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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
☆ I Can Fly ☆
16/258

えぴそど16 交差する思惑

アルネロ何も見せ場が無いままアホ認定

それからも質問に次ぐ質問

尋問に次ぐ尋問


俺だけでは無く、メイエリアにも流石に疲れの色が見える。ウサ耳アルネロに関してはアホづらで寝てしまった。


そして


「最後に、私とアルネロとメイエリアのレベルを教えてくれ。」


と聞かれた。そう言えば見てなかったなとも思い、俺は鑑定眼を発動し確認する。


テオ・ジャクシン レベル37

アルネロ レベル30

メイエリア レベル15


そう伝えるとジャクシンさんは、それまでの如何(いか)にも軍人ですと言った雰囲気が一変。一気に嬉しそうな顔になった。


その上、しっかりとメモに書いている。

今までの話でメモに取る様な事は無かった。レベルを聞いたメイエリアは、少し複雑そうな顔をしていたが…


「ちょっとこっちに来い!」


と腕を掴まれギルド長室を出て、一階が見渡せる場所に連れてこられた。テンションに火が着くポイントが難しいなこの人。


「左から順番にレベルを教えてくれ!」


面倒臭いなぁと思いつつ片っ端から答えてやった。

此処には居ないタルガージ達のも伝えている。ジャクシンさんは、楽しそうに名前とレベルを書き込んでいる。


「なあコースケ!写真等では無理か!?」


そう言うと、胸ポケットから大勢映った集合写真を渡される。やった事は無かったので、試しに拝借し確認してみたが判らなかった。


と言うより、写真がある事に結構驚いた。

文明レベルがチグハグな気がする。画質は鮮明とはいかないが、カラーなのだ。魔法もある世界なので無理矢理自分を納得させた。だって、これがあるならエロ本も期待できる。


ジャクシンさんは少し悲しそうな顔になるが、何かを思い付いたように、一階に向かい叫び出した。


「緊急招集だ!第一、第二、第三大隊の動ける兵を10分以内に裏に集めろ!指揮官達もだ!」


その声を聞くなり、一階は蜘蛛の子を散らすように大慌てとなる。その姿を見て『ふふっ』と笑うジャクシンさんは、可愛いと言うよりただのドSだった。


また腕を掴まれギルド室に戻ると、ジャクシンさんの席の後ろからバルコニーに出た。下には塀で囲まれた広場があり、奥の建物から次々に人が走って来ている。


軍服を着た人や、甲冑を身につけた人、ローブを纏った人等、多種多様だ。ジャクシンさんが、奥の建物は兵舎だと教えてくれた。


集まるのを待っていると、メイエリアが「大丈夫?」と飲み物を持ってきてくれた。優しい上に可愛すぎる。今すぐ抱きしめたい気持ちを必死に抑えた。


広場では徐々に整列が整ってきている。

待ちきれなかったのか、俺に左から順に教えてくれと言ってきた。此処まできたらやるしか無いが、これ一体何人居るんだ…


────やっと終わった。

もう無理だ。こちとらへとへとだぜ。軽く一時間以上はかかっている。


「凄いぞコースケ!今までは模擬戦や上官による評価、依頼功績でしか測れなかったが、低いと評価されていた者や、パーティでお荷物扱いされていた者でもレベルが高い奴は居た!つまり適材適所では無かっただけなのだ!ははははっ!凄いぞコースケ!これは凄い!」


「そ、そうっすか…俺はもう疲れましたよ。」


「そうか!良かったな!あははははっ!」


ダメだこれ。

テンション上がり過ぎて聞いてないわ。いや、聞いてて笑ってるのかもしれない。この人ならあり得る。


「安心しろ。今夜は高級宿を用意してやる。ゆっくり休むがいい。」


「お、マジですか。それはありがたいです。その、お腹も減ってるんで食事もお願いできますかね。」


「あぁ!もちろんだ、構わんぞ。だが、まだ外を自由に歩かせる訳には行かない。ここに運ばせよう。座って待っていろ。」


まぁ、この際ワガママは言えないな。

ジャクシンさんはまた、二階の踊り場から一階に向け、料理を持ってくるよう叫んでいた。


「なんとかなりそうで良かったねコースケ。」


「ありがとうメイエリア。君には随分と助けてもらったね。今度、何かお礼が出来ると良いのだけれども。」


「ううん、気にしないで。私は命を助けて貰ったんだよ?お礼をするのは私の方。まだまだ足りないくらいだよ。」


メイエリアと甘い時間まで堪能できた。

大変な日だったが、これはこれでアリだったのかもしれない。


食事を終えると、兵士が迎えに来ており、メイエリアと俺は別々に宿に案内される事になった。




**********

「して、ジャクシン様。如何でしたかな彼は。」


男は紅茶を片手に、外で兵士に連れて行かれる康介を窓から見ていた。


「今のところ敵意は感じられない。が、無策に放っておくのは危険だ。奴の能力は思っていた以上に強大過ぎる。ちょっかいをかけたタルガージが手も足も出ないまま腕を折られたぞ。いや、足は出ていたか。」


とクスクス笑うジャクシン。その言葉に男も口元を緩めた。


「ほぅ、あの紺碧の一閃を子供扱いですか。スケアリーベアー3頭を一人で倒したというのも、あながち嘘ではないのかもしれませんな。素晴らしい逸材だ。」


男は紅茶を置き、真剣な顔でジャクシンを見る。


「ジャクシン様。これはまたとない好機ですぞ、彼を────」


「分かっている!いちいち口に出すなハイデン!しばらく様子を見たい…奴に信の置ける者を付け監視させる。それからでも良いであろう。」


「かしこまりました。ですがあまり時間が残されておりません。どうかお急ぎを。」


ハイデンと呼ばれた男は、そう言うと部屋から出て行った。ジャクシンは窓から見える夕日を眺める。その目はどこか哀しそうであった。



分かっている

分かってはいるのだ

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