えぴそど11 国境都市ブーメルム
ストックに余裕ができたので連投
ただしチェックはしていないぜ!
ごめんなさい…
オンダ村を出て小一時間といったとこだろうか。道の先より騎馬隊の集団が近づいて来る。厚手の鎧を着ており、いかにも『騎士です!』といった集団だ。
俺達の近くまで来ると、その先頭集団に居た一人が急に叫んだ。
「メイエリオ!!」
その言葉を聞き、一番先頭に居たトサカ兜の騎士が右手を上げる。騎馬隊は徐々にスピードを緩め、俺の横に着く頃には全員が馬を止めた。
最初に叫んだ男は馬を降り、俺の横を駆け抜けメイエリオに抱きついた。おい!おいおいおいおい。
「メイエリオ!本物だ!生きてる!メイエリオ!」
「ユージリン!よかった、無事だったんだね。」
「君の方こそ…なんて無茶をする子なんだ!馬車に乗ってるものだとばかり…」
急にイチャイチャしだしたぞこいつら。
もしかして彼氏か!?そうなのか!?そして俺は間男か?どうしたらいいんだこの状況。騎士さん達も心無しか冷たい目線を送ってるように見えるぞ。
「彼女は護衛隊だった者か?」
「はい!襲われた際、エブリン商会の方々を馬車に乗せ、盾となり残ってくれた子です!」
トサカ兜の騎士が聞くと、ユージリンと呼ばれた男は涙目ながらすぐに答えていた。
この騎馬隊の隊長だろうか、明らかに一人だけ風格が漂っている。フルフェイスタイプなので顔まではわからないけど。
「ふむ、して貴女よ、スケアリーベアーはどうした?」
メイエリオは一瞬ためらい、俺の方を向いた。
どう答えるべきか俺に託したのだろう。それ自体は別に構わない。構わないからいい加減その男から離れろ。いつまで抱き合ってるんだこの野郎!
「そちらの者よ、報告ではスケアリーベアーは2頭だったとも、3頭だったとも聞いている。それをどうした。」
「倒しましたね。」
即答しておいた。
騎士達がざわついたのが分かる。やはり強い魔物だったんだろう。だが、ここで謙遜し自らの功績を隠すなんて事はしない。俺という価値を存分に見せつけるのが社畜なのだ。
その結果、様々な厄介仕事を押し付けられる運命にあるのだ!はーっはっは!自分で言ってて泣けてきた。
「積荷と他の者はどうなった。」
「生きていたのは彼女だけですね。後は残念な状況でした。死体も他の狼や鳥に食べられていましたし、早めに離れる為にも荷はこれだけですね。」
「ふむ…色々と聞きたい事はあるが、我々の目的はスケアリーベアーの討伐と現地の調査だ。戻ったらまた詳しく聞かせてもらおう。」
そう言うと隊長ぽい人は、俺とメイエリオに案内を2人付けてくれた。そしてユージリンを連れ、一団は現場に向かい走っていった。
メイエリオとユージリンはそれぞれ、「気をつけて」「また後で」とイチャイチャしている。顔は覚えたからなユージリンとやら。
そのまま俺達は騎士に先導され道を進むと、遠目からでもその大きさが伺える化物城壁が現れた。まだ距離はかなりあるはずなのにでかい。
さすがは国境都市だな、完全な要塞じゃないか。それほどまに隣国の関係は良くないのかもしれない。
城門では検問に並ぶ列があったが、俺とメイエリオは騎士の案内で横を素通りし、難なく街に入る事ができた。
警備ガバガバじゃないのか?騎士はそのまま城壁内をギルドまで案内してくれている。
ブーメルムはオンダ村と違い見事にレンガや石材などの防火構造。内部の規模も人の往来も段違いだ。通りには露店なども並んでおり、かなり活気を感じられる。
通りゆく人の服装や装備もどこか洗練されており、ここで人間ウォッチングするだけで三日は潰せる。
社畜時代には、まともに旅行に行くことすらできない状態だった俺は、ワクワクしながら街の雰囲気を堪能し、感慨深い気持ちになっていた。
ギルドへ到着すると、騎士達はギルド長へ報告に行けと城門の方へ戻って行った。周りと見比べても一際大きな建物で、青と紫というかなり個性的なカラーリングが施されていた。
メイエリオは来た事があるようで、すんなり扉を開け中に入って行く。すっかり日は昇りきっており、お腹が空いたと雷鳴が腹で鳴り響いていた。
ギルドの中に入ると、真ん中に大きなホールがあり、奥には受付のカウンター、両サイドは酒場の様になっていた。真っ昼間だというのに酒を呑んでいる人が多い。
メイエリオは適当に待っててと俺に言い、硬貨を渡してくれた。そのまま奥のカウンターに向かい何かを話している。俺は何か食べたいと思い、酒場のカウンターで店員に声をかける。
「あの、これでお勧めの食べ物と飲み物が欲しいんですけど。」
店員の愛想は最悪だったが、差し出した硬貨をむんずと掴むと、カウンターの椅子を親指で指差した。
座れと言うことだろうか。言われるがままカウンターに座ると、木のジョッキに入った何かの飲み物を置かれた。
おぉ、もしかしてこれがファンタジーの定番、エールじゃないのか!!すぐに口をつけゴクゴクゴクと喉を唸らせる。
なるほどぬるい!ぬるいが旨い!旨すぎるじゃないか!メイエリオにもう少しお金をくれないかお願いしたくなった。
食べ物を待つ間、周りを観察しみる。
テーブル席のあちこちには、皿に並べられた料理やナイフとフォークがある。西洋ぽさが益々強くなる。
主食にはパンも米もパスタの様な麺も見られた。
異世界とは言え、食文化の違いに関しては今後も心配はなさそうだ。
その場に居る人についても多種多様だった。
中にはアジア人顔もちらほらと見られる。純和風顔の俺が特段目立つという事は無い。
だが、体格がごつい。
女性も男性も筋肉隆々なマッチョスタイルばかり。明らかに魔法使いの様な格好の女の子でさえ、良い筋肉をしているのがわかる。
そして、ファンタジーのこれまた定番か。『獣人』だ。
人の顔を持ち動物の耳や尻尾があるタイプと、顔は動物のまま人型のタイプとどちらも居る。そこまでモフモフケモナー属性は無いが、付け根がどうなっているかはいつか確認したいものだな。
「おい、おっさん!見ない顔だな!なんだよその格好は!変態か?」
面倒臭い予感しか無いイベントが始まってしまった




