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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
殲滅☆大花火
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えぴそど188 恬淡に隠れ

「お、おいらも行くだ!」


ユージリンとゴンガの意思を汲み取り、ハピスは尚一層に笑みを膨らませると、ゴンガに優しく頷いて返事をした。


「気合良し!だが、無策に突っ込んでも勝算が薄すぎる。そこで!こちらも何か策を講じるとしよう!」


ハピスは腰に両手を置き胸を張り言った。


一際大きな彼女の胸が揺れると、ゴンガは顔を赤らめる。


「さーく♪さーく♪さくさくさーく♫」


「策ですか?」


「そう!もちろん今までも無策って訳じゃなかったけど、もっとどぎついのが必要だぅ!ヨゥージョリン!何かない?」


ハピスは両手で自身の胸を抱えると、ゴンガの方に向かい『うりうりー』と言いながら上下に振った。


ゴンガは『や、やめてくれろ!先生!』と恥ずかしそうに顔をそむける。


「名前が限りなく惜しいです。そうですね、ハピスさんの話を聞く限り、拠点に仕組まれた戦力が分からないというのが一番の問題だと思います。」


「その通り。下手したらユウジの能力を使った幹部が居てもおかしくない。いや、今まで居なかった事の方がむしろおかしいんだけどね。特にそのダリアって女は危険な感じがする。」


「なら、真っ先に仕込まないと行けないのは陽動でしょうね。拠点から人を割かせないと。」


「そう!逆に言えば、相手の戦力を分散させ、個別撃破が出来た時点でこっちのもんだー!!……だけど陽動は準備に時間が掛かるし、戦力の分散は失敗した時のリスクも高い。最善が最前になるとは限らないからね。」


「その事についてですが…もしかしたらこちらの戦力を分散させる事なく行えるかもしれません。」


ユージリンの言葉に、依然ゴンガに対し胸で迫っていたハピスが振り向き、ユージリンの正面にある椅子に座った。


「詳しく。」


「はい。」


ユージリンは地図を広げ、鞄から筒を取り出しハピスに説明をすると、ハピスは真剣な表情でそれを聞き、時折メモを取った。


「うん、うん。いいね!ユンユン!いつの間にそんなものを手に入れたの!面白い!!それで行こう!どうせならぱぁーっといかにゃーね!!」


「これについては本当にたまたま見つけただけですが…それより、交渉が成功すると言うのが大前提です。」


「一応バックアップ案は私が作るさ。同時侵攻で進めて行けばなんとかなるっしょ!いやぁ素晴らしいね!!これ一個ちょーだい!」


ハピスは嬉しそうにユージリンの背中を何度も叩きながら、ユージリンが取り出した筒を指の上で回していた。


「せ、先生。おいらはどうすればいいんだ?聞いてもよく分からねぇだ。」


「んー?ゴンゴンは明日、ギルドに行って働いてくれればいいよ。その時にこれを持っていくのを忘れずにね。その間に、私とオージロンで仕込みは済ませておくから。」


「わ、分かっただよ。」


「では、私は明日、彼らを見つけ次第、金で釣って交渉に持ち込みます。その結果次第で、また修正していきましょう。」


「うんうん!そうしよー!いやぁ今夜はよく寝れそうだー!あ、ユージリン。今夜は気分が良いから、また一緒に寝るかい?」


「え!?い、いや。こ、今夜は、その…朝早いので、遠慮して…おきます…」


「そうかー残念。じゃぁ私は部屋に戻るよ。グンナイーメーン!」


ハピスが楽しそに部屋を出ると、ユージリンとゴンガの間に、気まずい雰囲気が流れた。





翌日



「それを信じろと?」


「はい。間違いありませんローランさん。差額はこちらで今日中に補填させて頂きます。」


「ふむ…」


とある建物の一室で、ユージリンは商人のローランと話をしていた。


ローランの後ろには、先日酒場で会った若い冒険者が4人立っている。


「元より奴らの言う金額で卸すつもりは無かったが、その事を君が私に話すメリットが感じられん。しかも、ただ話を聞くだけでこの量の報酬……どうして私にこの事を?」


二人が囲むテーブルの上には、ユージリンが用意した硬貨が入った袋が置かれている。


ユージリンは、若い冒険者達に、雇い主の時間を買うので会わせて欲しいと頼んでいた。


「この街に良くない組織が根付こうとしています。麻薬ポーションもその一端でしょう。私は王国を守る為、それを阻止したいのです。」


商人はその言葉を聞くと、葉巻に火を付けた。


「ぷはぁ……それはフットプリンツとか言う奴らの事か?」


「流石です、ご存知でしたか。」


「やはりそうか……商会でも時折話が出る奴らだ。恐喝紛い所では無く、ただ単純な弱みを握る恫喝により、各地の商会より資源を集めている。幸い、クリュスには来ていなかったが、東から徐々に西に向け勢力を拡大していると聞いた。」


「そうです。奴らの母体は帝国にあります。このまま放置すれば、更に西へ南へと奴らは増え、きっとローランさんの街へもやってくる事でしょう。」


「ふむ…だがな…」


ローランは葉巻を吸いながら、天井を仰ぐ。


「何かありますか。」


「何かだと?ありすぎるな。」


「……良ければ教えて頂けませんか。」


「良いだろう。まず、今会ったばかりの君の言葉を信じるには確証が少なすぎる事。次に、それほどまでに拡大した組織に一石を投じよう等と、私の様な一介の商人には大それた大事だ。更に…」


ローランは溜息を一つ付く。


「君が今『麻薬ポーション』と呼んだオピオイドを取り仕切っている者が誰か分かっているのか?」


「………予想は付いております。そして、その売上が奴らの資金源として流されている事も。」


「まぁ、そんな所だろうな。そして君が思う者で間違いは無いだろうが、問い詰めた所で尻尾を出す様なお方では無い。もし、私が加担している事が明るみに出れば、どうなることか。」


「ではローランさんは、このポーションがクリュスや、王国中に蔓延し、人々を苦しめ、国が転覆する事態に陥っても、我関せずを通すのですか。貴方の行動で、今正に、世界が救われるのかもしれないのですよ。」



ローランはユージリンの言葉を鼻で笑った

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