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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 前編
174/258

えぴそど174 取り囲むマンティコア

俺は炎に包まれたまま正面に走り込み、上空から見た獅子型の位置の辺りにまで来ると、鎌化槍を思い切り振り回した。


(くそっ!もう充分近付いた筈なのに!)


手応えは全く無く、尚も眩いばかりに光り輝く炎の渦の中に、俺は取り込まれている。


(避けられたのか!やばい……息が…)


走り続けた所為もあったのか、息を止めていた苦しさもあったのか、俺はよろけてしまい、斜面にあった岩に足をひっかけ転び落ちてしまった。


炎の渦からは逃れたものの、体中を岩肌にぶつけ、身体強化が無ければ、戦闘不能になっていたかもしれない。


獅子型は炎を吐くのを止め、ダメージを追っていない二体がこちらに向け、猛スピードで向かってきた。


(はっ…そっちの方がありがたいぜ。)


『ガキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


『ガキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


『ガキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


大の字に倒れたまま、二体の爪と尾による攻撃を受けるも、強肉弱食により全て防ぐ。


撥ね退けられる度、警戒する様に距離を取る獅子型だが、追撃が無いと分かると、すぐにまた一気に近づき攻撃を繰り出す。


爪や尾によるダメージは皆無だが、すぐ眼前で巨大なおっさんの顔がどアップである事の迫力が、俺に精神的ダメージを与える。


(気持ちわりぃーんだよ!)


二体の挙動が揃った瞬間、準備していた〈小かま〉を俺は発動させる。


わずかなゆらぎが起こった瞬間、ゆらぎに近い方の獅子型は察知し、途端に翼を使い上昇する。


その直後現れた〈小かま〉は、ゆらぎから遠い方の獅子型を貫くも、咄嗟に回避行動に出た為、胴体の一部を貫くだけに留まり、致命傷にはならなかった。


聞いていた様に、この獅子型の魔物の速さは尋常では無い。下手したら、紫熊と同じ位の身のこなしだ。


「ふざ…けんなよ!」


俺は力を振り絞り、〈小かま〉が刺さり身動きが取れない獅子型の顔面に向け、鎌化槍を振り下ろす。


『ボゥォォォゥゥガァァァ!!』


おっさんの眉間に鎌化槍が刺さると、獅子型は俺に向かい無茶苦茶に攻撃を仕掛けて来た。


その動きはかなり鈍ってはいるものの、最初の一体と同じく、脳があるであろう部分を仕留めても倒れない。


ギャリギャリギャリギャリ!!


離れた所から、何かを強烈に引っ掻いている様な音が、高速で俺に近付いて来た。


〈虎流格闘スキル パイルバンカー〉


俺が鎌化槍を突き刺した獅子型の首元に、アルネロの鉄甲の巨大な杭が食い込む。


獅子型の頭部は胴体と離れ、大きく吹っ飛びながら血しぶきをあげていた。


「だいじょうぶかゴミ!」


「あ、ああ。転んだだけだ。」


「こていがいねんにとらわれすぎだ!よくみろ!」


アルネロがそう叫びながら、吹き飛ばしたマンティコアの頭を見ると、首筋の辺りから脳と思われる部位が垂れていた。


人面を模した分厚い頭の上部に脳があると思っていたが、どうやら太い首の中心部分が急所だった様だ。


「ご、ごめん…あ!!アルネロ!」


「ちっ!」


飛び上がっていた獅子型が炎を吐きながら下降を始める。


更に、最初に〈小かま〉を当てた獅子型も、動きは鈍いが、こちらに向け再度炎を放って来る。


アルネロは俺を置いたまま距離を取り、俺は再び炎に包まれた。


(またかよ!息が!)


〈中級大剣スキル ボアクラッシュ〉


俺のすぐ近くで巨大な爆発が起こり、爆風と共に一瞬炎から逃れた俺の身体を、すかさずスティンガーが抱きかかえ、獅子型から距離を取ってくれた。


「あ、ありがとうございます!」


「大した奴だなナマゴミ!あれだけの攻撃を受けてまだ生きてるとはな!」


身体強化の効果が切れ、素っ裸になったおっさんの俺を、スカーフェイスで渋いおっさんが抱きかかえ走り、その二人を、気持ち悪いおっさんの顔を持った魔物が追いかける。


なんとも形容し難いおっさんの花園が生まれてしまった。


しかし、どうやっても獅子型の方が早く、このままでは追いつかれ、スティンガーが危ない。


「スティンガーさん!俺は大丈夫です!置いていって下さい!奴の攻撃は防げます!このままじゃ追いつかれるだけだ!」


「しかし…」


「いけます!俺よりアルネロを!」


「アルネロ?」


「あ、えと、アカーシャです!」


俺がアルネロを指差し、スティンガーが確認すると、アルネロが最初に攻撃した一体目と戦っている所だった。


〈小かま〉を食らわせてはいたものの、アルネロの攻撃を細かに避け、尚も攻撃を繰り出し、アルネロに出血が見られる。


「……承知した!離すぞ!」


「はい!お願いします!」


スティンガーは俺を離すと、そのままアルネロの方へと方向を変え、大剣を構え走って行った。


俺は追いかけてきた獅子型がスティンガーの方へと行かない様に、獅子型に向け突っ込む。


「っつ!!!いてぇんだよくそがぁぁ!!」


鎌化槍を構え、走りだす俺の身体は、岩肌に打ち付けられた所為で各所に激痛を走らせる。


「ボォォォォォォォォ!」


獅子型も咆哮しながら俺に向かい一直線に向かってくる。



俺達の戦いはこれからだ

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