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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
突撃☆隣のクソ野郎 前編
152/258

えぴそど152 触手ダンス

「お、おいアルネロ嬢……」


「アルネロ…これ…」


「………う、うぬぅ……」


帝国へと密入国する為、人も寄り付かない危険な海沿いのレアダンジョンへと潜った俺達は、五階層にあった隠し部屋で転移装置に乗り、違う場所へと飛ばされた。


「ま、まだ気付いちゃいねぇ、今のうちに奥のあの部屋へ行けねーのか。」


「……ムリだ。ここがダンジョンであれば、おそらくこれはボスなのだろう。こいつをたおさないとあのトビラはひらかない。」


「たおすってこれ…え……これを?」


魔法陣の強い発光が終わり、目を開けると、俺達三人はとても広く大きな空洞の中に立っていた。


そして、その大空洞の中心に居たのは、まるでサザエの様な、巨大な貝殻型の魔物だった。


巨大と言っても、最初目にした時は建造物かと見間違うほどで、それは、ブーメルムの城壁の大きさを優に超えている。


なんだったら超時空要塞○クロスだ。


「でもよ、全然動かねぇな。もしかして本当は中に人が居る…と…か…うわああああああ!!う、動き出したぞ!!」


急にサザエ…もとい、貝型の巨大な魔物から蜘蛛の足の様な生えだした。


というより貝殻に蔦の様に巻き付いていたのが展開し、それが足となり身体?を少し起こし向きを変えてきた。


殻口の部分にはおびただしいほどの触手の様なものがうごいめており、そのグロさはホラーそのものだった。


「どどどどどどうするんで旦那!あんなのに捕まったら一瞬で食べられちまう!!つか、潰れちまう!」


「おおお、落ち着けヤッパスタ!いざとなったらカマを使う!」


地面は揺れ、尚も向きをゆっくりとこちらに向けてくる貝型の恐怖に、俺も少し漏らしてしまいそうなほどだった。


「アルネロ!とりあえず、戦うのか逃げるのか決めてくれ!」


「……にげる?たたかうにきまっているだろう。」


「アルネロ嬢!あんなもんどうやって戦えばいいんだよ!!無理だろ!人がどうこうできるデカさじゃねぇ!」


「そ、それはわかっている!いま、かんがえているだろうが!」


「いや、考えるつってもよ!」


あのアルネロが明らかに焦ってる。


「アルネロ、とりあえずカマを使ってみようと思うがどうだ!?」


「あ、ああ!そうか!よし!いけゴミ!」


「りょーかいぃ!」


本来は〈大カマ〉で行きたい大きさだが、前回の森での戦いで男気をかなり消費してしまっている。


出発までの合間にあの手この手で頑張ってみたが、戦闘中でなければ拾うのが難しく、105ポイントほどしか残っていない。


その上もう一つ問題がある。


本来、〈大カマ〉を使用しようとすると、航空写真の様に上空からの映像が俺の視界に映し出されるのだが、ダンジョン内では、外の景色が見えるだけで中はロックオン出来ない。


実際にダンジョンの中で使った事が無いので、どうなるのかは不明だが、今この場で試せるものでもない。


俺は意を決して貝型に向かい走りだした。


「……ん?おわぁぁぁ!!!」


急に触手が伸びだし、こちらに向かってきた。


触手の大きさはだいたい直系1~2メートルだろうか、薄い紫色の硬度不明の不気味なものだ。


幾本にも伸びる触手が、俺に向かい振り下ろされるが、強肉弱食の効果でなんとか弾くことが出来た。


「アルネロ!ヤッパスタ!避けろ!!」


まだ無数に伸びている触手の内の半数以上が、アルネロ達の方向へと伸びていく。


「どわぁぁぁ!!!」


「くっ!!」


かろうじて避ける二人だが、いかんせん数が多い。


「こんなもんどうすりゃいいんだ!」


「……ゴミ!はやくやれ!」


「ああ!!分かってるよ!」


俺は効かないと分かった触手を無視し、〈小カマ〉を触手の奥深くをターゲットに、目一杯引き伸ばし発動させた。


わずかなゆらぎが起こり、すぐさま黒鉄の巨大な鎌がサザエに刺さる。


同時にボトボトっと切れた触手が地面に落ちるが、その被害は微々たるものだろう、貝型は気にする事無くこちらを攻撃してくる。


「だ、駄目だアルネロ!いくらなんでも大きすぎる!攻撃が効いているのかどうか分からない!」


「……ゴミ!スキルをつかってカラのぶぶんをこうげきしてみろ!はなったらすぐにはなれるんだ!」


「分かった!」


「……とうぞく!ゴミのあてたばしょを、こうかのうむにかかわらずねらってスキルをはなて!わたしがおなじところにわざをぶつける!」


「お、おうさ!任せろ!」


そう言うと、俺の後ろにヤッパスタとアルネロが、魔法陣を展開しつつ走りながら付いてきた。


俺も〈小カマ〉の準備をしながら、貝型の殻口から離れ裏手に回る様に走る。


縦に三人並び、的に向かい走り出すその光景は、傍から見ればさぞ何かの三連星として映るだろう。


「今度こそ!!!」


俺は狙いを定め、〈小カマ〉を発動させるが、予想に反し、カマは刺さらず殻で止められてしまった。


「嘘だろ!?この殻!カマが効かない!」


「かまわん!ゴミ!どけろ!」


俺は動揺しつつも、近くに気配を感じ、その場を離れた。


〈強化スキル ハッスルマッスル〉


「いくぞぉぉぉ!!おらぁぁぁ!!」


〈中級槌スキル アースインパクト〉


強化スキルからの連続発動で、膨れ上がったヤッパスタの極太の腕で繰り出したスキルは、大爆音と共に強い衝撃波を巻き起こし、貝型の殻部分へと直撃する。


カマの時とは明らかに違い、外殻部分がいくらか削れ落ちたのが分かった。


「のけ!とうぞく!!」


「おうよ!!!」


アルネロの声にヤッパスタは機敏に反応し、ゴロゴロと器用に転がりその場を離れる。


〈虎流格闘スキル イエローストーン〉


アルネロが装着している左の鉄甲の後部が、可変し、大きく開いた状態から魔力を帯びた杭が突き放たれる。


ヤッパスタに勝るとも劣らない大きな衝撃を起こし、粉塵を舞い上げた。


「ど、どうだ!?」


ヤッパスタと共に、塵で視界が効かないアルネロが居た方向を見ていると、アルネロがこちらに向かい走ってきた。


「はなれろ!ボケども!」


すぐ後ろからは無数の触手がこちらに向かってきている。


「おわわわわわ!!!」


「ヤッパスタ!早く!起き上がれ!」


俺達もアルネロの後を追う様に走り出す。


「殻は!?割れたのか!?」


「だめだ!キズはつけられたが、てごたえがない!」


塵が薄くなった方向を見ると、確かに攻撃した部分の殻は削られているものの、まだまだ分厚そうな殻のままだった。


「どうするんだよアルネロ嬢!ジリ貧だぜ!」


「うるさい!かんがえるから!とりあえずはしれ!」


この状況をどうすればいいのか誰も分からない状況だった。


そもそも拳王がもう少し具体的なアドバイスをしていれば、対策も充分だったかもしれない。


なんで謎掛けみたいな事しか言わなかったんだあいつ!!くそ!


「ん……いや、まてよ………そうか!あれか!!」



キラハの事を考えていた俺に

一筋の光が差し込んだ

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