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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
殲滅☆大花火
192/258

えぴそど192 名誉と別れ

「ハピスさん!!!鳴りました!いけます!」


「おうさ………」


「ん?どうしましたハピスさん。」


「これに勝っても報酬も無いし……称賛も賛辞も無い……」


「そんなの──」


「それでも!私達じゃないと出来ない事が今目の前にある!しみったれた名声を捨て!我らは我らの信念の為!今ここで!!勝利を共にもぎ取ろうではないか!!!なぁ友よ!!」


「え?あ、はい。(何のスイッチが入ったんだ?)」


「は、はいだぁ!」


「時は満ちたり!かかれぇー!!」


未だ街と栽培場の方角からは、定期的に閃光が走り、轟音が響く中、三人は雨でぬかるんだ地面をものともせず、一気に走り出すと、それぞれ武器を構え、魔法陣を展開していく。


「イの壱様、敵襲です。高台の見張りがこちらに向かって来る3名を補足しました。」


「………敵襲……か…紅梟様に知らせろ。恐らく、例の裏切り者だ。」


「分かりました。」


「隊列を組む、終わり次第、盾と犬の班を走らせろ。」


「分かりました。」


いくつかの丘の様な起伏はあるが、敵の拠点までは見晴らしの良い草原が広がっており、距離にして1km近く離れているものの、三人はすぐに敵の見張りに見つかってしまう。


敵兵の中心には、他とは違い面を着けた者がおり、指を差しながら指示を出しているのがハピスには見えた。


(さぁ!さぁさぁ!どれくらい出てくる!)


ハピスは敵の動きを注意深く観察しながらも、大量の魔力を練り込み、最初の一撃にかける事にした。


しかし、予想に反し、建物の中から兵が出てくる様子は無く、外に居た見張り達だけが抗戦する姿勢を見せる。


敵の兵達は、5人一組の小隊に別れ、互いにそれぞれ距離を取りつつ陣形を整えると、その一つがハピス達に向け走り出す。


更にそのすぐ後ろには、魔物を引き連れたテイマーの小隊が追従していたが、距離を取りながら、あくまで分散をしていた。


「くっ、私が居るって分かってるな!組織的戦術が出来たくらいで図に乗るなー!!!」


ハピスのスキルは、破壊力のある一撃を放つ技に長けており、対集団戦においてこそ、その効果を存分に発揮する。


しかし、一つ一つの技の魔力の消費量は大きく、また、発動までの溜め時間も生じてしまう為、個別撃破を行う必要がある戦いには、どうしても不向きだった。


「ハピスさん!相手の一番槍は俺が引き受けます!奥の奴らを!!」


ユージリンは、ハピスとここまで何度も共に戦ってきていた為、ハピスの攻撃の特徴を掴んでおり、あくまで効率の良い戦い方を提案した。


「うーーーー………分かった!ユージリン!お願いする!ゴンガ!ユージリンの援護をお願い!!」


「ま、任せろだ先生!!」


「うし!じゃぁーこれだ!」


ハピスは魔法陣の展開を消すと、すぐさま別の魔法陣を手にした鉄球周りに展開し、足元へと勢いよく放つ。


〈初級槌スキル リアルパウンド〉


初級とはいえ、使用者のレベルも相まり、小規模な爆発を起こすと、巻き起こった粉塵の中から、ハピスが飛び出してきた。


その爆発の勢いのまま、前方から向かってきた敵兵の頭を軽々と越え、更にその後方に居たテイマー隊をも飛び越えた。


当初、呆気にとれられていた敵兵だったが、粉塵の中よりユージリンが敵に斬りかかった事で、その場は一気に混乱染みた乱戦となる。


「あの先頭の女は絶対に近づけさせるな。盾を追加で前に出し、弓を左右に回り込ませろ。」


面を着けたイの壱と呼ばれた敵が指示を出すと、拠点前に並んだ小隊の一部が更に前進を始めた。


「分かりました。あの後ろに居る二人はどう致しますか?」


「………剣2隊を左方丘面よりぶつけ、早々に潰してしまえ。その後、その2隊であの女の背後を取る様指示しろ。」


「分かりました。」


「ウの伍、ウの捌、あそこを抜かれるなら、我らも出るぞ。」


「「御意。」」


爆発を使い敵を飛び越えたハピスが、ぬかるんだ地面に着地すると同時に、その場へと矢が次々に放たれる。


「そんなもんで!!」


拠点まではまだ数百メートル程あり、敵兵が密集している場所までは流石に攻撃が届かない。


ハピスは左右の丘から矢を放つ敵を放置し、そのまま小さな坂道を駆け上がると、すぐ眼前に敵の小隊が向かってきていた。


「うにゃろぉー!!!ちょっとビビったじゃないかー!!」


ハピスは急に現れた敵の顔に対し蹴りを入れると、そのまま身体を捻り、手を地面に突きながら、更に別の敵に向け蹴りを繰り出す。


「きゃっ!!!」


しかし、二人目に蹴りを出した際、突いた手が地面の濡れた草で滑ってしまい、蹴り足を掴まれ、引っ張られてしまった。


更に体制を崩した所へ、敵兵の魔法陣を帯びた剣技が振り下ろされる。


「にゃははっ!甘い甘い!」


ハピスは地面に倒れた状態から鉄球で剣をいなすと、掴まれた足を軸に無理やり身体を起こし、周りに居た敵兵に向け鉄球を振り回した。


「どらどらどらどらぁー!!!ん…?え!?うそーっ!?」


身体ごと回りながら敵に攻撃をしていたハピスの目に、魔力を帯びた矢が無数に迫っているのが見える。


「仲間ごとってばっかじゃないの!?」


迫っていた矢は、そのままハピス含め、そこに居た小隊の敵にも刺さり、地面に刺さった矢は爆発を起こし、粉塵が巻き起こった。


尚も矢の雨は止まる事なく、拠点側からも放たれ、爆発と粉塵が次々に巻き起こる。


「あれでは死なんか……四班分をここに残し、後は全て前に出せ。私も出る。全員に伝えろ、奴の首筋に刃を突き立てるまで気を抜くなとな。」


「分かりました。」



粉塵から飛び出したハピスの目には

薄い横陣を敷き前進してくる大量の敵兵が映った

一方その頃栽培場へと向かったダリアは…

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