えぴそど19 監視
とりあえず前半の主要メンバーが出揃いました。
「コースケ様。コースケ様。」
名前を呼ばれ目を覚ます。
またあのオカマかと警戒し周りを見渡すが、なるほど本日の宿、高級プリズンだ。
鉄格子の方には制服を着た兵士が立っている。
顔だけ上げて男だと確認すると、もう一度頭を床に落とす。
亜空間での出来事は夢に違いないと決め込む事にしていた。だが、見たく無くとも足の分厚い鎖が見事な断面で切れている。夢にはさせてくれそうにない事実。
俺はあのオカマに唇を奪われたのか…絶望感で一杯だった。
「あの、コースケ様。そう露骨に無視をされますと、流石に傷付きます。」
制服兵士が何かを喋っているが、今はそれどころではない。俺には考える事が山積みだ。解決していく為にも、まずはこの世界の事をもっと知らなければならない。
ひとまずの最終目標は国を建てる事!いやいや、そんな大それた事本当にできるのだろうか。
寝起き頭で精一杯考えていたら、制服兵士が微笑みながら中に入って来た。手には湯気が出ているヤカンがある。
「コースケ様。そろそろ実力行使させていただきますよ?」
「おはようございます。すみません。ちょっと考え事をしていました。」
「いえ、謝罪される必要はございません。さぁ一緒に外に出ましょう。」
兵士は切れた鎖の断面を見つめた後、こちらに振り返り再び爽やかに微笑んだ。後を付いて外に出ると、すっかり夜は明けており、街には人が溢れている。改めて見ると本当に大きな街だ。
「さて、申し遅れました。私はアスタリア国陸軍第三師団所属、魔法騎士部隊の副部隊長を努めておりますカルフィーラ・フルブライトと申します。今日はコースケ様の案内する様に仰せつかっておりますので、以後お見知り置きを。」
ジャクシンさんと同じ色の制服を着ているので、一般兵とはどうしても毛並みが違う様に見える。副部隊長というのがどれくらいなのかイマイチぴんと来ない。
首辺りまでの長さの金髪に、元々細い目は微笑むと白目が確認できない程になる。身長は俺より少し高いくらいだろうか。
騎士と言うより学者の様な印象を受けた。
とても丁寧に接している所を見ると、待遇に不満を持っていたが、こちらも大人に対応しなくては。
「ご丁寧にありがとうございます。あそれでフルブライトさん、どこへ行くんですか?お腹がペコペコでできれば先に何か食べたいのですが。」
「かしこまりました。予定としては、後ほどギルドに向かい、ジャクシン様とお会いして頂きます。その前に人も呼んでおりますが、合流時間にはまだ時間もありますので先に朝食を取りに行きましょう。」
また、ジャクシンさんかとテンションが下がるが、爽やかに微笑むフルブライトさんに付いて行くしか選択肢は無い。
合流予定の人達に向け集合場所の変更を一般兵士の人に出している。一般兵の対応の仕方を見るに、フルブライトさんにはかなりお偉いさんの様だ。
店に着くと、フルブライトさんはコーヒーを頼んだ。
どうやらもう朝食は済ませている様だ。
メニューを見てみるが、パンにハムにスクランブルエッグ等、洋食が並びすぎている。味噌汁が呑みたくて仕方が無かった。
「すみません。食事に付き合わせてしまって。」
「いえ、構いません。それにこれも仕事です。先ほどは案内とお伝え致しましたが、率直に申し上げておきます。私はコースケ様の今後の行動を監視する様に命じられております。」
「ぶほぅっ!」
悪い人ほど笑顔で近づいて来ると言うが、ここまで直球にお前を見張ると言われると気持ちのいいものでは無い。
「監視って具体的には…」
「そんなに警戒しないでください。監視と言っても、アスタリア国に滞在の間はお側に仕える様なものです。記憶を無くされているコースケ様のお世話係だと思ってください。内容はもちろんジャクシン様にご報告しないといけませんが、私の目で、コースケ様が敵国の間者ではないと証明できるかもしれません。」
正直な所は喜ぶべきだろう。
いくら調べたって間者である事実は無いので、こちらにとって不安要素は一切無いのだ。
その上、メリットは大変多い。
何も知らないこの世界と状況で、実に有能そうな人が付いてきてくれると言うのは強い。外国で現地コーディネーターを雇う様なものだ。
問題があるとすれば、行動の制限が如何ほどまでにかけられるか、行く行くはこの国を属国にしないといけなくなるか、全員を皆殺しにしないといけない可能性があると言う事だろう。
「そうですか。はは…喜ぶところかどうかは置いといて、質問があります。」
「どうぞ、当面ご一緒するのであればコミュニケーションも大切です。なんなりとお聞き下さい。」
「まず、私の行動制限についてです。夜酒場に行ったり、それこそ街を出るような事はできますか?」
「基本的にはどちらも可能です。もちろん私が同行しますが。国を出る際にはジャクシン様の許可が必要な為、事前に理由や場所など含めご相談頂く必要があります。」
今すぐこの街を出るといった話では無い。
だが、この国にだけ肩を担ぐ訳にはいかなくなったのだ。色々見聞を広げる為にも、ずっと制約がかかってしまっていると厳しい。
「わかりました。その言葉だけで充分です。次に、期間はいつまでですか?酒場にも同行されるとなると、フルブライトさんのプライベートが無くなる様な…誰かと交代する感じですか?」
「お気遣いありがとう御座います。期間と交代についてはジャクシン様次第です。コースケ様に不信感はお持ちで無い様なので、それほど長くなるとは思えません。私のプライベートについてという事ですが、お気になさらないでください。家族はおりませんし、上官の命令です。軍人は従うしかありません。」
苦笑いをしながら答えるフルブライトさんは、俺に負けず劣らずの社畜にしか見えなかった。君もお酒の呑み過ぎでトイレにハマらないようにね。
「わかりました、フルブライトさん。これからよろしく。」
「こちらこそ。よろしくお願い致します。コースケ様。」
こうして俺の監視され生活が始まったのであった
逸道:什造と二柱
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死神:什造 じゅうぞう
貧乏神:丞之座 すけのざ
疫病神:郭東 かくとう
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丞「おいいいいい!什造!お前なに勝手に俺の陣営でBL本流行らせてんだよ!見てみろ!帝国側にまで闇市で流通話が出てるじゃねーか!」
什「あらースケちゃん!何度言ったらわかるの。ジューちゃんよジューちゃん。それに純愛と言うのはいつの時代も美しいものだわ。」
丞「うるせーよオカマ!さっさと消せ!クソみたいなもん流行らすんじゃねー!」
什「クソって…んもぅわかったわよ。天啓を使って書くのを止める様言っておくわよ…」
郭「おいいいいい!什造!お前なに勝手に俺の帝国の軍服にフリルつけてやがんだよ!見てみろ!髭面の将軍にフリルとかネタ通り越して怖いわ!」
什「んもぅカクちゃん!ジューちゃんよ!ほーら言ってみてジューちゃんって。それにフリルがあった方がとってもかわいいわ。」
郭「うるせーよオカマ!さっさと取れ!クソみたいなもんつけんじゃねー!つかどうやったら一夜で全員フリル付きにできんだよ!」
什「クソって…んもぅわかったわよ。天啓を使って、事は成された。って取る様に言っておくわよ…」
丞「おい!什造!」
郭「おい!什造!」
丞郭「「おい!!什造ぉぉぉぉ!!」」
什「ジューちゃんって呼んでぇぇぇぇ!!」
康介が召喚された朝、神々は神々で大変だった。
什「ふぅ…上手く騙せたわね。」




