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えぴそど109-勇31 こてこてな歌

「こちらへどうぞ。」


ベル達は屋敷へと入り、奥の部屋へと案内されるが、見た事の無い様式の家屋に一同は困惑していた。


屋敷に上がる際には履物を脱ぐ様に指示され、各扉は引き戸になっており、木組みにしては綺麗に加工され、耐久性も高そうだった。


「違和感はこれだったんだ。どうなってるんだこの建物は…これは家なのかい……」


「ミルミー、大丈夫よ。探知魔法で人の気配は追っているわ。」


「よろしいですかな。こちらです。」


案内の男が引き戸を引くと、甘い匂いがベル達の頬を掠めていった。


「ようこそようこそ!ささっ!こっちへきーなって!そこら辺に適当に座っててや。」


中には数人の男女がおり、その中心に立っていた独特の格好をした男がベル達を布袋の下敷きへと促す。


部屋の床は木では無く、草を編み込んだ様な作りになっており、皆があぐらを組み床に直接座っていた。


ベルがミルミナチカに目配りをすると、ミルミナチカは頷き応え、オースティンとテペリオットに指示を出す。


エリシアを囲む様にベルとミルミナチカが座り、その後ろにオースティンとテペリオットが立つ配置で一先ずは落ち着いた。


「まずはこんな湿気満載の所まで来てくれた事に感謝せなな。ようこそおいで下さいましたーってか!……………ま、まぁゆっくりしていってや。」


男は奇妙なポーズを取って固まっていたが、気が済んだのかニヤついた表情で頭を下げ、今度はまるで貴族の礼を真似るかの様に手足を曲げた。


「その様な言葉は不要です。それより本題に入って行きたいのですけれども。まず、貴方がそちらの代表でよろしいのかしら。」


男は顔を上げると、すっとぼけた様な表情を見せながら周りのメンバーを見渡した。


周りのメンバーは呆れた感じを醸し出しながら、中心の男に頷いて応えていた。


「なはははー!ワイはぜーんぜん知らんかってんけどな、ここだけの話どうやらそうみたいやでー!ははははー!いや!ほんまやって!知らん知らん白髪ねぎ!!………なーっはっはっはー!」


ベル達は表情を崩す事無く、男達の一挙一動を見逃さまいと警戒していた。


神託を得ているとはいえ、賢者のスキルの性質上、発動までにどうしても時間がかかってしまう。


この距離で咄嗟に攻められてしまえば、如何にベルとは言え、エリシアを守りながらの戦闘は不利になってしまうと思っていた。


「そんな怖い顔せんと!ワイはミカミ・ユウジ!神さんから怠惰の能力を得たもんやわ!!あ、そうや、ほれ。」


男が思い出したかの様に手袋を取ると、現存確認されていない刻印が男の手に刻み込まれていた。


それを見た瞬間にベルを言いようも無い不安感が襲う。


「あ、貴方は一体何者なの?」


「おちつきーな。今言ったやんけ。ワイも神託を受けた者の一人やっちゅー事や。」


「…………」


「んでぇーーーこぉぉぉぉのぉぉぉ!!世界を裏から牛耳る為の秘密結社ぁぁぁぁ!!!真実を追い求め!虚像を打ち砕く!正義の使者ぁぁぁ!!!謎が謎を呼ぶデンジャラスな組織ぃぃぃぃ!!!それがワイら株式会社フットプリンツぅぅぅぅ!!!」


「…………」


「そしてそしてそしてぇぇぇ!!!代表取締役社長兼CEO兼ハイパーメディアクリエイタぁぁぁ!!!それがワイ!ミカミ・ユウジやぁぁぁ!!!」


やぁぁぁぁ


やぁぁぁ


ベル達の思考は完全に停止した。





「そんな……」


集落の光景を見たロクミーとオールシャは言葉を失った。


魔物と思われた襲撃だったが、集落は野盗の集団に襲われている様子だった。


「これが現実でしょうよ。魔物の活性化でどこも食糧不足が起き始めてるでしょうしね。略奪、強姦、殺害…蛮行は増える一方だってよこれそれ。」


サブダブは目を細め小声で言った。


「相手は7人、行くべきですサブダブ隊長。」


「あーあー、オールシャはそう言うと思ってたよあれこれ。ここまで来たら止めても飛び出すでしょうし、気は乗らないけど行きますかこれ。」


「はっ。」

「はい!」


「馬鹿、でかい声を出すな。」


「す、すみません。」


「ロクミー、真ん中に集められたあの女達にマジックバリアは届くか?」


「いえ、距離が離れ過ぎです。もう少し近づかなければ。」


「はぁ………よし、オールシャ。お前はどうやっても鈍重で奇襲には向かないでしょうよ。逆に思いっきり目立って奴らの注目を集めろってそれ。」


「はっ。」


「ロクミーはオールシャに強化をかけた後、左側から回り込んで、あそこ、見えるか?あの民家から周りこんで住民に魔法をかけろってこれそれ。俺は右側からあの偉そうに座ってる奴を狙うってよこれ。」


「わ、分かりました。」


「よし、一分だけ待ってから行けオールシャ。ロクミー、俺達は先に回り込むぞこれ。」


「はい!」


サブダブは二人に指示を出すと、走って森を迂回し始めた。


ロクミーはその姿を見ると慌てて杖を取り出し、サブダブとは反対方向に走り出す。


「53…54…55…56…57…よし!貴様等!何をしている!全員武器を捨てろ!!」



オールシャは大声を出しながら盾を構え

野盗達の前に出て行った

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