えぴそど201 大岩を齧れ
「ようやく…会えたなクソ猫。」
ダリアは扇子を顔の前に広げたまま、面兵を二人引き連れ、ハピス達に向かい歩き始めた。
「んー?なになに?あなたがダリアって呼ばれてるヒス女かな?サインでも欲しいいの?仕方ないなー………ほら。」
ハピスは足元の石を拾い上げると、名前を書きダリアに向かい放り投げる。
「誰がヒスおん!!……ぐっ!…………い、石に名前を書くとはな……お前の墓標はそれでいいのか?くくっ、ちょうどいい穴もあるしな、あとはあっけなく死ねよ。くくくっ。」
「あー大丈夫大丈夫、よく見てみなよそれ。」
ハピスが放った石を見ると、そこには『ダリア』と書かれていた。
「墓標はそれでいいかい?にゃんてね。」
「………楽に死ねると思うなよ!!!クソ猫がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
激昂したダリアは扇子をへし折り、ハピスに向かい鬼の形相で叫びながら走り出した。
「やっぱヒス持ちじゃーん……ユージリン!ゴンゴン!こいつは私がやるから、後ろの二人をお願い!」
「分かりました!」
「は、はいだぁ!」
ユージリンとゴンガはそれぞれ武器を構えると、まっすぐ向かってくるダリアを避ける様に、ダリアの後方に追従する面兵と対峙する為回り込んだ。
「ループ!キープ!このクソは私の得物だ!!手を出すんじゃないよ!!!」
「「はっ!ダリア様!!」」
ダリアは部下に指示を出すと、眼を輝かせ始め、速さを加速させながら魔法陣を展開し、同じく眼を輝かせたハピスに向かい、攻撃を始めた。
「おらぁぁぁぁ!!!」
武器などは手にしていないものの、単純に振り下ろしたダリアの脚は、ハピスの回避能力のすれすれの速さで顔の前を通る。
避けた脚は地面に突き刺さると、数メートル四方がひび割れ陥没し、吹き飛んだ石がハピスに次々と当たる。
「鼻に入ったー!!!」
「なに避けてねんだボケがぁぁぁ!!!」
距離を取ろうとしたハピスに対し、ダリアは身体を両の足を巧みに使い、身体を捻りながら止めどなく蹴り技を繰り出した。
(右、次は左下。)
「!?………こいつ……」
ユウジにより、突発的に能力を授かったダリアは、元々戦闘の経験が少なく、幹部内で訓練は受けていたものの、ここまで自身の攻撃を避けられる事は殆ど無かった。
(あ、やばっミスった。)
しかし、無尽に放たれる脚技に、ついにハピスは捉えられ、両腕でガードするも、まとに蹴りを受けてしまい、体ごと地面に叩きつけられながら後方へと飛ばされる。
「……今のも…」
受け身が取られない程の衝撃を受けつつ、なんとか踏ん張り、身体を起こすも、ダリアはすぐに距離を詰めており、更に足技を放ってきた。
(いちちっ!!んもー!どうしたもんかなー!!めっちゃめんどいこいつ!!!)
「おいクソ猫!!!お前の邪眼!気に入らねぇんだよ!!!」
ダリアはなにかに気付いた様に、急遽脚へと纏わせた魔力を開放し、生身の体術で攻撃を始めた。
「へー邪眼って呼んでるんだ今。つか、何が気に入らないのか分からないけどー!魔力切った時点で何か勘違いしてるよー!!!」
ハピスは、魔力が無くなったダリアの蹴りを再度腕で受け止めると、威力はあり足元は後退したものの、今後は吹き飛ぶ事無くその場で踏ん張り切る事が出来た。
そして、すぐに足に付けていたナイフを取り出すと、ダリアの首筋に向け振り抜く。
「ぐっ!」
ダリアはナイフを避けるも、顔に当たってしまい、頬から鮮血が垂れ落ちる。
「………クソ猫…クソ猫…クソ猫!クソクソクソクソ!糞猫ぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「いや、語彙力低いなぁ。『クソ』以外の表現無いの?」
「クソがぁぁ!!!粋がるな!!!お前は所詮、紫熊と同じ!避ける事しかできない出来損ないだろうが!!!私はお前ら古いタイプとは違うんだぞ!!!!!」
鼻息荒く、呼吸の度に身体を大きく上下させながら、ダリアは目を見開き叫んだ。
「まぁ落ち着きなさいって。紫熊が聞いたらそれ泣いちゃうから本人の前では言わないであげてね。つか、ダリア……そろそろ合うよ?」
「くそがぁぁ!!」
ダリアは再びハピスと距離を詰めると、魔力を使わないまま蹴り技を幾度も繰り返し放った。
「ダリア、あなたの能力はもう分かってる。」
「うるさい!!!黙れ!!!」
ハピスは攻撃を時折攻撃を腕や足で受け止めながらも、威力を殺し、次々繰り出される攻撃を尽く避けていった。
「あなたの能力は相手の弱体化。あたなと近ければ近いほど身体が重くなるもの。間違いない。」
「黙れ!死ねぇぇぇ!!!」
「ごめんだけど!!これくらいの能力で勝ち誇られても困るんだよね!!!」
刹那の瞬間
ハピスのナイフがダリアの脚を貫いた
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そうです
各話のタイトルは正直内容に沿ってる訳ではありません
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン




