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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 前編
164/258

えぴそど164 仲間ノコギリ

グリカはここまでの話を、あくまでグリカ目線の内容でアルネロに向け話していた。


「以上なのです……」


「はなしはわかった。きさまにはもうようはない。」


「……殺すの…ですか…?」


「は?なぜだ。きさまはころされるかちがあるとでもおもってるのか?」


「私は身も心もサブダブ様に捧げた身。貴女は彼に恨みがあるのでしょう?」


その言葉にアルネロは明らかな不快感を示し、不機嫌な顔でグリカを睨みながら口を開いた。


「……うぬぼるなガキが。きさまはあのおとこにいいようにりようされただけだろうが。じぶんでもほんとうはきづいてるだろう?このじたいをまねいたのはやつだというのが。」


「そ、それは…」


「ずぼしだな。」


「あ、貴女に何が分かるのです!!ええ!ええ!私だってそこまで馬鹿じゃないのですよ!でもどうしようもないじゃないですか!信じる者も導いてくれる者も誰もいないのですよ!?どうしたらいいんですか!!仇だとしても、すがるしかないのですよ!!!」


グリカの怒声が響き終わると、風が木々を揺らす音だけがしばらく流れた。


「はぁ……バカにこれいじょうつきあってられん……もういい、きさまはすきにしろ。わたしにはかんけいのないことだった。」


「………うっ…うぅぅ………お母様…私は…どうすれば良かったのでしょうか……うぅぅ…」


アルネロは立ち上がると、座っていた椅子を蹴飛ばし、扉を勢いよく開けると、階段を降りていった。


「…………………しんじるもの…みちびいてくれるものか…………おかみさん…ししょう…ジャクシンさま…それにみんなも……………あーーもぅ!!!」


アルネロは階段を降りる足を止め、頭をガシガシと掻きむしり、振り返ると、再び階段を駆け足で登り、祭壇の間へと入っていった。


「おい!きさま!」


アルネロの声に、うずくまり泣きじゃくるグリカが顔を上げる。


「わたしについてこい!いっしょにあいつをぶんなぐるぞ!!!!」


「……ひぐっひぐっ……ぶん…なぐ…る?」


「そうだ!きさまのこころのモヤモヤは、あいつをぶんなぐればきえる!ぜったいにだ!!」


「意味が分からないのです……ひぐっ…」


「りゆうやこんきょなんてなんでもいい!わたしをしんじてみろ!きさまのこころを、かならずはれやかにしてやる!」


「必ず…?…ひぐっ……ち、誓えるのですか…?貴女の亡くなった信じる者達に誓えるのですか?」


「ああ!ちかってやる!わたしのかぞくに!なかまに!!!もしはれなかったら、わたしもなぐればいい!それでもだめならせかいじゅうのにんげんをかたっぱしからなぐりにいく!わたしがさいごまでつきあってやる!!!だから!ついてこいグリカ!!」


「…………ひぐっひぐっ……分かったのです……一緒に行くのです……」


アルネロはグリカの前で膝を折ると、グリカの両頬を手で思い切り掴み、顔を真正面から力強く見つめ、語気を強める。


「ついてくるだけじゃない!ぶんなぐるんだ!わかったか!!マヌケが!」


「…ひぐっ…ぶ、ぶんなぐるのです…」


「よし!ならいますぐなくのをやめろ!したくをしてついてこい!」


「…ひぐっ…わ、分かったのです。」


「こえがちいさい!」


「わ、分かったであります!」


「ならさっさとにもつをまとめてこい!!」


「は、はい!」


自室に戻って行くグリカを見届けると、アルネロは少し呆れた様に、ランタンに映る自分の顔を睨んでいた。





「というわけだ。」


「いや、全然分からん。」


俺が宿で寝こけていると、腹部への強烈な踵落としで起こされ、あげくの果てに要所を端折りまくった説明を受けた。

(もちろん強肉弱食で防がれダメージは無い)


アルネロの後ろで、目を腫らし大きな荷物を抱えたグリカを見る限り、よっぽどな事情があったのだろうが、その殆どの説明を省かれてしまっている。


「えと、つまりその子を仲間に入れるって事でいいんだよな?」


「ああ。そういっているだろボケが。」


俺はグリカに聞こえない様に、アルネロに近付き耳元で小さく聞こうとした。


「俺達が王国の人間だってバレ……ぐぼぁぁぁ!!」


瞬時に、俺の腹部にアルネロの強烈な肘が刺さる。


俺は涙を流し悶絶しながら地面へと伏せると、顔を上げアルネロに目で訴えかける。


「おい、ゴミ。わたしが『兎人』だとわかってないのかゴミ。ちかよらんでも、きさまらよりはみみはいいにきまってるだろゴミ。おいゴミ。きいているのかゴミ。なまゴミ!」


アルネロは俺の顔面に足を押し付けながら、何度も何度も侮蔑してきた。


少し顔が赤らんで居たので、くすぐったかったのだろうか。


「それに、わたしたちのことはすべてはなしてある。こやつがうらぎるなら、すべてはわたしのせきにんだ。きにするな。」


その言葉に俺は、アルネロの足を掴み、ゆっくりと地面に下ろしながら立ち上がり、グリカに振り返る。


もちろん顔にはくっきりと足跡付きだ。


「事情はどうあれ、一緒に行くんだ。これからよろしくグリカ。」


「は、はいなのです。」



俺達の旅に

回転ノコギリ娘が加わった

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