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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 前編
173/258

えぴそど173 崖の上のマンティコア

ジャリ…

 ジャリ…


俺は岩肌剥き出しの山道を、身をかがめながらゆっくりと進んでいる。


目標は数百メートル先に居る獅子型の魔物三体。


名はマンティコア。


まるでライオンの様な身体に、蛇になっている尻尾、蝙蝠の翼を携え、顔は新橋の酔っぱらいの様な人面タイプだ。


岩山である事から木などの遮蔽物が無い事もあったが、遠くから姿が分かる程大型の魔物だ。


今は斜面を挟み、向かいの山の岩壁の上にて、別の魔物の死体を食べている所だ。


俺は予め決めていた場所にまで到着すると、後ろを振替りアルネロ達の様子を伺う。


回り込みながら斜面を降り、風下から獅子型の後ろを取る形だ。


アルネロからは『姿が見えなくなったら行動開始だ』と聞いている。


俺は〈小かま〉を準備し、照準を一番手前の獅子型にセッティングする。


初手の奇襲で、一匹を確実に仕留める。


アルネロ達の姿が完全にこちらからは見えなくなった。念の為、後3分程待ち、行動に移る。


戦いに慣れて来たとはいえ、未知の魔物との戦闘は緊張してしまう。いざ始まれば何とも無いが、どうなるか分からないこの瞬間には慣れそうには無い。


俺は時計を確認し、早る気持ちを抑えつつ、〈小かま〉を発動する。


距離が離れている為、出現のゆらぎが見えないまま、突如現れた漆黒の〈小かま〉は獅子型の脳天を貫いた。


俺はその姿を確認すると同時に、獅子型の正面に向かい走り出し、斜面を更に斜めに駆け下り、一直線に距離を詰める。


『ボォォォォォォォォ!!』

『ボゥォォォゥゥゥゥ!!』


〈小かま〉が消えると、血を吹き出しながら倒れる獅子型の魔物の姿を見て、残りの二体が雄叫びをあげる。


その目はしっかりと向かって来る俺の姿を捉えているように、こちらを向き体制を整えつつ翼を広げ威嚇行動に入って来た。


「突貫する!!」


俺は更に注意を自分に向けておく為に声を張り上げ、短槍に魔力を注ぎ、鎌化させた。


〈身体強化(死神)〉


更に万全を期す為に死神を喚び、すぐさま憑依させる。


現れた死神が獅子型の魔物を見て、一瞬ビクついていたが、一切合切を無視しておいた。


〈小かま〉はギリギリまで温存しておきたいので、今は地力で戦う必要がある。


俺の変化を見てかどうかは分からないが、その瞬間何かを悟った様に、二体がお互いに距離を取り、俺を左右から囲む様な位置に付いた。


俺はアルネロ達が回り込んでいる左の獅子型をターゲットにし、最初に倒した獅子型が横たわる方向へと走る速さを加速させた。


左の獅子型は距離が縮まっても特に避ける素振りは無く、正面から対峙するかの様に二本の尻尾を前に向けた。


(一撃で仕留める自信があるんだな!だけど!尻尾の攻撃は防げる!!)


『ガヴァァァァァァァ!!』


思いもよらない方向から聞こえた咆哮に、俺は驚きつつも、横を向くと、真横から赤色ともオレンジ色とも表現し難い、巨大な光が差し迫っていた。


「ぐぅぅ!!」


炎だ


身体をすっぽりと覆う程の大量の炎が、俺を襲っていた。


幸いな事に、心配していた強肉弱食は完全に機能してくれている。


なぜなら、服はまるで燃えているかの様に一瞬で炭化し、風に舞いながらその切れ端を遠ざけていくのだが、皮膚には火傷らしきものは無く、身体強化で真っ黒になった皮膚が見える面積が大きくなるだけだった。


しかし、身体強化の効果で耐えているだけの可能性も否定できないし、それよりも大きな問題として、アルネロの危惧した様に、息ができない事態に陥ってしまった。


「かはっ!ごほっ!ごほっ!」


熱は感じないし、地面に燃え移った火のダメージも今の所無いが、身体を覆う程の巨大な炎の為、周りの酸素が燃やされ、吸えども吸えども息苦しくむせてしまった。


(や、やばい!下手したら一酸化炭素中毒だ!ここを離れないと!)


俺は眩しさに耐えながら、炎が向かって来ている方向とは別に走りだし脱出を試みるも、進めど進めど抜け出せない。


(くっそ!!!)


息を止めて置くことに限界を感じた俺は、真上に抜けようと、足に思い切り力を込め、真上に跳んだ。


着地のダメージが不安な為、トモが居ない状況で天に向け飛ぶことを避けていたが、今はそんな事を言ってられない。


身体強化の効果で耐えられると信じるしかなかった。


一瞬だが炎から抜け出した俺は、すぐに魔物の位置を確認する。


正面には元々向かっていた獅子型、真後ろにも放置していた獅子型、更に、倒したはずの獅子型が起き上がり、三体がそれぞれこちらに向け炎を吐いていた。


(かまが浅かったのか!?あ!やばい!)


すぐに三体は上空の俺に向け炎を方向修正し、俺は再び光の中へと呑まれた。


そのまま自由落下で落ちて行くものの、炎から抜け出せず、抜群のエイム力で炎は俺を包み続ける。


(がっ!!!)


俺は光に包まれたまま距離が分からず、地面に落ちた為、受け身を取ることができず、地面に顔からぶつかってしまった。


(くそっ!距離を詰めるしか!!)



痛みはあるものの骨には異常が無い事を確認し

俺は意を決し真正面に向かい再び走り出した

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