に受ける』ことはしないだろう。」


「それによ康介、サブダブはアホじゃない。ただ問い詰められた所で、簡単に尻尾を出すような事はしないだろうし、不信感を抱かせる事は出来ても、ぽっと出の妄言を吹き込んだ側に協力すると思うか?」


「う……そ、それはそうだけど。じゃ、じゃあ何か手があるのか?」


「それを話してんだろが。さては康介はアホだな?」


「そこは『同感』だ。」


俺は現実逃避をして、ヤッパスタの折った猿の魔物の折り紙でグリカと遊び始めた。


「はなしをつづけてくれ『桃犬』。ヤツがことをおこすのはいつだとおもう。」


「ああ、ベル…賢者が信託を得た事で、勇者は魔王討伐を仕掛ける準備を始めている筈だ。少なくともこの一年の間に動き始める筈なんだがな。わりぃ、流石にそこはまだはっきりとはしない。」


「それをただまつしかないのか。」


「ですが、利点はありますわよ。サブダブが勇者に反旗を起こせば、帝国とレベリオン双方の弱体化だけに留まらず、先程のお話からするに、勇者は早々に殺される可能性もありますわ。」


賢者はとても悪そうな表情で言い放つ。


「そこを私とキラハ、それに貴方方で共同戦線を張れば、サブダブごと、帝国を壊滅できます。魔族側の方々にとって、驚異が二つも一気に消えるのですもの、良い事尽くしでしょう?ついでに魔王討伐もお任せなさい。」


「……そのあとは、きさまらとのたたかいということか。」


「ええ。ですが、私とキラハが手を取り合えば、万が一にも負ける事はありませんわ。なんでしたら、私達の元へ下ってもいいのです。そうして、世界は平和へと導かれる!最高のエンディングだとお思いません?」


「……ああ、そうだな…」



何かを思い詰めるアルネロを他所に

俺達の折り紙アートは次のステージへと進んでいた

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