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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
陰謀渦巻く夢の果て
130/258

えぴそど130 戦いの末

「もうよせ。これ以上俺に命を奪わせるな。」


獣人の女の子の前にまで来ると、俺は鎌化槍を構え、威圧するように言った。


「はぁ!?そんな汚いもん見せつけて!何を偉そうに言っとるん!?まだ終わってないで!」


そう、顔は真剣だが下半身はすっぽんぽんの素っ裸だ。


素っ裸で獣人とは言え、幼女に対し武器を構え、ぶらぶらさせながら堂々と強気に出ている。


皆は分かってくれるとは思うが、決して変態でも特殊性癖でも無い。


「終わりだ(社会的な意味では無く)すまないが、仲間の命を奪おうとする者に対し、俺は情けをかけたくない。」


そう言うと、俺は獣人の女の子の足に向け、手にした鎌化槍を突き刺した。


断っておくが、サイコパスでも何でもない。


至って真剣に、仲間に危険が及ぶのを回避しようといっぱいいっぱいだ。


「がぁぁぁぁ!!!あっっっほんだらー!!!」


「あっちの男も急所は外れたはずだ。きっとまだ息はある。今すぐ助ければ死ぬ事はないかもしれない。頼むからこれで退いてくれないか。」


「はぁ…はぁ…はぁ…くそが!………分かったわボケ!!…もうええ、もうええから、さっさとこの剣を抜けやボケ!!」


俺は警戒はしたまま、男と獣人に刺したバーストの〈小かま〉を収めた。


そのままハピスさんの方へ歩いて行き、ボロボロで気を失っているハピスさんをトモの背に乗せた。


「トモ、頑張ってくれたな。無理をさせてすまない。」


「くぅ~ん…」


トモの首筋に染み込んだ血の跡をなでながら労う。


どこと無く疲れている様に、力なく俺に擦り寄りトモは小さく鳴いた。


次に俺は、うずくまりながら、自身に回復魔法をかけている獣人の女の子を脇を通り、トモを連れコノウさんの所へと向かう。


「コノウさん、大丈夫ですか。終わりましたよ。」


「ええ…コースケ様。事情を確認すると言う約束は守って頂けておりませんが、今回は大目にみましょう…」


「す、すみません。どうです?立てそうですか?」


「腰骨が完全に砕けております。本で読んだ事がありますが、もしかしたら一生私は歩け無いかもしれません。」


「え!?」


その言葉に俺は思わず声を上げてしまった。


「なんやねん!今集中してるんやから大きな声出さんといてや!!」


「う…ご、ごめん。」


なぜか獣人の女の子に怒られた。


「冗談ですよ。かなり痛みますが、治療すれば問題無いでしょう、ですが…」


「ど、どうしました…?」


「帰るにも歩けそうにありません。ハティにはハピスさんが乗せられていますし、コースケ様、申し訳ございませんが私をおぶって頂けますか?」


俺はしゃがんで背中を差し出した。


だが、コノウさんが俺の肩に手を当てた瞬間ひらめいた。


俺はすぐに振り返り、コノウさんの手を取ると、背中に手を回し抱きかかえお姫様抱っこをした。


ジューちゃんの趣向から、お姫様抱っこは絶対に男気ポイントが入るはず。


今回貯めていたポイントをかなり消費してしまった。


取れそうな所は取っておきたい。


「ったーい!!!痛い!痛い!痛いです!!!コースケ様!!!」


俺が抱きかかえ持ち上げた時に手があった場所が、ちょうど骨が折れていた所らしい。


「す、すみません!」


「いったぁ……」


俺は慌ててコノウさんを地面に下ろすと、コノウさんは俺の方をすんごい涙目で睨んでいた。


「いや、その、本当にすみません。」


「別に……運んで頂けるのなら文句を付けるつもりはありませんが……前に抱きかかえるなら、せめて局部は隠して頂かないと、絵面が汚いです。」


ここぞとばかり、素っ裸である事に対しツっこんできた。


「うるさいて!おどれら!」


「ごめんて!つか!なんでお前に謝らないといけないんだよ!」


俺が振り向くと、獣人の女の子をボロボロのフードで顔を隠した男が抱きかかえていた。


「!?…な!?お前は!!」


フルブライトさんが足止めをしたはずの、森の中で出会った敵がそこに立っている。フルブライトさんがやられたと思った俺は槍を再び構え鎌化した。


「あほ!待て待て!もうええゆーたやろ!今は戦うつもりはない!!」


俺の殺気に咄嗟に獣人の女の子が必死に止める。


フードの男をよく見ると、肩で息をしており、無数の傷から血がしたたり落ちていた。


「そうじゃない!お前!フルブライトさんをどうした!それにアルネロも!」


聞かずはいられない。


俺は鎌化槍を下げる事無く、強い口調で問う。


「……ははっ…安心しろ…二人とも生きてるさ……カルフィーラはすぐに立てるか分からないが……死にはしないぜ……あいつ、すっげーしつけーんだよ………言っといてくれ、今回は俺の負けでいいってよ………」


フードの男はかなり苦しそうにそう答えると、腰に巻いていたストールを俺に投げ、獣人の女の子を抱えたまま顔の青白い男の元へと向かった。


俺は後ろ姿をしばらく見届け、ストールを拾い腰に巻くと、コノウさんを背中に背負い、フルブライトさんの元へと向かった。



まだまだ夜は明けそうにない森に

静けさが戻っている

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