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291 修学旅行2日目 ③

腹ごしらえも終わり、帰るまでの残り時間も少ない。

しかしそこで俺は重大なある事を思い出した。


「あ、お土産を買うの忘れてた。」

「そう言えば黄龍の本部に行った時にハルヤは能力測定を受けてたんだよね。」

「と言う事は皆はもう買ってるのか?」

「うん。お母さんにはバラ売りの煎餅を1つだけどね!」


なんだかアズサの言い方には必要以上に棘が含まれてる。

でも、アイコさんが出張に行った時に買って来るお土産の量がいまだに変わっていないのが一番の原因だろう。

それにアズサは食材の捕獲に行った時はお土産としてちゃんと獲物を分けているのであちらよりもマシと言える。

そして最近はお土産と言ってホームランボールを持って帰る事もあるけど、2人とも食べられない物に価値を見出すことが少ない。

きっとアイコさんだって縁起物と言って食べた後のワニガメの甲羅を渡されても納得しないはずだ。

親子でその辺は似通っているんだから分かるだろうに何で改善しようとしないのかが不思議でならない。


「それなら良い商店街がありますよ。」

「そういえば私もしばらく行ってないから行ってみたいな。」


すると俺の為にクスノキさんが近くにあるという商店街を教えてくれた。

それを聞いて何年も安倍家に幽閉され、その後に殺されて昨日生き返ったばかりのサラさんも行きたいと手を挙げている。

実は俺も少し興味のあった場所なので皆の了承を取るとそこに向かう事となった。


「それなら案内を頼む。」

「任せてください。今では人気の食べ歩きロードとも言われている有名な場所ですから。・・・とは言ってもさっきあれだけ食べた後だと流石に苦しいですよね。」

『グルルルル~~~!』


すると気を使ってくれたクスノキさんの言葉を否定する様にアズサのお腹が唸りを挙げた。

どうやら自己主張強めにまだまだ食べられると言いたいらしい。

しかし流石のアズサもこれは恥ずかしかった様で苦笑いを浮かべながらお腹を擦っている。

それはまるで荒ぶる猛獣を宥めている様で俺は密かに心配になって来る。

いつか本当にアズサの腹から某映画の宇宙生物の様に何かが現れるかもしれない。

そして、そんなアズサに苦笑いを浮かべながらクスノキさんは言葉を付け加えた。


「お、女の子は甘い物は別腹ですよね。それなら美味しいスイーツのお店にご案内します。」

「よし!最速でお土産を買ってそこに行くぞ!」

「何でハルヤ君が一番気合が入ってるの?」

「シ~・・・教官はああ見えて甘党なんだ。」

「ああ、スイーツ男子って奴だね。」


すると横の方でサラさんとケイが小声で話を始めたけど声はバッチリと聞こえている。

俺は美味しいと評判の店なら味見も兼ねて1人で通うのも恥ずかしくない。

例えその店が女性向けでメルヘンチックな作りをしていようと1人で来店してテーブルをケーキと言う花で埋め尽くすほどだ。

以前の大人な姿だとちょっと引かれる所もあったけど、今は見ての通り子供の姿なので驚かれる事はあっても引かれる事が無い・・・はずだ。

但し、スイーツも気になるのだけど、もう1カ所だけ行ってみたい所がある。


「クスノキさん。その前にここに行ってみたいんだけど正確な場所は分かる?」


俺はそう言ってガイドブックを取り出すとそこに載っているある場所の所在を聞いてみる。

そこは別に大して有名でもなく、殆どの観光客は素通りするような所だ。

本にもちょっとだけ紹介がされているだけなので気を付けて見ないと気付かずに飛ばしてしまうだろう。

しかし俺の事を知るクスノキさんは本に書いてある場所を確認すると納得をして頷いてくれた。


「ここなら天皇家が所有していて黄龍が管理しているから大丈夫ですよ。到着したら先に行きますか?」

「そうですね。少し様子を見たいだけだから最初に案内してください。」

「分かりました。」


そしてバスが目的地付近に到着するとアナウンスが掛かり近くの降車エリアで降りて歩き出した。

俺は周りを見回すとやはりと言うか時の流れを実感させられる。

以前は高くても2階建てで、1階建ての建物が普通だった所に沢山のビルが並び、同じ様に沢山の商店が軒を連ねている。

ただ、以前との違いと思い出に気を取られて周りを見回していると御上りさんに見えたのか道行く人から笑われる場面も多かった。


そしてクスノキさんはそんな俺を案内して表通りに面している目的の場所へと到着した。

ただし、そこは周りに違和感を与えない配慮なのか、それとも美観の為か高い塀が作ってある。

どうりで本には字だけでしか紹介されていなかった筈で、これではこちらから中を見る事も出来ない。

そして、その塀には電子ロックの付いた扉があり、その前でクスノキさんは俺へと声を掛けて来た。


「ここのカードリーダーに黄龍で再発行した登録証を翳してください。」

「ああ、これで良いのか。飛び越えて入るのかと思ったよ。」

「大丈夫ですよ。それにここに入る事が許されているのは一部の人とハルヤ君だけです。なのでアナタなら用のある時にいつでも入れるようになっています。その辺の細かい説明は専用サイトに会員番号でログインすれば書いてあるので後で確認しておいてください。」


そういえば黄龍のサイトに関してはまだ見てなかったので後でちゃんと確認をしておこうと思う。

もしかすると俺の知らないルールが増えているかもしれない。


そしてカードを翳すと『ガチャリ』と鍵が開く音が聞こえ、扉が自動で開き始めた。

すると周囲の人が足を止めて驚いた様な表情を浮かべている。

それに気が付いたクスノキさんが追加で説明をしてくれた。


「ここは滅多に開く事が無いので地元では開かずの扉と言われているので周りの人も珍しいのでしょう。目立っていますから早く入った方が良さそうですね。」


そして皆で中に入るとそこには以前よりもかなりボロくなった1軒の家が建っていた。

そこは俺が以前に診療所をしていた建物でちゃんと壊されずに残してくれていたみたいだ。

ガイドブックを読んでいて偶然見つけた場所だけど、こうして見ると懐かしさを感じる。

それに、ここに関しては厳島に移り住んでからは使った事は無い。

なので俺やミズメも建て替えたり、強化はしていないのでまさか本当に残っているとは思わなかった。

俺達が去った後に他の大工が手を加えたのか所々に補強をしたような跡が残っている。

きっとこれのおかげで今も潰れずに立っているのだろう。


「入ってみようか。」

「そうだね。昔を思い出して懐かしいな~。」


そして建付けの悪くなった扉を横に引いて開けると昔とあまり変わらない光景が・・・。


「なんだか汚れてるね。でもお兄ちゃん。この枕に見覚えがあるのは私だけかな?」

「この熊さんにもなんだか覚えがあります。」

「実は俺もだ。」


扉を開けてすぐに目に入ったのは僅かな生活臭と土間から上がった所に敷かれた畳の上に置いてある枕と熊の縫グルミだ。

枕はかなり傷んでいて所々から羽毛が飛び出し、熊の縫ぐるみは荒ぶるポーズではなく腕は伸びて垂れ下がっている。

毛並みもボロボロであの滑らかだった手触りは完全に失われているようだ。


「でもそれならアイツは何処に居るんだ?」

「そうだよね。私達もあっちに居た時に何度か一緒にお茶をしたけど両方大事にしてたよ。」


アズサが熊の縫ぐるみを拾い上げると浄化を掛けながらブラシを掛け始める。

すると毛並みが次第に綺麗になり始め、かつての状態を取り戻し始めた。

流石はミズメの能力を継承しているだけあってこう言う事はお手の物だ。

それに縫グルミもアンドウさんが作った物なので丈夫に出来ているおかげだろう。


「きっと近くに居ると思うけどな。ちょっと探してみるか。」


俺はそう確信して空間把握を使いながら気配を探ってみると意外というか・・・要らない奴まで発見してしまった。

それにここの様子は確認を終えたので次に行こうと思っていたところだ。

一応は屋内を綺麗に浄化しておいて枕と熊を回収しておく。


「それじゃあ移動しようか。ここの管理は黄龍に丸投げしておけば良いだろう。」

「何かあれば連絡が来ると思います。それではオススメのお店にご案内します。」

「いや、その前にもう1つ行く所が出来た。」

「え、どうしたのですか?」

「昔の知り合いを見つけたから挨拶をと思っただけだ。」


そう言って皆と一緒にここの敷地から出ると向かいにある可愛らしい店へと視線を向けた。

そこには以前『ニャン!ニャン!ニャン!』というアンドウさんの開いた飲食店がありオカマのドウコが料理長をしていた場所だ。

今は『ニャン!チュ~!』と書かれている店があり、目的の人物は2人ともそこに居るのは間違いない。

さっきまでは何も感じなかったけど、こちらに気付いた途端に大きな気配を放出して挑発して来るので御指名までされているようだ。

どうやら穏便には帰してくれそうにないけど、町が壊れるような事にならない事を願っている。。


「もしかしてあのお店に行くつもりですか?あそこは予約限定なので入れないと思いますよ。」

「それに教官。あそこは以前に安倍本家の命令すら聞かなかった逸話のある場所です。しかも店長がちょっと・・・。」


俺もクスノキさんとケイの言いたい事は何となく分かる。

予約限定なら行っても門前払いにされても文句は言えない。

それに安倍本家の命令に背いたのなら店を潰すための嫌がらせを受けたとしてもおかしくな無いのに今も存在しているという事はそういうことだ。


「招待はされてるから大丈夫だ。それに向こうもこちらに気付いて呼んでるみたいだしな。」

「しかし、あそこの店長は化物ですよ。なんでも差し向けた刺客の全員が再起不能にされたとか。」

「それでも行ってみるしかないな。お前等もここくらいは歩いて越えられるだろ。」


そして彼らだけは渋々と言った感じで道路を飛び越え店の前までやって来た。

すると自動ドアが開き中から1人の女性が凄い勢いで飛び出して来る。

ただその手は拳に握られており空気を引き裂きながら襲い掛かって来た。

俺はそれを片手で普通に受け止めるとその人物へと苦笑を浮かべる。


「久しぶりの再会なのに容赦がないな。」

「フフフ。久しぶりねハルヤちゃん。更に腕を上げた様でお姉さんも嬉しいわ。」


何となく分かっていたけど拳への気の乗せ方と、この気配そのものがこの美女をドウコである事を示している。

前世ではオカマだったのに今は紛れもない女性へと生まれ変わっていて切れ長の目元と輝く黒髪がとても似合ている。

この見た目なら今のお姉言葉もマッチして違和感を感じない。


「それにしても今回は女に生まれて良かったな。」

「イザナミ様がとても良くしてくださったの。皆の修行のお世話もしてくれて魂を鍛えてレベルの壁を超えるのも手助けしてくれたのよ。」

「それでアズサ達もレベルが100を超えていたのか。」


以前に聞いた話だと俺達は魔物を倒してそこにある力を魂に取り込んで強くなっている。

あの世では魂を直接鍛える事が出来る様なので俺とは違い本当の意味で壁を越えたのだろう。

皆にこの事は聞かされた事は無かったけど納得が出来た気がする。


「皆も俺が居ない間に頑張ったんだな。」

「女は好きな男の前では努力をしている姿を見せないものよ。でもそれは努力をしていない訳じゃないの。だからあなたはその事をしっかりと理解してその努力に見合う愛を注いであげないとダメよ。」

「分かってるって。それよりエクレがここに居ると思うんだけど呼んでくれないか。」


するとドウコは笑みを浮かべると俺の掴んでいる拳を引いて姿勢を正した。

どうやらこのままバトルになる心配は無さそうなので第一関門はクリアーと言える。


「それならここの特別ゲストルームに居るわ。あなた達なら構わないから入って行きなさい。」

「良いのか?予約限定なんだろ。」

「良いのよ。ここは私のお店でお城なのだから。それにその子達は以前の私と普通に接してくれたお友達だもの。再会を祝して1人につき1人前までならスイーツも出してあげられるわ。」


さすが以前からの友達と言うだけあってその辺は分かっているみたいだ。

アズサ達も素直にハグで挨拶をかえしており、懐かしくも意外な友人との再会を喜んでいる。


「それと皆にはこの会員証をあげるわね。本気で食べる気なら1週間前には連絡を入れてちょうだい。」

「ありがとうドウコちゃん。」

「「「ありがとう!」」」

「良いのよ。それと今はドウコじゃなくてヒトミなの。」

「分かったわヒトミちゃん。また来るからその時はよろしくね。」

「ええ。任せなさい。」


そしてアズサ達はドウコ改めヒトミと一緒に店へと入って行った。

俺はその急な展開に置いて行かれ、ちゃっかり会員証を渡されているケイ達にも声を掛けると一緒に中へと入って行った。


ちなみに後で知った事だけど、ここの会員になるには店長であるヒトミに気に入られるという唯一無二の条件があるそうだ。

そして、この店の予約状況をネットで調べると1年待ちとなっているのに今も増え続けている。

それを飛び越えて予約が入れられるので会員と言っても友達に近いのかもしれない。


そして、ここでも会員証を使う事でエレベーターの扉が開き、上に昇れる様になっている。

この5階建ての建物すべてがヒトミの所有物で5階が特別ゲストルームとなっているようだ。

作りとしては1階が厨房と受付。

2階が一般客のフロアで3階が普通の会員のフロア。

4階が数字的に縁起が悪い為か倉庫となっていてお客は入れない様になっている。

そのため俺達に渡された会員証なら最上階まで行けるけど、ケイ達4人は3階までしか上がれない様になっていた。

今回は俺達と一緒だからお目溢しされているのだろうけど、きっとここには二度と入る事は出来ないだろう。

正確に言えば二度と入りたくないと思える体験が出来るはずだ。


「あ、先に言っとくけどここで見た事は他言無用にな。」

「もしかして有名人でも居るのですか?」

「ハハハ!サインでも貰おうかな。」


まあ有名人には違いないだろうけど普通ではない事も確かだ。

普通に見ても分からないだろうから釘だけ刺しておいて後は肌で感じてもらえば良いだろう。

曲りなりにもそれぞれにそれくらいの事は理解できる経験値はあるだろうからな。


そしてエレベーターが止まって扉が開くと見覚えのある顔が数人座っている。

それ以外にも何人か居て、服装が既に現代の服装からは逸脱している者ばかりだ。

ここが京都で着ている服が着物なら何とかと言ったところだけど、服装にも統一性が無い。

中には巫女の様な服や十二単の様な服装だったり、神主や、昔の貴族の様な服に袈裟姿の者も居る。

このカオスな光景を言い表すなら中世の服装で行う仮装パーティーがしっくりくるかもしれない。

そんな中で素早く立ち上がりこちらに駆け寄って来る者が居り、それこそが俺達が探していたエクレ本人だ。

口元をチョコレートとカスタードクリームで汚し、頬には御菓子の生地を着けている。

そこから推測するにエクレの名前の由来となったエクレアでも食べていたのだろう。

コイツは寝る事の次に食べる事が好きで俺と同じ甘党でもある。

お酒よりもお菓子が好きな奴だったので、ここでなら満足のいく物が食べられたに違いない。


「お前は変わらないな。」

「ん。」


すると遠慮の欠片も無く顔を突き出して来るので以前の様にタオルで顔を拭ってやる。

そして顔が綺麗になった所で傍に居たアズサが熊の縫ぐるみを取り出して声を掛けた。


「大事な物はちゃんと持っておかないとダメだよ。」

「ありがと。・・・あ、綺麗にしてくれたんだ。」

「手は直せなかったけどね。それを元に戻すなら新しく付け直さないとダメかな。」

「・・・いい。これには皆との思い出も多いから。」


そう言って縫ぐるみを抱きしめて戻った手触りを確かめると異空間に大事そうに収める。

エクレが俺達と一緒に居たのは少しの間だけだったけど、食う、寝る、遊ぶとそれなりに楽しんでいたようだった。

邪神封印の時まで働いた事は無いけど一番重要な所で仕事をしてくれたので十分だ。

もしエクレが居なければ俺は確実に皆と再会する事は出来なかっただろう。

それ以前に今の時代に転生した者の中にはそれすら出来なかった者が居てもおかしくない。

可能性があるとすればアンやホノカに関しては再会どころか出会いさえしていない。

シュリも下手をすれば邪神に取り込まれていただろう。


「それで、お前はここで何をやってるんだ?」

「・・・ハルヤが来るのを友達と待ってた。」


するとエクレの向かいに座っていた人物が立ち上がりこちらへとやってくる。

そいつにも1度だけ会った記憶があり、最後は咆哮とネタ技の合わせ技で吹き飛ばしたのを覚えている。


「久しぶりねハルヤ。八百比丘尼とは上手くやってるみたいね。」


そう言って笑顔で鋭い視線をトワコへと向ける。

そしてトワコはそれを満面の笑みで受け止め堂々と受け流している。

そう言えば以前に俺の監視と補助をする為の選考会があったとか言っていた。

最後に残ったのはトワコとカブトだけど、他にも居た様なのでその中に風神もいたのかもしれない。

ただしコイツはバトルジャンキーなので選ばれたとしても碌な仕事が出来たとは思えない。


「あの時以来だな風神。でも今は一般人も居るから殺気を出してるとコイツ等が死ぬ・・・。て言った先から心臓を止めるなよ。」


俺は風神の殺気によって心臓が止まって倒れたケイ達に神聖魔法を使い、無理やり生き返らせた。

心臓が止まっても10秒は大丈夫なので問題はないけど、丁度よく意識も失ったので近くのソファーに座らせておくことにした。


「それにしても神が雁首揃えて何してるんだ?」

「ここはそういう所よ。それに私達だって進化した食文化を楽しみたいもの。その為にはそれなりの者が地上に居ないと不可能でしょ。」

「それで選ばれたのがドウコ・・・じゃなくてヒトミか。」


壁を越えたアイツならこの空間にも耐えられるだろう。

もともとあの世で修業も付けてもらったみたいなので耐性だってあるはずだ。


「そうね。それにカリーナ・・・今はホノカね。あの子にもお願いしてるわ。意外とコーヒーを好きになった神が多くてね。アンドウは言っても淹れてくれないから仕方なかったの。もちろん、代わりにあの子のお願いも聞いてあげたけど。」

「それはアンドウさんとの再会か。」

「分かってたの?そう、あの子は前世でやり残したもう一つの恋を実らせたいらしいわ。まあ恋愛関係は大国主に任せてるけど彼もあそこのカフェオレの大ファンだからきっと何とかしてあげるでしょ。」


そういえば以前に再会して少しした頃にツバサさんを含めた3人で歩いているのを見かけた事がある。

もしかして既に良い仲になってたりするのかもしれない。

今のツバサさんは記憶はあるけど完全な趣味人と化しており、以前と違ってイベントに参加するだけでなく企画をしたりと色々と手を伸ばして大忙しだ。

それに何度か会っているけど以前と違って政府には所属しておらず、アンドウさんが強く反対してそれ以外で自由な道を歩かせているそうだ。

その代わり体と心はしっかりと支えている様で以前よりもキレが良く見える。


ちなみにアンドウさんとツバサさんが同年代でホノカは2歳年上だ。

5年前に再会した時は店を1人で切り盛りしていたのでてっきり店長をしているのかと思っていたけど本当の店長は逃げ出して引き籠っていたらしい。

それ以降はその店長はクビになり、暫定的にホノカが店長をしていたそうだ。

でも途中からアンドウさんの協力もあって一大決心の末に高校を中退し、あの喫茶店を開いたらしい。

さすが開拓村でアメリカ最初の喫茶店を拓いただけはあり並外れた行動力だ。


一応はその後に店が軌道に乗った事でホノカにも時間的な余裕が生まれ、特別推薦で九十九学園に編入と言う形で復学している。

ただ年齢は違うけど時期的にアンドウさんと同じクラスになっていたのは偶然では無いだろう。

それに、あの店はゲンさんとトウコさんも常連なので思惑もあったに違いない。

もしかすると神によって運命の操作もされた結果も含まれているのかもしれないけど、皆が笑顔なら気にする必要の無いことだ。

そういう訳で今のホノカは無事に高校を卒業して喫茶店カリーナの営業に全力で打ち込んでいる。


「ホノカの事はよしとして、お前が居ると言う事は・・・。」

「察しが良いわね。そう、勝負よハルヤ!あの時の決着を着けましょう!」

「は~そんな事だろうと思ってた。」


風神が凄いドヤ顔で指差して来るので俺は溜息を吐きながら返事を返した。

それにしても以前と変わらないバトルジャンキーのようで断っても聞きそうにないから受けるしか無いだろう。

ただ、ここで戦う訳にはいかないので場所を移す必要がありる。

しかし、こいつと本気でやり合うと自然災害級の被害が出そうだから場所を何処にするか悩む所だ。

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