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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 前編
169/258

えぴそど169 肉とフォーク

「お前ら、少しの間で良い。俺様が行う魔物討伐に力を貸せ。」


セシルはフォークで刺した肉をこちらに向け、不敵な笑みを見せながら言った。


「魔物討伐?そういった仕事はギルドや兵士が請け負ってるのでは無いのですか?」


俺は深くは考えず、ありのままの疑問をぶつけてみた。


「ああ、勿論依頼は当主である父上からギルドへと出されているし、ジャンカーロの兵達も同様に討伐隊は組まれ行動している。だがそれは俺様の功績には一切ならん。次期ランスター家の当主として、ここいらで大きな実績を持ちたいのだ。」


「?なら、護衛依頼をギルドに出して──」


「下民は本当に頭が悪いな。護衛を雇ったとして、その目的が魔物討伐なのであれば、結果的に父上の依頼と被ってしまう。何としてでもギルドの介入無く進めなければ、俺の功績では無くなってしまうのだ。」


「じゃぁ、やっぱり兵士を使ってとかですか?」


「はぁ…俺を見て分からないのか?」


セシルは人を小馬鹿にするような表情をし、フォークを皿の上に置いた。


「俺様はまだ成人の儀が終わっていない。」


「……いや、どや顔で言われても…終わって無いと何かあるんですか?」


俺の問に、セシルは呆れた顔を見せ、グラスを手に取り、飲み物を呑んだ。


「コースケコースケ、帝国では成人の儀が終わっていないと、基本的に兵士を率いてはならぬのですよ。」


グリカが肉を頬張りながら、小声で言ってきた。


「え?でも、さっき狼に追いかけられていた時に鎧を着た人達がいませんでした?」


「あれは……兵士では無い。俺の派閥の侍従達だ。政治的な事は得意な奴等だが、武芸に富んだ者はおらん。騎士の称号を持つ者で無い限り、成人の儀の前でも率いる事は可能だ。」


セシルが少しばつの悪そうに言うと、傍に居た侍従達も物悲しそうな雰囲気を出していた。


恐らく、先程追いかけられていたのは、この侍従達が狼を仕留めきれず、結果逃げる羽目になったという事だろう。


「でも、仮に私達がセシルさんに付いて行くとして、見返りはありますか?」


「それ相応の褒美をやる。なんだ、やる気になったか?何が欲しい。」


「あ、いや。まだこっちでも相談してみないと。」


「セシルさま。」


俺とセシルの話が進む中、途中から沈黙していたアルネロが口を開いた。


「まものとうばつのけん、ごいっしょさせていただきます。」


「おお!?おお!そうか!そうかそうか!!はははっ!おい!ギャレッド!スティンガーをここへ!」


「はい。おい、スティンガーを呼んで来い。」


「はっ!」


もちろん、この旅の実質的なリーダーはアルネロだ。彼女自身が判断し決めた事であれば、俺達は別段反対するつもりは無い。


「ただし、ほうしゅうについてごそうだんがあります。」


「お?なんだ!?言ってみろ!さぁ!早く早く!」


セシルは相当嬉しいのか、先程までとは違い、子供の様にはしゃぎテンションが高い。まぁ、実際14才くらいの子供なのだが。


「セシルさまのおちからで、わたしたちの、まったくあたらしいみぶんしょうを、おつくりいただきたい。」


「全く新し…い?………ふっ、そういう事か!ギャレッド!出来るか!」


「はい。ギルドへの根回しは可能です。」


「だそうだ!これでいいかアカーシャ!」


「はい。ありがとうございます。われわれはいつでもしゅったつできますゆえ、あすでもあさってでももうしつけください。」


「よし!スティンガーが来たら、すぐにでも準備に入り、作戦を練るぞ!」


「「「はっ!」」」


盛り上がるセシル達とは対象的に、ヤッパスタの顔は暗かった。


「大丈夫かヤッパスタ。」


「……旦那、嬢、すまねぇ。俺は今回パスだ。我儘なのは分かってるが、どうも気が乗らねぇ。出来る事なら終わるまで暇が欲しい。」


「……ああ。分かったよヤッパスタ。お金を渡すから、宿を取って酒でも呑んで待っててくれよ。いいよな?アル…アカーシャ。」


「ああ、わるいなとうぞく。かってにきめてしまって。」


「あ、いや。嬢達が決めた事に反対するつもりは基本的にはねぇ。だが、だめだ。このモヤモヤした気持ちのまま戦闘に入ったら、何かあった時、迷惑をかけちまうかもしれねぇ。旦那、嬢、グリカもすまねぇ。」


申し訳無さそうにするヤッパスタの肩を優しく叩くと、そのまま街へと向かうヤッパスタを見送るり、俺達は別室で開かれ始めた作戦会議に参加した。


「スタンレー山脈の麓にある坑道には、以前のスタンピードの際に崩れ、せき止められた部分があります。その穴から魔物が大量に湧いているという情報が。」


「何!?元々の情報ではキグマの森のホットスポットだったはずだぞ。行く手をクリスタルウルフに遮られてしまったが、あそこが大量発生の場所に違いない!」


「冒険者どもは、バリウスの丘にあるダンジョンから大量に出てきていたと言っているらしい。そっちは無視していもいいのか?」


先程まで暗い雰囲気だった侍従達が、ここぞとばかり活気付いて議論している。


どうやら、魔物の転送が活性化しており、中でも通常の倍以上の量を転送している場所がある様だ。


セシル達の目的は、一番魔物の転送量が多いホットスポットの調査と封印だ。


だけど、実際問題、そんなのどうやって判断するのか俺には分からない。


そして、集まっている侍従の中で、一際異様な雰囲気を出しているのが、セシルが呼ばせたスティンガーと言う男だ。


ヤッパスタ並の巨躯に、至る所に古傷を付けたスカーフェイス。腕組みをしているその腕の太さは丸太を連想させる程大きい。


恐らく、歴戦の戦士、または手練の傭兵の様だった。


「アル…アカーシャ、この依頼を受けて本当に良かったのか?」


「さいりょうのけっかとはいいがたいが、このくにでのライセンスがてにはいるのはおおきい。はなしがこじれないようにだけきをつけておけ。」


「ああ、分かったよ。」



俺とアルネロは議論の中心から離れ

部屋の壁際から会議の様子を眺めていた

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