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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 前編
155/258

えぴそど155 綿毛ポメラニアン

帝国領(恐らく)に来た俺達は、近くを探索しつつ、そのままダンジョンの入り口で夜を明かした。


「準備出来たぜ。」


「ああ、俺も大丈夫だアルネロ。」


「うむ。きのうのうちあわせどおり、あのトウをめざし、ひとめはさけていく。ばしょのはあくがさいゆうせんだ。」


「分かった。行こう。」


森の中に建つ建造物。


高くそびえる塔を目指し、俺達は森の中へと入って行った。


「予想通りと言うかなんというか、帝国も王国も、森は変わらないんだな。」


「あたりまえだろ。だが、ふうけいをてらしあわせても、アスタリアでてにはいるちずにはのっていないばしょだ。つまり、アスタリアのにんげんがはいってはいけないりょういきにはちがいない。」


「王国の人間ってバレたらガチでヤバいやつなんだな。」


ヤッパスタの不穏な発言を聞き流しつつ、尚も森を進む。


「お?ありゃ魔物か?こりゃまた随分と…」


「かわいらしいな…」


しばらく森の中を進んでいると、数十メートル先に魔物が現れたが、まるでたんぽぽの綿毛の様にふわふわとした、丸いポメラニアンの様な姿だった。


「……きをぬくな。ていこくとおうこくではしゅつげんするマモノのレベルがちがう。あっとうてきにていこくのほうがきょうあくなんだぞ。」


「え!?そうなの?」


「そうですぜ旦那。まあ、魔王のなけなしの情けって事なのかもしれねぇが、アスタリアの方が帝国よりは安全だって言われてらぁ。」


「……だからこそ、ていこくのにんげんは、まおうのとうばつをひがんとし、しんこうしようとしている。」


「な、なるほど。」


そうだとしてもあの造形…とても強そうには見えない。どう見てもペットの部類だ。


念の為にレベルを確認してみる。


「うぉ!?れ、レベル32!?」


「普通につえぇな…」


「……3びきか、ムリにたたかうひつようはない、うかいするぞ。」


「あ、ああ。」


元々、道があって無い様な所を進んでいた俺達は、アルネロの先導ですぐさま道を変え塔を目指した。


「アルネロ嬢、あそこにもいやがる。」


「アルネロ、あっちにいるぞ。」


「……うむぅ…」


だが、道を変えても綿毛ポメがそこら中に生息しており、まるで塔を守護しているかの如く、何度もエンカした。


「倒せない相手じゃないだろ?進んでみたらどうだ?」


「……だが、ちかくにひとがいたばあい、せんとうおんをきかれ、ムダにめだつことはさけたいのだがな…」


「嬢、そうも言ってられねーだろ。それとも塔を諦めて違う場所に行くか?」


そう、別にあの塔に必ず行く必要は無いのだ。


ただ、遠目から見ても人の気配は感じられず、あそこに登れば辺りが一望出来るだろうという、安易な考えからきたものだった。


「いや、いくぞ。あのトウへ。」


「じゃぁたたかうのか?」


「うむ。ゴミ、わるいが、いってくれるか?わたしはあのきにのぼり、まわりをけいかいしておく。」


「ああ、俺ならダメージは無いしな。任せろ。」


「たのむ。」


何気に、アルネロから初めてお願い事をされた気がしたが、俺は気にせず槍を鎌化しつつ一人綿毛ポメに近付いた。


が、


すぐ眼前まで来たものの、綿毛は葉っぱをもしゃもしゃ食べながら、こっちに時折顔を向けながら食べ続けている。


何とも愛くるしいまんまるな眼から、警戒心や敵対心の欠片も見受けられなかった。


「え?これ……」


俺は、斬りつける気が起こらず、鎌化を解き、膝を付くと、頭を撫でてみようとゆっくりと手を伸ばした。


『ガウアァァァ!!!』


「うわぁぁぁ!!!」


その瞬間、綿毛の中から3つのドーベルマンの様な顔が現れ、俺に対し襲いかかる。


まるで、ケルベロスの様に連携が取れた3つの顔だったが、噛みつき攻撃は俺には効かず、強肉弱食で防ぐ。


そんな事より、急に飛び出してきた事により、俺は、心臓が口から飛び出る程にビビっていた。


正直、少しだけ、ほんの少しだけパンツが湿ったのはここだけの話。


「くっそ!!」


俺はすぐに槍を再度鎌化し迎撃体制を取る。


さっきまで天使の様な綿毛ポメの表情すら、凶悪な目つきに変わり、『グルルルル』とうなっている。


「旦那!大丈夫ですかい!?」


「ああ!問題ない!」


ヤッパスタの声に振り向き反応すると、俺は鎌化槍で振り払おうと前を向き直す。


「!?」


綿毛ポメが3匹に増えとる!


合計9つのケルベロス首に、てんやわんやひっきりなしに攻撃を食らう。もちろん全て弾けるのだが、服がどんどん破れていき、見栄えのいいものでは無い。


「くっそっ!!!」


俺が鎌を振り払うと、一つの首をかする。


正直な所手応えは無い。


攻撃も単調で、倒せない敵では無いが、とても面倒臭い気持ちがふつふつと湧いて来た。


おそるおそる木の上に上がったアルネロを見ると、まるで興味が無い様に、残念なものを見る目でこちらを見ていた。


「んもぉぉぉぉぉ!」


俺は綿毛ポメに飛び込み、無我夢中で鎌化槍で切って行った。


「助太刀致するのです!」


その時、見知らぬ声と共に、目の前に黒い影が現れ、綿毛ポメの一匹に斬撃を入れた。


「え?え?誰!?」


「私が来たからにはもう安心するのですよ!」


なんか分からないが、お面に黒装束の女の子が俺の前に立っている。



慌ててアルネロの方向を見ると

顔を手で覆う様に頭を抱えたアルネロの姿が見えた

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