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210 決戦 ①

俺の頭にはイザナミ様によって知らされた情報が入っており、それはこの時代に飛ばされた俺以外の12人の事だ。

彼らは俺と同じ様に旅を行い今日の様な最後を迎えた。

但しその時のそいつ等は俺とは大きく違う点が幾つもある。


それはこの世界で初めて贄の女性に出会っている事だ。

だから絆は薄く必死さに欠けていた。


そして俺との最大の違いはその強さにあり、そいつ等のレベルは60~70の間くらいだ。

恐らくはこの世界に来て殆どレベルを上げる事が出来なかったのだろう。

それでも今の俺と夢の俺は同じくらいの実力だった。

だからこのままでは確実に夢の通りになってしまう。

それを回避するためには夢とは違う状況を作り出すしかない。


「エクレ!出番が来たぞ!」

「この時を待ってた。『神武装・雷速天翔』」


俺はここでエクレを装着すると速度を飛躍的に上昇させた。

ただしこれだけでもまだダメだ。

今の俺では奴の手からミズメを助け出せない。

但し、俺には無理でも出来る奴を1人だけ知っている。

そして、そいつは九州でミズメに負けて借りがある。

必ずこのピンチに現れてくれるはずだ。


「借りを返しに来たぜミズメ!」

「来たか!」


そして、このタイミングで現れたのは大食い対決に負けたスサノオだ。

奴は転移で現れるとミズメに気を取られている邪神の手首に剣を振り下ろした。

すると剣は骨を断つ程に深くまで斬り裂き、握力を失った手からミズメが滑り落ちていく。

しかしスサノオが付けた傷は既に回復を始めている。

それに奴には腕が3対あり人の落ちる速度ならスローモーションと変わらない。

1本使えないなら残り5本のどれかで受け止めてしまうだろ。

それどころか下半身に生える蛇が揃って口を上げて落ちて来るのを待ち受けている。

どの口に入ったとしても邪神に喰われた事には変わらないので手遅れなのは変わらない。

1本の手が使えないからと言ってまだまだ安心は出来ない。

出来れば1秒でも良いから相手の意識を逸らす事が出来れば。


「ならその役目は私が請け負います。」


そう言って次に現れたのは謹慎中というか監禁されているはずのツクヨミだ。

彼女は天岩戸に封印され閉じ込められていると弁財天が追加情報で教えてくれていた。

ただ、ここにスサノオが来た事で封印が緩み自力で出て来たみたいだ。

封印の解除法はツクヨミの中に居るもう一人が知っているのでどうやらあちらもようやく目覚めたみたいだな。


「ハルヤ、助けに来たのじゃ!」

「ようやく目覚めたかユカリ!」


現代でユカリは名前は無いと言っていたけど本当はちゃんとある。

そして俺が付けたのではなく本当の名前はユカリではなくツクヨミが本名だ。

なぜそんな事になるのかと言えば今回の事の全てがそこに原因があるからだ。

実はアマテラスの本当の目的は邪神を倒す事でも封印する事でもない。

この決戦で命を落とすツクヨミを救う事にある。

アマテラスは俺以外の12回の全てでツクヨミを死なせてしまっている。

それを回避するためにあらゆる手を尽くしているけど、それでもツクヨミの運命は変わらなかった。

そして神は簡単には死なないけど完全な状態で蘇る訳では無い。

時に姿が変わり記憶さえも失ってしまう。

そして元の姿と記憶を失ったツクヨミがユカリという訳だ。

恐らくはアマテラスにとってそれは妹を失うのと同じだったのだろう。

だから500年後の邪神が蘇った時代で人を変えながら何度も俺のような奴を送り込んでいる。

そして今回がその13番目という訳だ。


きっとイザナミ様が以前に言っていた「今回の者は分かっている」というセリフはこの事を指していたのだろう。

ただ、この時点で標的がミズメからツクヨミへと変わってしまった。

このままでは今までと変わらずに今度はツクヨミが死ぬ事になる。


「今は悪いけどミズメに集中させてもらうぞツクヨミ!」

「こちらは任せなさい!」


そして俺はミズメを空中で抱き止めるとそのまま後方へと移動してポーションを飲ませる。

これで一旦は夢で見た未来は粉砕したことになる。

しかし、このままで安心するほど俺は楽観主義者ではない。


今この時この日本中からミズメに向かい魔物が集まっている。

それをどうにかするには今の状況を快く思っていない神と交渉する必要がある。


「出て来いアマテラス!このままだと未来は変えられないぞ!」


すると俺の目の前に光に包まれたアマテラスが姿を現した。

その表情は大きく歪み、現代で見たコイツとは明らかに違う。

まるで何日も徹夜した後に苦虫を噛み砕いたような顔になっている。

この様子だと余程この状況に腹を立てているのだろう。


「お前たちのせいでまたツクヨミは死ぬ!それをどう責任を取るつもりだ!」

「黙れ!お前だってその為にミズメが犠牲になっても良いと思っていただろうが!それよりもとっとと話を進めろ!俺としてはツクヨミも助けるつもりなんだよ!」

「何を戯言を言っている!ツクヨミは夜の神として邪神と親和性が高く奴の意識は完全にツクヨミに向いている!もし邪神を止めるならば封印しかないが人間であるお前に何が出来るというのだ!お前達には最初から代わりの犠牲となり死ぬ手段しか無いのだぞ!」


確かにコイツが言う様にミズメを食べる事で邪神の力が弱まればその間に力を削いで封印も出来たかもしれない。

ただし何時も決め手となるのはツクヨミが邪神に喰われてからだ。

アイツが食われた後に腹の中で抵抗したおかげで封印が出来ている。

なのでミズメだけでは確実に役不足だ。

但し、そこで俺が加わればまた違って来る。

俺の力の大半は邪神の物でも変化して違うものになっている。

食べたからと言って簡単に消化は出来ず、俺も腹の中で大暴れするので力を消費するだろう。

アマテラスが犠牲になる者に俺を含めているのはそのためだ。


しかし俺には方法がもう一つある。

それは他の12人が選択せず、俺だけが選ぶであろう選択肢。

実はこれに関しては他の奴も使用が可能な状態だったけど奴らは別の選択を選んでいる。

そう、それは逃げるという選択肢だ。

俺の持っている7つの大罪シリーズには2つの効果がある。

1つは俺の命と引き換えに絶大な力を与えてくれると言うもの。

そして、もう1つは強制的に時間跳躍を可能にするという効果だ。

今までの奴等は全員が後者を選択し、戦いを放棄して未来へと逃げ帰っている。

恵比寿が何でこんな機能を作ったのか疑問だけど選択権は本人にあるので仕方ないだろう。

その結果、贄の女性とツクヨミが死ぬという流れが12回も繰り返されている。

だからここでは最低でも犠牲が1人は出る計算になりmその犠牲となる1人を俺にすれば良いだけだ。


「俺が今回の犠牲になる。だからミズメから力を抜き取ってくれ。」

「本気か貴様!人間が自分を犠牲にするだと!?」

「良いから決断しろ!どちらにも時間は残されてないぞ!」


現代で出会たアマテラスなら即座に決断するだろう。

しかし、どうやらこの時代のアマテラスにはそれが出来る程に心の余裕が無いみたいだ。

その視線は俺と邪神の間を何度か移動し、ようやく決断してくれた。


「分かった。しかし、嘘だった時は分かっているな。」

「そう思うんならお前も見てないで戦え。目からビームが出せるんだろ。」

「黙れ!」


するとアマテラスは不機嫌そうに顔を歪めながらもミズメから囮としての力を抜き取った。

そして、それを見た瞬間に俺はステータスを表示させそこにある決定ボタンを指で触れる。


『七つの大罪シリーズをコンプリートしています。特殊能力を解放しますか?それとも現代に帰りますか?』


そして触れたのは特殊能力の解放だ。

その瞬間に能力が何倍にも跳ね上がり、体に力が溢れて来る。

ただ、その変化に今の俺の体が耐えられるはずがない。

骨は軋み肉は弾け血を流しながらも体が急激に変化して行く。

そして次第に人間の姿から逸脱し、凶暴な鬼の姿へと変わっていった。


「これでも力が足りない。」


俺は目の前に浮かぶ神の力の集合体を手にするとそれを称号の暴食の能力で自身の力に変える。

それだけでレベルが20も上がり、俺のレベルが125へと上がった。

しかし、それでも足りそうにないので後は邪神から奪う事で解決するしかない。

それに今の俺は称号の憤怒によって怒りの制御があまり出来ない状態だ。

このままだとミズメを襲ってしまうかもしれないのでこの場から早く離れたい。

そしてミズメを横に寝かせてやると毛布を掛けてやりその場から飛び去った。


「これで良い。これでミズメも幸せになれるはずだ。」


ミズメも力が無くなれば他の女性と同じ様に平和な生活が出来るはずだ。

そうなれば俺の様な異常者こそが邪魔な存在になる。

平和になった世界ではそれまで勇者や英雄と言われていた存在でも存在価値が失われ逆に恐怖の対象となってしまう。

そんな俺が傍にいるよりも、もっと良い相手が幾らでも居るだろう。

出来ればミズメの巫女服姿をもう1度だけ見ておきたかったけどこうなればもう手遅れだ。

この戦いが終われば称号の効果によって俺は死んでしまうからな。


そして俺はSソードを手にするとクオナへと声をかける。


「準備は良いか!」

「万全です!」


すると手に持っている柄が俺の手のサイズに合わせて巨大化する。

そして、その横からは以前にも見たサイボーグのボディーが姿を現しともに邪神へと向かって行った。

しかし、そのサイズは以前の何倍もあり10メートルを超えている。

それでも邪神のサイズから言えば赤子サイズだ。

ただしそれ以下のサイズである俺よりはマシだろう。


クオナは俺に劣らない速度で動き、手にビームサーベルの様なSソードと同質の刃を出現させると下半身にある蛇の首を斬り落として見せる。


「以前の私と思わない事です!」


どうやら以前に邪神と戦って敗北した時の事を言っているようだ。

攻撃も十分に通るようなのであちらは大丈夫だろう。

しかし蛇の首を切ってもその断面から次々に新しい頭が再生して生えて来る。

それでも切り取った頭は霞になって消えているのでダメージにはなっていそうだ。


「俺も容赦はしないからな!」


俺もこの1月でSソードを使う事にある程度は慣れて刃の長さを調整できるようになった。

今迄はクオナに任せていたけど決戦では戦闘メンバーの数に入っている。

それにルリのおかげで邪神がどれだけ巨大なのかは分かっていたので、これが使えなければこの戦闘で役には立てない。

ちなみに俺以外の12人の戦闘でクオナが参戦したことは無い、と言うか出会っていない。

それもそのはずで誰もハクレイから借りたゴーグルを持っていなかったからだ。

もしかするとゴーグルこそが運命を変える最初のカギだったのかもしれない。


そして俺の攻撃も1撃で蛇の首を斬り取る事が出来た。

ただしその後はクオナと変化は無く、落とした首がすぐに再生してしまう。

まるで無限に続きそうなモグラ叩きをしている気分だ。

しかしスサノオは上半身の相手で手一杯で他に意識を向ける余裕はない。

猫の手でも借りたいとはこう言う事を言うのだろうか。


「それなら良い子を連れて来たよ~。」


すると何処からともなく声が聞こえ俺のすぐ後ろにゲートが開いた。

そして、そこからは俺よりも大きな黒い影が現れ太い腕と鋭い爪が邪神を切り裂いた。


「ゴアーーー!!」

「母熊か!」


こちらもこの1ヶ月で大きく成長したみたいだ。

二本足で立てば体高が10メートルを超えているのでクオナよりもデカい。

ただ、たとえレベルが100だとしても今の速度に母熊が着いて来れるとは思えない。

もしかすると何か大きな変化が・・・。


「もしかして職業を得たのか!」

「ゴッフ。『コク』」


この時代で力を得た者に限って言えば俺の様にレベル25で職業を得られなかった。

しかしどうやらこの時代のステータスはレベルが100で職業を選べるようになるらしい。

そうなるとコイツらしく選んだのは1つだろう。


「もしかして獣の統率者になったのか。」

『コクコク。』


あれなら従えた獣の数で力が上昇する。

そして北海道は獣の宝庫なのであそこを走り回り片っ端から獣たちを支配してきたのか。

たとえ1匹ずつは僅かでも数が居れば十分な戦力強化になる。

現代でもリリーが同じ事をしようとしていたのでその効果が実際に見れてよかった?


(あれ?もしかしてリリーがこれを成功させてたら俺って負けてたんじゃないか?)


・・・馬鹿な考えをするのは止しておこう。

今は目の前の邪神だけに集中だ!


しかし、問題があるとすれば他の魔物たちだ。

奴等はこちらを無視して町に向かっている。

あのままだと結界が破壊されるのも時間の問題だろう。

しかも目の前の邪神から力を得ているのか全ての魔物がどんどん強くなっている。

このままだと北海道で戦った自称・山の神と同等になるのも時間の問題だ。

しかもそれだけの力を使っているにもかかわらず邪神に衰えは感じられない。

このままでは結界が破壊され町は魔物に蹂躙されてしまうだろう。


なら如何すれば良いかと言えば俺の称号に丁度良いのがある。

それは俺が一番得意と言うか身に染みて知っている『怠惰』だ。

これはこちらの力を高める憤怒とは逆に相手の力を低下させてくれる。


「少しは怠ける事をした方がいいぞ!」

「グオーー!な、何をしたーーー!!」


すると今まで俺達の相手を全くしようとしなかった邪神から声が上がった。

足元の俺達はともかくスサノオとは良い勝負をしていたので余裕が無くなったからだろう。

切り取った蛇の頭の再生も緩やかになりかなり効いているみたいだ。


「今回はお前の好きにはさせないからな!」

「おのれ人間?の分際で!だが既に魔物への強化は十分に完了している。このまま町を蹂躙しお前の守ろうとしている者達を殺し尽くしてやるぞ!」

「出来るもんならやってみろ!」


そろそろ皆も動き出してくれる頃だろう。

俺がただ我武者羅に蛇の首を落としていたと思ったら大間違いだからな。


そして町でもようやく皆が動き始めた。

その狼煙を上げたのは5本の火柱で、それは空に上がると魔物を焼き払い蹂躙を始めた。


「ハルヤ!俺達もレベルが最大になったぞ!」

「これがステータスなのですね!」

「これで私も戦えます!」

「うおーーー!家族で戦える時が来るとは思っていなかったぞ!」

「ルリ、お前はまだ小さいんだから無理はするなよ!」


そして、炎と共に上がって来たのは安倍一家の5人組だ。

全員が既に12神将と契約を果たして輝く鎧に包まれている。

しかもステータスを持っていなかった他の3人まで覚醒者と成っているようだ。

俺はステータスを開くと自分のパーティーメンバーを確認してみる。

するとそこには途方もない数のメンバーが名前を連ね、今も急激に増え続けていた。


しかしアマテラスの姿が見えないと思っていれば奴は町に居る後奈良天皇の許へと向かったみたいだ。

そして今は2人で空に上がり人々に呼びかけ全員を覚醒者へと変えている。

すると俺のステータスに突然メッセージが表示された。


『仲間の人数が一定以上に達しました勇者の称号が起動します。』

『勇者の称号の効果により仲間の能力が強化されます。』

『勇者の称号の効果により仲間の人数に応じて本人の能力が強化されます。』

『聖女の危機を確認。勇者の能力が強化されます。』


どうやらアマテラスの狙いはこれだったみたいだ。

アイツはステータスの仕様を知っているのでそれを利用したと言った所だろう。

それに最後の聖女という所はミズメの事で間違いなさそうだ。

やっぱり同じ魂を持つ者としてちゃんと認識していたということだろう。


「ここは任せたぞ!」

「任せなさい。その代わりアイツを殴るのは任せましたよ。」

「ゴォアーー!」


俺は新たに得られた力によて体が更に巨大化して行く。

そして今では身長が邪神の半分くらいまで成長した。

するとそれを見てスサノオもニヤリと笑うと体を大きくして剣を構える。

だた、あちらの姿に変化は無く服も体もそのままだ。

でも俺の方は服も破れて裸となって戦っており、出来れば神の奇跡とやらがあるなら服が欲しい所だ。


だが都合の良い事に奴は気配に鈍いらしく俺に背中を向けたまま反応しない。

だからスサノオにニヤリと返すと剣を掲げて全力で振り下ろした。


「な!何者だ!」

「俺だよ俺。」

「貴様はさっきの人間?!」


それにしてもコイツが俺を人間と呼ぶ時には何で疑問形なんだ?

確かに見た目は化物になっている・・・とは言っても邪神には言われたくない。

中身だけは人間のつもりなんだけどな。


そして俺の不意打ちは奴の腕の1本を切り落とすと霞に変えて消し去った。

さすがは対邪神用装備と言ったところか効果をしっかりと発揮している。

しかし斬られた腕から肉が盛り上がり、下半身と同様に瞬く間に再生してしまう。

これではどうすれば倒せるのかが手掛かりすら掴めない。

きっとこれが原因で倒すのではなく封印という手段を取ったのだろう。


「ハハハ!貴様らの攻撃など効かんぞ。我は幾多の世界を滅ぼし膨大な数の魂を抱えているのだ!たとえ1億回、1兆回と繰り返そうと我の命が尽きる事は無い。貴様らも諦めて我の糧と成れ!」

「誰がテメーなんかの餌になるかよ。この世界の神を舐めるんじゃねえ。」


スサノオは雄たけびを上げると力任せに剣を振り下ろした。

俺はそんなスサノオに頷きながら視線を町の方へと向ける。

するとそこには巫女服に身を包んだアケとユウが空に手を広げ元気になる魔法を使っている。

あの姿を見られただけで俺の中に今までの100倍の力が湧いてくるようだ。


「その通りだ。スサノオ、もうそろそろくるぞ。」

「何が・・うおーーー!何だこりゃ。力が湧いてくるぞ!」

「魔法による強化だ!このまま一気に勝負を付けるぞ!」


俺とスサノオが前後から斬りつけると、足元の蛇がそれを阻もうと間に割り込んで来た。

しかし、さっきまでの俺ですら倒せる程度の奴で防げるはずは無い。


「舐めるな雑魚共がー!」


今の俺達には蛇の1匹や2匹程度は障害にすらならな。

だが蛇に剣が触れると金属同士が衝突した様な硬質な音が鳴り響き攻撃が止められてしまった。


「何だコイツは!?」

「よく見ろ。コイツ等は蛇じゃねえ!」


見ると先程まで蛇だったものは鞘に包まれた剣へと変わっていた。

しかもそれが6本あり、邪神はそれを手にすると勢い良く引き抜いて俺達を弾き飛ばし口元を吊り上げて見せる。

そして鞘の様になっている蛇皮は何も無かったかの様に再び蛇となって群れへと戻っていった。

さっきまでは相手が何も武器を持っていなかったから押し込めていたのにこれで相手の攻撃力と防御力が同時に上がったことになる。

しかも奴は腰から下に2本の足を生やすとまるで蛇を腰蓑みたいにしながら立ち上がってみせた。


「我がこの姿で戦うのはいつ以来か。最初から大人しく喰われておれば苦しまなくても良かったものを。」


そう言いながら奴は腰に下げた蛇たちを地上に放ち、クオナや母熊へと襲い掛からせる。

それは先程までの動きと異なり、縦横無尽に動き回るとリーチを生かした波状攻撃を開始した。


「ゴアー!」

「これは面倒ですね!」


そして初撃は回避できても次第に激しくなる攻撃はゆっくりと2人の足を後方へと下がらせ始める。

その攻撃は言うなればシューティングゲームに出て来る誘導ミサイルのようで、さっき邪神が言っていた事が本当なら弾切れも期待できそうにない。


「手が足りません!」

「もう少し我慢しろ!」


蛇たちの攻撃は殆どが特攻攻撃だ。

しかもその口からは最初に無かった鋭く長い牙が生えていて液体が染み出している。

そして液体は強い酸性を帯びている様で落ちると煙を上げて地面を溶かしてしまった。

そのため先程までは攻撃を弾いていたクオナの装甲にもダメージが入り始めているようだ。

するとようやく次の援軍が到着してくれたようでここまで声が聞こえ始めた。


「「ゴアーー!」」

「お待たせー!」


このタイミングで現れたのは子熊の2匹と伊達家の親子、それとコバヤカワだ

ただ気のせいかもしれんしけどアケヒメとコバヤカワのクマに乗る姿を幼い頃に見た様な気がしてきた。

もしかして本当に銅像にでもなっていないかと不安に思う現象だ。

もし現代に戻って今日の事を覚えていればネットで検索してみよう。


「遅くなってすまない。」

「待ってたぞ!」


今は熊の手でも借りたいくらいなので来てくれただけでも助かる。

出来ればパンダ(熊猫)の方が相応しいんだけど贅沢を言っている余裕はない。

それに最初に戦った時の蛇と違い邪神から分離した蛇は特殊な攻撃をする代わりに強さは格段に弱くなっている。

子熊だけでなく、レベルが100に達していれば他のメンバーでも倒す事は可能だ。


そして俺達が戦い続けた事でようやく他の連中も戦う準備が整い始めた。

町からはそれぞれが手に武器を持ち、ぞろぞろと姿を現し始める。

持っているのは刀や槍だけではなく木槌や鋸などの大工道具の他に包丁、鎌、鍬など多くの種類がある。

恐らくは目につく武器に成り得そうな物をもって出て来たのだろう。

誰もがこの状況だというのに怯んだ様子はなく、まるで狂犬のような目をして・・・。

いや、これは士気が高すぎるだろ!


そう思っているとその後ろには笑顔で固い握手を交わす天皇とゼクウが居るのが見える。

どうやらアイツ等は自分達の持つ人々からの信頼とカリスマ性を利用して集まった人を狂戦士にしてしまったらしい。

もしかして称号も狂戦士とか鬼嫁にしてないよな。

そんな事をするとここを無事に乗り切ったとしても後が大変なんだけど、生き残らなければ意味が無いので今だけは見なかったことにする。

きっとアマテラスたちが後で上手くやるだろう。


それならこちらの準備が整ったので再び押し返す事にした。

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