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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
殲滅☆大花火
184/258

えぴそど184 狂気が溢れ

「まじかー!読まれていたにしても、流石に多すぎだっっってっっの!!!おりゃー!!!」


ハピスは雨の中、次から次へと現れる敵に対し、果敢に挑み続けていた。


四方八方から絶え間なく打ち込まれる攻撃をギリギリの所で躱しつつ、応戦していが、その一つ一つの攻撃は決して弱いものでは無く、気を抜けばハピスですら重傷を負いかねない程の威力と精度だった。


「どいつもこいつも眼を使いやがってからにー!!もー!!!うにゃらー!!!」


敵はそれぞれ違う形をした異様な面を付けては居るものの、目のある部分が発光しており、時より別格の強さを見せる所から、ユウジのスキルを与えられている事が分かる。


それは、全員では無いにしろ、今までとは明らかに所持者数が多く、練兵次第では驚異になる事は間違い無かった。


「こんな人数にスキルを!!クラバナぁぁぁ!!!ユウジが帰ってこれなくなるぞアホーーー!!」


拠点をこれだけ過度に防衛する時点で、記憶を取り戻す弐過変速型複写装置の完成はまだ無いと言える。


にも関わらず、ユウジの記憶を代償としたスキルがこれ程の人数に使用されていては、流石の天舞と言えど、無事である筈が無い。


誰がそんな状態にしているのか。


考えられる限り、ユウジの影に隠れつつも、実質的に組織を支配をしているクラバナ以外ありえない。


そう、現、紅梟だ。


「そう!紅梟だよ!誰か分からないけど!説明ありがと!!……ん?」


「あの女だ!!!構えぇぇ!!!前進んんん!!!」


「「「「「おおぉぉぉぉ!!!!」」」」」


ハピスが戦いを続けいると、雨の中、側面より怒号にも近い号令と、複数の気配を感じとった。


「ここでかー!!もー!やばいかもー!!」


フットプリンツとは別に、王国兵の格好をした兵士の集団が、こちらに向かって来ている。


(ユージリン!!ゴンガ!お願い!無事で居て!!)


「うにゃらぁぁぁ!!ハピス!いっきまーーーーす!!!」


ハピスは、戦いの中ではぐれてしまった仲間を想いつつ、再び戦火の中に飛び込んで行った。



戦いの三日前────



「ほいじゃーユーン!私はちょっくら行ってくるねー!」


「せめてジリって下さいハピスさん。明日までにはこちらも何とかしておきます。どうかお気をつけて。」


「はいはーい!頼りにしてるよー!じゃねー」


ゴーロンの街へと入ったユージリンは、ハピスとは一時的に別れ、更に体格から目立ってしまうゴンガを酒場で待つように伝えると、街の中をくま無く歩いて状況を探った。


(王都にも比較的近いだけはあって、相変わらず生活水準は潤ってはいる。しかし、なんだ…この違和感は。以前ゴーロンに来た時より、何か不気味さを感じる…)


ユージリンはコースケ達と出会う前、冒険者時代には王国各地のクエストに参加しており、ここゴーロンにも来た事があった。


国境沿いのブーメルムや、それに近い元々生まれ育ったヤーの街とは違い、帝国の影響を受けにくいここゴーロンでは、元々戦乱に対する意識が低く、殺伐とした雰囲気は本来無かった。


しかし、今はまるで、開戦前夜の様にどこか重苦しい空気が流れ、人々から笑顔等が見受けられない。


(これは話しを聞く必要があるが…)


ここまでフットプリンツの拠点を攻撃する際、付近の村や街に組織の影響が及んで居ないか、ユージリンが調べていた。


直接会話を交わすと怪しまれてしまう可能性があった為、市場や酒場等で耳を立てる事が殆どだったが、ゴーロンでは、会話をしている人の方が少ない。


(これほどの人数が行き来しているにも関わらず、喧騒を全く感じられない。やはり何かおかしい…)


その後もユージリンは街の中を歩き回ったが、特に有力な情報を得る事が出来ないまま、日が暮れてしまう。


「ゴンガ、すまない。時間が掛かってしまって。」


ユージリンはゴンガを待たせていた酒場に入ると、いくつもの空き皿を並べたテーブルでいびきをかいているゴンガに話しかけた。


「ごがー!え?!あ、ゆ、ユージリン。す、すまねぇだ。お、おいら寝ちまってた!」


「いいんだゴンガ、ゆっくり出来たのならなによりだ。」


ユージリンがゴンガの向かいの席に腰をかけると、店員が近付いて来る。


「あんた、この人のツレかい?散々食べた後寝たから、会計の心配をしていた所なんだ。」


ユージリンはその話しを聞くと、腰袋から金貨を出し、店員に渡す。


「それはすみません。私の友人がご迷惑をおかけしました。私も何か頂きたいのですが、彼と私の分は、これで足りますでしょうか。」


「あ、ああ。それだけあればあと10倍は食べてもらっても構わないけど…」


「なら、私におすすめの料理とエールを、お釣りは迷惑料として取っておいて下さい。」


「へ!?」


店員は驚きつつ、何度も頭を下げながら金貨を受け取ると、厨房へと戻って行った。


「ゆ、ユージリン。い、いいのがぁ?あんなに渡しちまって。」


ユージリンはゴンガのその問いに答えず、口元に人差し指を立てた。


その直後


「おい、にぃちゃん。えらい気前の良いことしてるな。俺達も混ぜてくれよ。」


ユージリンの背後から、数名の酔っ払った冒険者風の若者達が4人近付いて来た。



心配そうなゴンガを傍目に

ユージリンの口元は笑っていた

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