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泥酔社畜は異世界召喚でカマ切り戦士になる  作者: 青狗
☆ I Can Fly ☆
13/258

えぴそど13 女帝テオ・ジャクシン

ジャクシンの戦闘力は53万です

『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


青髪タルガージの突きを強肉弱食が弾く。

同時に俺の右猫パンチがタルガージの頬に炸裂する。奴は大きく後退しつつも、倒れる事なく踏ん張りやがった。


というか…


強肉弱食ちゃん!待ってましたぁー!どこほっつき歩いてたんだよ全くよぅ!心配した!んもぅすんごい心配した!そう、強肉弱食が人相手にも通用する。これはもぅ無敵かもしれない。


それにしてもタルガージの奴はやはり強い。

よほど腕に自信があるのだろう、全く構えていない状態から、俺のパンチが出た後に鞘で攻撃してきた。見事なカウンターだ。


気付けば周りは静寂に包まれていた。

タルガージを見ると、額に青筋を浮かべ明らかに怒っている。だがそんなに威嚇したところで、俺にはもうお前達がただの雑魚チンピラにしか見えないぜ。


「ははは!そんな怖い顔すんなよ!これをやるからよ!」


俺はここぞとばかりに、左ジャブをシャドーしながら煽る。狩る側から狩られる側に、落ちる気持ちを味わうがいい。


ビキビキっと聞こえそうな程、怒りに震えている表情のタルガージだったが、大きく深呼吸をすると不意にすぅーっと腰を下ろし、居合の様に構えた。


その瞬間。青い光が辺りを走る。


『カキィィィィィ』

【経験値50を獲得しました】


何が起きたのか全く判らない。

速すぎたのだ。アナウンスが流れると同時に、タルガージが俺の前で倒れ込んでいた。右腕は不自然な方向に曲がっており、完全に折れている。


この距離を一瞬で詰め、刹那の間に切り込んでいたのだ。強すぎだろ。これがAランク。そして、これがあまかけるりゅうの…これはやめとこう。


タルガージのパーティらしき面子が、倒れたタルガージを囲みこちらに武器を構える。周りも静かながら殺気を出しているのが分かる。


やばい。ヘイトを溜め過ぎたか。暴動になれば結局この街に居づらくなるぞ。なんとかしないと…でもどうやって…


「おいお前ら!そこまでだ!」


二階の踊場より手をパンッ!パンッ!と叩き見下ろす女が居た。キリッとしたなんとも美しいお姉さんだ。横にはメイエリオも居る。て事はあれがギルド長か?


「タルガージの治療を急げ!上級回復を使える者は手伝え!そしてそこの全裸男!服を着て上に上がってこい!今すぐにだ!他の者は解散!」


これは絶対ギルド長だ。

みんな文句も言わず、言われた通りに行動している。何という指揮力とカリスマ性だ。


俺はひとまずタルガージ達を横目に腰布を取りに行こうとすると、冒険者の壁がモーゼの海割りの様に開けた。ふふふ、Aランクが手も足も出なかった俺様だ。どけろどけろー


腰布を拾うと、目の前にヌッと皿が出てきた。

あの無愛想な店員がピザの様な物を差し出していたので受け取る。ありがたいがここでゆっくり食べてる時間が無い、ふと、ボロボロの服を着た少女が、ギルドカウンターから出口に向かうのが目に付いた。


俺は少女に近づき、お腹減ってないか?と訪ね、ピザを差し出すと、少女は無言のまま激しく首を縦に振る。少女にあげるよと伝えピザを渡した。


二階に上がり、部屋をノックすると扉が空き、秘書の様な人が出迎えてくれた。通路を進み奥の部屋に案内されると女ギルド長が腕を組んで立っている。秘書が扉を閉めるなり、女ギルド長は俺の身体をペタペタと触り始めた。


「ちょ、ちょっと!」


「ん?なんだ?少し黙っていろ。」


たじろぐ俺をお構いなしに隅々まで見られてしまった。そう腰布ももちろん捲られ隅々だ。この人なんだか怖いんですけど!


「身体は至って軟弱な作りなんだな。」


やがて来るであろう中年太りを予感させる一言だった。今日から腹筋やランニングを頑張ろうかと決意させられる。


「私の名はジャクシンだ。テオ・ジャクシン。この国境都市ブーメルムのギルド長官を担っていると同時に、アスタリア国陸軍の将官を授かり、辺境伯の許しの元、この前線の軍による指揮を一任されている。まあよろしくコースケ殿。」


ジャクシン…さんはそう言うと右手を出してきた。俺は恐る恐る手を出し握手を交わす。ジャクシンさんは『ふっ』と笑った。笑った顔を見るとても優しそうだ。


それにしてもなんか凄い肩書が出てきたよ。

ギルドだけじゃなくて、この街の軍人のトップ。マウントを取るには充分過ぎる戦力だ。


見た目は俺より少し年上くらいだろうか、見るからに『デキる』エリート才女って感じだ。それに美しい。現実世界でもこんな人が上司なら、社畜生活ももう少し頑張れたかもしれない。


「あ、その、よろしくお願い致します。」


「あぁ、まぁそこに掛けたまえ。」


既にソファにはメイエリオが座っている。

その横に俺は腰を降ろし、ジャクシンさんが自分の机に着くのを待った。


「さて、さっそくだがコースケ。」


机の上に足を乗せ組んだかと思えば、急に呼び捨てに変わっている。やっぱり怖いこの人!


「まずは、どうやった?」


え?何を?と聞き返すのは無粋か。

メイエリオを見るに、既に情報は伝わっていると考えるのが妥当だ。それにさっきの青髪、タルガージとの小競り合いも見られていたに違い無い。


質問の意図は判るが、こちらの手の内をむざむざ曝け出すのは得策なのだろうか。今後、交渉等があった際にあまり最善とは言えない。


そもそも、この人やこの国が俺の敵になる可能性だってあるんだ。仕方ない、ここは社畜として、数々の先方と渡り合って来た俺の実力を魅せるしか無いな。


「お言葉ですがジャクシンさん。それを答える事による俺のメリットはありますか?」


「無い、だが答えろ。」



うん 

ダメだったわ

怖いわ 

怖すぎるわこれ

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