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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
☆ I Can Fly ☆
21/258

えぴそど21 短い武器

ズラりと並んだ武器や防具

これぞ正に男子の憧れの景色ではないか!


早速、試しに鎧を着させてもらう。

重さは見た目と違って、立っているのがやっとと言う程では無い。だが、これを着て移動するのは体力的に厳しい。


そもそも、スキルのおかげで防具なんか必要無いのは分かっている。


やっぱり憧れるじゃないか!だってここは、剣と魔法のファンタジー世界なんだもの!行く行くは伝説の鎧とか着てみたいじゃんか!


「コースケには要らないんじゃないかな。」


強肉弱食を三度見ているメイエリオから冷静な一言が発せられる。やはり見た目はちゃんとしたいと力説すると、『じゃぁ、こっちなんかどう?』と軽装備のコーナーに案内してくれた。


結局、皮の装備を一式譲って貰う事にした。

その横にあった、鉄のプレート装備が格好良かったが、メイエリオの冷めた目線を感じ取り、止めておいた。


とは言え、これで見た目は立派な冒険者だ!多少暑いが文化的な見た目にもなり、ファンタジーの住人だ!テンションが爆上がりである。今ならジャクシンさんと笑ってデートだって出来るくらい上機嫌だ。


次に武器についてだが、特にこれと言って武芸を(たし)なんでいた訳では無い。


そうなると現実的なのはオーソドックスに剣かと思ったが、『突けば剣、振れば棍、投げれば矢』という言葉を聞いた事があり、俺には憧れていた武器がある。


その武器は『槍』だ


素人が戦う際に必要なのは距離だとも言うし、ちょうど良いと思っていたが、そもそも、敵の攻撃が届く間合いまで詰められた所で平気な訳だし、持ち運んで移動する事を考えると軽いのに越した事はない。


ここは短槍が理想的だ。

聞くと短い物は無いらしく、職人に頼んで柄を切って貰い、全長140cm程の物にしてもらう事になった。


メイエリオは『それも要らないんじゃ…』と困った様な顔をしているが、華麗にスルーしておいた。


別途、チレダさんから護身用の短剣も頂いた。

魔物の素材を剥ぐ際にも使用できるので是非にと渡され、腰に付ける鞘付きベルトまで貰った。


よく見ると剣の背には『Evelyn』と大きく彫られており、エブリン商会のオリジナルらしい。ちゃっかり広告塔にさせられた。


「そろそろいい時間ですね。ジャクシン様の元へ向かいましょう。」


笑顔で声をかけて来たフルブライトさんを余所に、昨夜の処遇に対する怒りがふつふつ再燃した俺は、なぜかメイエリオが乗り込んだ荷車を、必死に引いてギルドに向かった。




「遅い!」


入室早々の開口一番の言葉である。


こちらを向く事なく、書類に目を通しているジャクシンさんが威圧してきた。


「一時間前には待機しておけ馬鹿者共が!」


「申し訳ございませんジャクシン少将。3名をお連れ致しました。」


理不尽な要求に、さも同然の様に頭を下げるフルブライトさんを見て、社畜時代の自分と重ね少し悲しくなった。


ジャクシンさんはそんなフルブライトさんには触れず、話を続けた。


「コースケ。昨夜はよく眠れたか?」


「ええ、お陰様で身体の節々が悲鳴をあげて最高の寝心地でしたよ。」


冷たく硬い床で寝かされた事に、精一杯の皮肉を込めて答えた。ジャクシンさんは『ふふっ』と笑い、ようやくこちらに視線を向けた。


「許せコースケ。ギルド施設内での許可無き私闘に対する一夜投獄だ。周りへの示しも有りこうするしか無かった。すまん。」


ジャクシンさんの趣味だと聞いて怒り心頭だったが、自身が招いた騒動に対する結果だと言われ、納得するしか無かった。


その上、謝罪まで入れられては今まで燃えていた怒りの炎も抑えるしか無い。むしろ理由をしっかり考えなかった自分が恥ずかしくなっていた。


「そ、それは…こちらこそ謝罪の言葉も無く、公共の場での暴行騒ぎは本当にすみませんでした。」


大人として、こちらも一度ちゃんと謝っておくべきだ。俺は頭を深々とジャクシンさんに向かって下げる。


「いやいや謝らなくても良い。最初から見ていたが、問題を起こしたのはタルガージだ。本来なら奴を投獄させる必要があったが、こちらの依頼を無償で一つ受けさせる事で手を打った。」


「え?じゃぁ…」


「昨日のコースケの格好を見ていると、どう考えても牢が似合うと思いあちらで寝てもらっただけだ。夜半に一度観に行ったが、なんとも画になっていたぞ。」


と、くすくす笑いながら目元が緩むジャクシンさん。俺は無表情のまま、頭を下げるべきでは無かったと怒りを再燃させた。


「ジャクシン少将、そろそろ本題に。」


「そうだな。3人共そこへ座れ。」


ジャクシンさんに促され、メイエリオとユージリンと共にソファに座る。2人が横並びにならない様、然り気無く(さりげなく)真ん中に俺が座ってやった。フルブライトさんはソファの後ろに立ったままだ。


座った事を確認すると、ジャクシンさんは真っ直ぐに俺を見つめ口を開いた。


「貴様ら3人にはこれからある魔物の討伐に向かってもらう。反論は認めない、これは決定事項だ。」



早くもフリーランスの輝きが薄れ始めていた

ここでひとまず一区切りとなります。

次回から康介のお話はお休みになり、

勇者編のスタートです。

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