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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
未来へと続く選択
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えぴそど147 ヤッパスタエクセレント

「一年ぶりだなユージリン、それにハピス嬢。元気だったか。」


名前を呼ばれ、ユージリンとハピスが振り向くと、服が乱れ、髪の毛もボサボサなヤッパスタが妙なポーズを取り立っていた。


「ヤッパスタ…」


「んー?元気元気ー」


「ふっ、変わらねぇなぁ…この街はよ。」


髪の毛をかき上げ、斜め上を向きながら語り口調で話すヤッパスタに、俺達は無視を決め、庭で食事の続きを行う。


久しぶりの感動の再開…の練習をしているのだろうか。


朝、みんなで朝食を取っていた食卓に、寝坊したヤッパスタが放った第一声だった。


もちろん、飲み会からまだ一夜明けただけで、一年も経っていない。


「ふっ…」


何やらそんな感じのモードのまま行きたい様なので、しばらく放って置くことにした。


「嬢ちゃんはどうしたんだ兄弟。」


「メイエリオは部屋で出発の準備をしているよ。5日後には立つらしい。俺もこの後ハピスさんと旅の支度に、街に出て買い出しをして、早ければメイエリオに合わせて出ようと思う。」


「そうか、本当にみんなバラバラになっちまうんだな…風が泣いてら。」


なんだろうか。


今ヤッパスタの時間軸がどこにあるのか、本当に分からない。いや、正確に言うとあまり分かりたくない。


「旦那、俺達はどうするんで?」


そんなヤッパスタから、ようやく気にして欲しい内容が飛びだした。


「アルネロが今日、ジャクシンさんの所へ報告に行ってるはずなんだ。その結果次第だけど、午後にはギルドに行ってアルネロと合流する手筈だ。それまでに顔くらい洗っておけよヤッパスタ。」


それを聞くとヤッパスタは『うい』と短く答え、ハピスさんが作ってくれた朝食を平らげていった。


「あ、そーだヤーパッパ。当分会えないかもしれないから、これを渡しておくよ。」


ハピスさんが鞄から3つの瓶を取りだした。


瓶の中には、大粒の丸薬が入っており、それは形も不揃いで、色も毒々しい感じだった。


「おー!グレート薬!ありがてぇ!……ん、でもなんか違うのもあるな。」


「うん、身体が動かせない間ヒマでさー色々改良してみたんだ。でも、やっぱり負担も大きい薬だし、何かあっても一緒に居なきゃ対処できないからさ、この中で一つだけ選んでよ。」


何の薬かは分からなかったが、会話の内容からおそらく、ヤッパスタをギガント化する薬に違いない。


「ハピスさん、ちなみにそれって誰にでも効果があるんですか?」


俺の問いにハピスさんは笑顔のまま首を横に振った。


「んーん、なんだろうね。実際の所私にもよく分かんないんだよねーそもそもヤーパッパに最初に飲ませたこの白い薬も、ただの強壮剤で、私が呑んでも身体は大きくならないんだよ。」


「コースケ、俺とメイエリオも飲ませてもらったんだが、身体が軽くなっただけでヤッパスタの様にはならなかったぞ。」


「そうなのか。ヤッパスタの必殺武器みたいで格好いいなそれ。」


「おー!旦那!分かってくれてるじゃねーか!」


というより、もしそれでメイエリオがでかくなったらお前らどうしてたんだよ。


「あーちなみに左から、今までと同じグレートが紫色、焦げ茶色のがスペシャル、青なのかなんなのか分からない色がエクセレントだよ……効果は…もうここまできたら分かんないや(笑)」


ネーミングセンスが小学生以下だった。


「この選択で、旦那とアルネロ嬢の窮地を救えるかどうかが決まるかもしれねぇ…どうしたら……はぅぁー!!」


ヤッパスタが奇声をあげ急に天井を見上げ固まった。


「ど、どうしたヤッパスタ。」


「大丈夫か?」


「あ…あ……何か、声が…聞こえる…これは……俺?…なんだ……青い鳥?……前世の…記憶……?」


ヤッパスタは急に涎を垂らしながらぶつぶつと呟き始め、何かやばい妄想を見出している様で怖かった。


「お、おいヤッパスタ。」


「エ、エクセレント…」


「んー?これでいいの?」


「そうだハピス嬢!俺はエクセレントを貰っていくぜ!なんだかよくわかんねーけど、これにするべきだって気がする!」


「おけおけーじゃ、いつも通りだけど、呑んだら必ず次の服用まで三日は最低でも空ける様にね。」


「ああ!感謝するぜ!」


こうして、ヤッパスタはハピスさんから、どんな効果が出るかも分からない危険な薬を手に入れた。


「あ、ヤッパスタ起きたんだ。」


メイエリオが大きな鞄を持って二階から下りて来た。


「おうよ!ばっちり目覚めたぜ!それにしても嬢ちゃん、ず、随分な量だなそれ。」


ヤッパスタが言う様に、メイエリオが持っていた荷物は相当なものだった。


むしろ、身ひとつでこの家に住みだした筈なのに、この短期間にどれだけ物が増えてたんだ。


「ほとんどがシュナちゃんとトモの身の回りのものだよ。私のは弓矢と少しの服くらいかな。」


それを聞くと、自分の荷物の事だけしか考えていない自分が恥ずかしくなった。


「ふー食べた食べた。よし、眠くなっちゃう前に買い物すませておこうかユージリン。」


「はい!」


「あ、ハピスさん、買い出しに行くなら私も付いて行っていいかな。ヤーの知り合いにお土産用意しなきゃ。」


「うん-、いこいこー!」



こうしてそれぞれの旅支度が進む中

その日はすぐにやってきた

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