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208 僅かな平穏

次の日の朝になるといつもの様に皆と揃って食事を開始すると後奈良天皇から声が掛かりそちらへと向かって行った。

ただ毎日同じ大部屋で食事をしているので扱いがかなり雑になっている。


「お~いハルヤ~。渡す物があるからちょいとこっちに来い。。」

「は~い。」


もはや女中の人を使うとかそういった事もなく、近くに居るのだから普通通りに声をかけて来る。

この人もポーションを飲んで体が健康になったので齢の割にはかなり元気だ。

アンドウさんの話では歴史的にもうじき寿命らしいけど本当に死ぬのか疑問しか湧いてこない。


そして天皇の傍に行くと懐から無造作に木札を取り出してこちらに投げ付けて来るので、もはや最初の頃にあった貴人の風格は見る影もない。

たとえどんなに偉い人物でも一皮むけば普通の人という事だろう。


そして投げ渡された札を見ると黒い漆塗りの様な光沢の表面に真っ赤に燃え盛る太陽が描かれている。

どうやらこれが最上位の札の様で裏を見ると確かにそう書いてある。

それに昨夜に対応してくれた本部の女性が言う様にこれで俺も爺さんと同じになったと言う訳だ。

しかし、今となってはあまり意味が無さそうなので使う機会は少ないだろう。


「一応は有難く受け取っておきます。」

「そうしておけ。それにしても最上位になる奴の反応はどいつも変わらんな。」

「上位3位でもそれなりに恩恵が大きいからですよ。それ以上あっても一般人には持て余してしまいます。」

「そんなモノかのう。」


実際に組織に入りある程度ランクを上げると関所の無料通行という恩恵がある。

これだけでも商人からすれば喉から手が出そうな程に欲しい特典になる。

今はアンドウさんのおかげで関所ので関税は全面撤去されたけど、この時代の関所破りは罪が重かったと聞いた事がある。

確か磔か何かで死刑だったと思うので、まるで国同士を隔てる国境みたいだ。

だから人によっては商人からの仕事を請け負って運搬業に手を出す者も少なくなかったらしい。


「そう言えばこれを持っていれば何か良い事があるのか?」

「そうじゃのう、見せればこの屋敷に入れてもらえるぞ。」

「他には?」

「儂に会う事が出来るな。」

「他には?」

「この京に家を建てれるぞ。」

「他には?」

「周りから一目置かれる?」


なんで最後だけ疑問形なのかは置いておくとして、どうやらこれが役立つ機会は無さそうだ。


「俺が持ってて意味がありますか?」

「言われてみればそうかもしれんな~。カッカッカッカ!」


ただ身分証としてはとても役に立つので投げ捨てずにちゃんと収納しておく。

もしかすると、いつかは店での割引特典とか付くかもしれない。


その後、俺は食事を終えるといつもの様に門までミズメ達を見送り診療所へと向かって行った。

昼には皆がここに来る事になっているのでその時にハルカを紹介すれば良いだろう。

そして中に入るとハルカの他に2人の女性の姿がある。

何処となくだけど昨日の件で偶然助けたあの2人のような気がする。

ちょっとしか話をしていないし、途中からはアンドウさんに丸投げだったのであまり記憶に残っていない。


そして俺が姿を現して声をかけると2人とも丁寧にお辞儀を返してくれた。


「昨夜はありがとうございました。」

「あのままだとどうなっていたか。」

「気にしないで良いよ。それよりも子供たちはどうなったんだ?」


あの時の子供たちに関してはどう見ても浮浪児と思われる者も多く含まれていた。

行き場が無いのでアンドウさんに聞こうと思っていたんだけど、この2人なら知っているかもしれない。


「あの子達は助けてくれた男の人達が連れて行きました。」

「なんでもこの近くのお店で住み込みの仕事をさせるそうです。」

「それにそこの前にある料理店の店長が子供が好きらしいのですが、雇った人が長続きしないからって困っていると言っていました。」


もしかしてあのオカマはあそこの店長だったのか。

なんだか急に子供たちの未来が心配になって来たぞ。


「それで私達も助けてくれた人たちの口利きでそのお店に雇ってもらえる事になったんです。」

「店長も優しい方なのにどうして他の人は辞めちゃうんだろうね。」


それはきっと今までのスタッフが男だったからじゃないかな。

しかし驚くべき事に女性視点ならあの店長は優しいだけにしか見えないようだ。

または昨日の件でその辺の感性が壊れたか鍛えられたのかもしれない。

アンドウさんは良い人材を手に入れられて喜んでいる事だろう。

この2人もそれなりに可愛い顔立ちなので揃って看板娘になれそうだ。

あの店の名も・・・ってもう変わってるし。


「もしかして店の名前を変えたのか?」

「はい。何でも経営者の人が最初から準備してたみたいですよ。」


スキルを使ってその店の看板を確認すると既に新しい看板が取り付けられている。

以前までは『娘!(ニャン!)』だったのか、今では『娘!娘!娘!(ニャン!ニャン!ニャン!)』になっている。

きっと狙っていたのはその間だろうけど少し如何わしい店に見えるのは俺の心が汚れているからだろうか。

入って店長を見ればそんな気持ちは木端微塵に砕け散るんだろうけど、なんだか入る客が可哀想に思えて来る。

まあ、この2人が看板娘になれば3分の2は嘘ではなくなるので大丈夫だろう。


「それなら仕事を頑張ってな。」

「はい。修行して上達すれば別でお店も開かせてくれるらしいので頑張ります。」

「それに残った食材や練習に使った料理は持って帰っても良いって言われていますから家族も助かります。」


そういえば以前ほどではないけど京の都では食材の価格が少し高い。

買えない程ではないけど家計を圧迫するのは確実だろう。

聞くと給料は安いらしいけど、その代わりに毎日の食べる分が賄えるので追加報酬としては十分なのだろう。

あのオカマ店長も上手く考えているみたいだ。


そして彼女達は嬉しそうに診療所から出て行くと自分達が働くお店へと戻って行った。

しかし女性ならオカマが量産される訳では無いので安心だな。

俺は2人を見送ると奥の部屋へと戻りハルカに声をかける。


「許してもらえたのか?」

「うん。ちょっと慰められたくらい。」

「そうか。昨日は大変だったからな。」

「その大変な事をした本人に言われるとなんだか微妙な気分ね。」


ハルカはそう言ってジト~とした目をこちらへ向けて来る。

しかし、あれはハルカが俺の言う事を素直に聞かなかったのが悪い。

最初から頷いていればあんな醜態?痴態?は晒さなかっただろう。


「そこは自業自得と言うことで。」

「普通の診療所のお医者さんはあんな事は出来ないのよ。」

「俺は普通じゃないから良いんだよ。それよりもちゃんとご飯は食べたのか?」

「うん・・・。とっても美味しかったわ。落ち着いてご飯が食べれたのは久しぶり。本当に助けてくれてありがとう。」


これはどういったありがとうなのだろうか。

あの境遇から拾い上げた事か、それとも美味い飯を落ち着いて食わせてやった事か。

どちらにしてもハルカには今日からしっかりと働いてもらおうと思う。


「それなら今日からしっかりと働いてもらうからな。昼から皆に紹介するからそれまでは俺の手伝いだ。」

「分かったわ。」


そして、いつもの様に朝は人が少なく時々来る患者の相手をしていると見知った顔が入って来た。

その背後には大きな荷物が背負われ、まるで夜逃げをしているようだ。

この時代は車なんて無いのでたくさんの荷物を背負子で運んでいる人を良く見る。

だから現代に比べればそんなに目立つとは言えないだろうけど、着物がアニメキャラでなければ変な視線は向けられていないはずだ・・・。


「何か用ですかツバサさん。」

「言われてた物を届けに来たのよ。」


そう言って荷物を下ろしてカバーを外すとそこには注文していた枕とリアル熊の縫ぐるみが入っていた。

ここで可愛いテディーベアタイプにしないのがツバサさんらしいところだ。


「ありがとうございます。それでお代はいか程ですか?」

「別に構わないけど出来たらお酒の御摘みが良いわ。実は鷹狩りで取った獲物から羽毛を譲ってもらったんだけど武田とか上杉が五月蠅いのよ。あなたが伊達家で色々と振舞ったからその影響がこっちに来てるの。」


最初はてっきりアンドウさんとの晩酌に使うのかと思っていたけど、きっと酒癖の悪いハルムネ辺りが酔って自慢でもしたのだろう。

ツバサさんの言う2人とは面識がないけど、食文化が発展を始めた今なら何か美味しい物を生み出すきっかけになるかもしれない。


「それならこれらを渡しておこうかな。特に缶詰とかなら材料が書いてあるから簡単に再現できるだろ。」

「助かるわ。最近は大名たちも自分の料理の腕を競ったりしてて、招いて自分で作った料理を振舞ったり一緒に研究をしてるのよ。」

「それなら少しカンニングみたいな気がするな。」

「大丈夫よ。どうせ味の調整は自分達でするし現代みたいに調味料が揃ってる訳じゃないんだから。」

「それもそうだな。」


俺達は互いに笑うと納得する範囲で物々交換を終えた。

それに昔から茶の席も盛んでお茶に合う甘味も聞かれたので、餡子系に搾って何種類か渡しておく。

和菓子のような砂糖菓子は無いけど、こちらは俺の専門分野なので多めに渡しておいても問題ない。


「それにしてもハルヤは沢山持ってるのね。」

「アイテムボックスを覚えてから数か月掛けて集めたのとフルメルトに行く時の機内で大量に手に入れたからな。缶詰に関しては殆どがそれになる。色々と食べた事の無いのもあるから少し困り気味だ。」


中にはどういう意図で買ったのかシュールストレミングという強烈なニオイのする缶詰もある。

それ以外にも見た目がエイリアンみたいなワラスボの乾物やイナゴの佃煮。

蜂の幼虫なんてのもあるから選んだ奴の嫌がらせなんじゃないかと思ってしまう。

国王が魔物になっていたのでこういうゲテモノでもバリボリ食べちゃうのかも知れないけど他に食べる物がない状況でなければ手を出したくない。

記憶の中に虫を食べた記憶はあるけど、あれも好んで食べようとは思った訳ではなく他に食べる物が無かったのが理由だ。

ただこの際なのでチャレンジャーの多いこの時代の人達の胃を借りて少し消費しておくことにした。


「これはネタアイテムなのかな?」

「・・・そういう事にしておいてくれ。」


虫はともかくシュールストレミングとワラスボに関してはインパクトがあるだろう。

それに何があってもツバサさんなら笑い話で終わらせてくれるはずだ・・・そのはずだ!

そう、これは食べたくない物の処分するのではなくツバサさんを信じて渡しているんだ。

決して自分だけの為ではない!


俺は心の中でそう結論を出すとお代わり用を追加しておいたので不評なら何処かにでも捨てるだろう。

1つは開けたくもないだろうけど、ここから遠く離れた尾張でなら好きにすれば良い。

そしてツバサさんは来る時とそれほど変わらない量の荷物を背負い、重そうな足取りで帰って行った。


「あの人凄い量を背負ってたけど大丈夫なの?」

「きっと大丈夫だよ。あの人はネタに生きる人だから。」


その後この診療所の周囲で度々異臭騒ぎがあり沢山の人が被害に遭ったとか遭わなかったとか・・・。


そしてお昼を少し過ぎた辺りで患者の数が増え始め、それと同時にミズメ達も診療所へとやって来た。


「お兄ちゃん参上だよ!」

「今日はどんな様子ですか?」

「私はお茶でも淹れるね。」


するとアケは戦隊物の様なポーズを決め、ユウは周囲を見回しながら状況を確認する。

ミズメは奥に向かうと慣れた手つきでお茶の準備を始め、火鉢に置いてある薬缶のお湯を確認する。

そしてエクレはフラフラと奥へと歩いて行くとそこで横になり2つの枕を取り出した。

コイツは俺に付いて来てからは頭の下に1つと、もう1つを抱き枕にして眠っている。

ただ、予備が4つ手に入ったからそろそろ返してもらう予定だ。

俺は治療をアケとユウに一旦任せると奥の部屋へと向かって行った。


「エクレ、そろそろ枕を1つ返せ。」

「いや。これが無いと生きていけない。」


だがそんな事を言うのは既に想定済みである。

だから交渉材料としてアレをツバサさんにお願いしたのだ。


「ならばこれと交換でどうだ!」


俺は先程受け取ったリアル版クマさんを取り出して見せた。

この縫ぐるみはまさに猛々しいという言葉がぴったりで今にも雄叫びが聞こえてきそうな荒ぶる顔を完全に再現してある。

まさに可愛いという言葉とは全くの正反対だと断言できる力作だ。


「・・・可愛い!それを私にくれるの!?」


するとエクレの表情が急に輝き少女の様にキラキラした瞳を向けて来る。

実の所を言うと9割は断られるかなと思っていたのに神にとって熊くらいはリアルでも可愛い部類なのかもしれない。

ちなみに俺がそれでも賭けに出たのはその手触りがとても良いからだ。

きっとアンドウさんがスキルを使って作成したのだろう。

作り手であるツバサさんの腕も良いんだろうけどまさに至宝と呼べる一品になっている。


「だからその枕を返してくれ。」

「分かった。今回は特別に許す。」


許すも何もそれは俺が使っていた枕なんだけどな。

ただ、ここでその話をしても既にエクレの耳には届きそうにない。

彼女はクマさんを抱いて倒れると同時に目を瞑り今は夢の中へと落下している。

俺は何とか枕を取り返すとそれを収納してミズメの準備してくれたお茶に口を付けた。


「よく返してくれたね。」

「アイツは時々アケとユウが使っている熊の縫ぐるみ(可愛い系)を羨ましそうに見てたからな。あのままじゃ喧嘩になったかもしれないからツバサさんにお願いして作ってもらったんだ。」

「そうなんだ。よく見てるんだね。」

「当然だろ。お前を守って貰ってるんだからな。」


そんな事を軽く返すとミズメの顔が急に赤くなり手に持っていた湯呑で顔を隠してしまう。

ただ湯呑が小さいので隠しきれていないけどそういう所もとても可愛い。

すると少し離れて待っていたハルカがこちらにチラチラと視線を向けて来る。

そういえばミズメにハルカを紹介しておかないといけなかったな。


「ハルカちょっとこっちに来てくれ。」

「待ってました!」


するとハルカは元気に返事をして、俺の横に腰を下ろした。

どうやらやる気だけはある様なので後は本人の頑張りしだいだ。


「その人は誰?」

「昨夜の内に仮雇用したくノ一のハルカだ。今日から追加の護衛として働いてもらう。」

「え!また増やすの!?」


ミズメはこの数日で2人も護衛が増えたので驚いた表情を浮かべている。

しかし問題があるのはその1人目の方なので指だけで指示して本心を問うてみる事にした。


「アレを見て大丈夫に思うか?」

「・・・心配です。」


ミズメも縫ぐるみを抱いてスヤスヤと気持ち良さそうに眠るエクレを見てその必要性に気が付いたようだ。

ああなると簡単には起きないし下手に触ると感電する。

俺なら感電しながら起こせるけどアケやユウにも無理だ。

流石と言うか無駄に神だけはあり、俺の防御すら突き抜けて来る。

恐らくミズメが触ると確実にショック死するので触らない様に言ってある。


「コイツは戦闘面では心配だけどいざとなったら囮にして逃げろ。」

「ちょっと!何よそれ!」

「あと根性だけはあるからコイツなら捕まっても問題ない。お試し期間だから見捨てても問題ない。」

「ちょっと!それは大問題よ!」

「まあ待て、今はお前の取り扱い説明をしてるんだから。」

「何が取り扱いよ!」

「まあまあハルカも落ち着いて。こんな言い方をしてるけど、そんな事しないから大丈夫よ。意地悪なのは表面だけなんだから。」


すると俺とハルカが言い合いをしていると横からミズメが笑顔で言葉を挟んで来る。

それに何を言ったとしてもハルカをどう扱うかはミズメが決める事だ。

もしそれで何かが起きそうならその前に俺が徹底的に磨り潰せば良い。


「そういう訳でハルカの扱いはミズメに一任する。ただしハルカ。1つだけ注意しておくぞ。」


俺は今までにない程の真剣な表情を向けながら声をかける。

その雰囲気に呑まれハルカは緊張の中でゴクリと喉を鳴らした。


「太るなよ。」

「・・・は?」

「だから太らない様にな。行動を共にすれば分かると思うけどミズメと行動して一番大変なのは食事だ。周りの勢いに負けて無理をするとあっと言う間に太るからな。」


するとハルカは少し鼻で笑うとそんな馬鹿なと言った呆れた表情をミズメに向ける。

でも常識で考えればミズメの見た目だと食べたとしてもラーメンで1杯分が良い所だろう。

しかし、ミズメの場合は丼の内容量は通常の5倍。

食べる杯数は更に10倍以上だ。

もしかするとその光景を初めて見れば、それだけで胸焼けするかお腹いっぱいになるかもしれない。

そしてハルカは笑みを零しながらミズメへと視線を動かした。


「もうハルヤは意地悪ね~。こんな細い子がアナタが言う様に沢山食べれるはずがないじゃない。ねえ、ミズメも自分の事なんだから言い返さないとダメよ。」

「・・・。」


しかし顔だけは笑いながらも視線が横へと逃げていく。

その様子に笑っていたハルカの笑みが消えて行くと表情が引き攣り始めた。


「ねえ、冗談って言ってくれるわよね。」

「よし、それじゃあ親睦を深める為に昼でも追加で食べて来いよ。」

「そ、そうだよね。仲良くなるには同じ釜の飯を食えって誰かが言ってたよ。」


すると立ち上がったミズメは率先してハルカの手を取り診療所の向かいにある『ニャン!ニャン!ニャン!』へと向かって行く。

それと同時にエクレも目を覚まして後を追って行き、その後からアケとユウにも声をかけて一緒に行ってもらった。

そして少しするとミズメたちの入った店から悲鳴が上がり、1時間ほどで皆が戻って来た。


「どうだった?」

「・・・ゲップ!どうして皆はあんなに食べてお腹が引っ込んだままなの?」


戻って来たハルカはまるで妊娠でもしてきたのかと見える程にお腹が膨らんでいる。

しかし残念な事に食べ過ぎに回復魔法は効果を発揮しないので助けてやる事も出来ない。

唯一の方法と言えばトイレに行ってナイアガラリバースする事だけど、それはミズメが許してくれないだろう。

それならここまで食わすなとは言いたいけど、結局断らずに食べたのは本人の責任でしかない。

だから無理をするなと言っておいたのにしょうがない奴だ。


「仕方ないから今日は反省してそこで横になってろ。夕飯までには食べられるようにしておけよ。」

「横になったら吐きそうだけど食べるのが怖いと思ったのは初めてよ。だから今後はなるべく今後は気を付ける。」

「分かれば良いんだ。」


ちなみにハルカは数日の内に俺の許へと相談に訪れた。

何でもお腹に脂肪が付き始めたので訓練に付き合って欲しいらしい。

どうやら女性にとっての真の恐怖に目覚めたらしく、訓練も鬼気迫るものがあった。

俺はその努力を認めお試し期間を終わらせると初日から来ていた申請を受諾してハルかを覚醒させてやった。

すると何故か太らなくなり問題は解消されたみたいだけど、それまでに感じていた不安から訓練は継続され立派なくノ一へと成長してくれた。

今では普通に火遁、水遁、風遁、土遁の術が使え、変わり身や口寄せまで使えるようになった。


そんな事をしながらハルアキラやハルカの修行に手を貸していると時間はあっという間に過ぎ去っていった。

そして次第に年末が近づき周囲は新年に備えての活気で満ち始める。

普段ならこの時代でここまでの活気は無いのかも知れない。

しかし戦が無くなり働き手が増えた事と保存の利きやすい食材が増えた事で生活は楽になっている。

そのおかげか、今年は年末の大晦日に祭りが開かれるらしい。

診療所に来る人達の話では盛大な催しも行われるそうなので、きっと多くの見物客が集まるだろう。

それにモモカさんも稼ぎ時と見たのか準備に大忙しだ。


全国からも多くの人が集まるらしいので知っている顔にも会えるかもしれない。

ただ、心配があるとすればいまだに神の啓示が無い事だろう。

最低でも最大の当事者である俺かミズメには連絡があるはずだ。

なのにそれが無いと言うことは決戦は新年からという事かもしれない。


俺はそう思いながらも出来る限りの準備を行い、いつ何が起きても良い様に備えを続けた。

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