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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
殲滅☆大花火
205/258

えぴそど205 終息に焦れ

「ゴンゴン、息してる?」


ユージリンの治療を終え、ハピスは蹲るゴンガの元へと向かった。


「せ、せんせ…い…おら…おら…」


ゴンガの顔からは血の気が完全に引いており、青白く弱々しい装いを見せている。


「あーはいはい。もう喋らなくていいよ。かーなり出血しちゃってるねこれ。」


「おらの腕…治るだか…?」


「はいはい、喋らない喋らない。とりあえず、これ飲んで。」


ハピスはゴンガの口にポーションを差すと、鉄球から様々な医療道具を取り出した。


「はい、ちょっとチクっとしますよー」


更に血液パックを取り出すと、ゴンガに応急的な輸血を始める。


「後は、んー…腕かーどれどれ。」


「いづっ!」


ループに斬られた腕の状態をまじまじと診察すると、ハピスは心配そうなゴンガに向け笑顔を向けた。


「だ、大丈夫だか?」


「うん!ゴンゴン!無理これ!神経もズタズタくさいし、先の方の細胞は死んで来てるね!完全にこれ駄目!」


「そ……そんな……」


ゴンガは焦点が合わない程に動揺し、腕とハピスを何度も見直した。


「逆に、腕一本であの格上くさい敵に勝てたんだよ。誇るべきところだよ。下手したら死んでたし。ゴンゴンすごい!えらい!」


「………」


ゴンガの目に涙が浮かぶと、ハピスは『ふー』と一息をついた。


「ゴンゴン、大丈夫。私はアルケミストだよ。それも超が付くほどに一流のね。ゴンゴンの腕をちゃんと復活させてあげるから。」


「ほ、本当だか!先生!」


「うん、今までもやったことあるし、ま、今までやってきたものより格段に良くしてあげるよ。」


その言葉にゴンガが安堵の表情を見せると、ハピスは鉄球から何かを取り出し組み立て始めた。


「せ、先生、何してるだか?」


「ん?もちろん今すぐに腕は治せないから、ひとまず腕を切り落として止血しようかなって。」


「き、切り落とすだか!?」


ハピスが組み立てたのは大きな鉈だった。


「………もぉ!!いちいちうるさいゴンゴン!!まだ今回の作戦は終わった訳じゃないの!悪くはしないから!それとも私を信用できないの!?」


「……し、信用してるだよ…」


「おけおけ。じゃーいくねー」


その場に鈍い音と、ゴンガの声にもならない悲痛な呻き声が響いた。


「ふぃーよし。」


「うぐっ…ひくっ…」


「大の大人がこれくらいで泣かないの!ん?あ、おーい!バールたーん!みんなー!」


切り落としたゴンガの腕に包帯を巻いていたハピスが振り向くと、バールが筒が入った大きな鞄を持って駆け寄って来た。


更にバールの後方には、各々が街や栽培場で役割を果たし、合流したバールの仲間が一緒になり、向かってきていた。


「はぁ、はぁ、ほ、本当にもう大丈夫なのかよここ!」


バール達は息を切らしながら、辺りをキョロキョロと見渡す。


「うんー大丈夫大丈夫。もう敵は居ないよ。つか、居ないからこそ、作戦はある意味失敗なんだけどねー」


「し、失敗!?お、おい。どうするんだよ!」


「んーいいのいいの。今はとりあえず、相手の拠点を潰す事で良しとするのさ。とりあえずバールたん、筒のセットをしてくれる?あそこに向かって一斉掃射だよ。」


「あ、ああ。分かったよ。」


「ナットたんとワッシャーたんは、この粉をあの拠点近くにたんまりと振りまいてきて。人っ子ひとり居ないし安心してやっちゃってー」


「おっけー!」


「任せろ!」


「俺は?」


「あー……クランクたんはー……あ、そうだった、ユージリンをこっちに運んで来てくれない?あそこで寝てるから。」


「寝て………え?」


ハピスの指差す方向を見ると、白目を剥いてズタボロのユージリンが放置されていた。


「せ、先生…失敗って…」


バール達が手分けをして準備をしていると、ゴンガが不安そうにハピスに問いかけた。


「うん、結果からいうと失敗。装置や必要なものは全て持ち出されちゃった。どうやら、最後の敵は時間稼ぎだったようだね。」


「な、なんで分かるだか…?」


「んー見えるんだよね、そういう未来が。女の勘ってやつ?ふふふっ…だから終わり!あとは、腹いせにあの建物は木っ端微塵にふっとばそうとしてるけど(笑)」


「そ、そうだか…」


ハピスは腰を手に置き、仁王立ちのまま敵の拠点をまっすぐと見つめていた。


「な、なあ!えーと、ハピス?さん!」


「ん?なーに?」


クランクの声にハピスが振り返ると、クランクの腕の中でユージリンが意識を取り戻していた。


「おーユージリン?さん!起きなすったかー」


「……なんの?ですか…俺は…負けたんですね…」


「んー仕方ないよ。ゴンゴンもだけど、今回の敵は二人より全然強かったし。生きてるだけで勝ちだと思った方がいいんじゃないかな。」


「…ですが……」


「んもー!うじうじしない!!!そんな暇があったらもっと強くなりんしゃい!」


「……はい、すみません。もっと…もっと!強くなります!」


「うんうん、協力は惜しまないさ。」


ハピスはユージリンの頭を撫でると、どこからともなく出したポーションをユージリンの口に三度突き刺した。


「んぐっ!」


「ゴンゴンより君の方が重傷なんだから、どんどん飲めぇい!」


「ごほっ!ごほっ!は、はい…」


「うんうん、よしよし。」



「乳でかねーちゃん!準備出来たぜー!」

バールの声が草原に響いた

次話がこのパートの最終になります

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