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181 北の地 ③

新鮮な鮭を得る為には外に集まっている人面鳥を駆除する必要が有る。

夜になると巣に帰るらしいけど、まだまだ日も高いので夜まで待っていられない。

それにミズメが居るので帰らない可能性も高く、下手をしたらこの辺に移住して巣でも作り出しそうだ。


「ちょっとアイツ等を掃除して川に行って来る。」

「危ないぞ!アイツ等に集られたらあっと言う間に骨にされる!」


するとシアヌから反対の声が上がったり危険性を訴えて来る。

さっき見つかると連れ去られると言っていたけど、あの人面鳥に襲われ無惨に食い殺される所を見たのだろう。

顔色も悪いので生きながらに食われた奴の事でも思い出しているのかもしれない。

俺でも奴等に囲まれて噛みつかれたら夢に出そうなので遠慮したいところだ。


しかし北海道まで来て鮭をゲットしないのは勿体ない。

現代では遡上中の鮭を取る事は禁止されているけど、この時代なら問題はないはずだ。

それに俺はともかくアケとユウは確実に食べた事が無いのでこの機会に食べさせてあげたい。

鮭は料理法も色々あるけど、味噌と根野菜を使った鍋が美味しい。

ただ、さっきみたいに囲いを壊して出るとここまで入って来るかも知れないので、もう一度シアヌの説得を試みる。


「俺は大丈夫だから囲いを一部開けてくれ。」

「シアヌ兄さん。その方なら大丈夫です。それにアレが居ては私達も安心して移動が出来ません。」


すると横で聞いていたウシュラがシアヌの袖を引いてハッキリとした口調で俺の言葉を後押ししてくれる。

そのおかげでシアヌは不承不承といった顔だけど頷きを返してくれた。

どうやら兄が妹の言葉に弱いのは古今東西で変わらないみたいだ。


「・・・分かった。しかし危険だと思ったらすぐに戻って来いよ。」

「そうするよ。俺が飛び出したら正面の囲いを避けてくれ。」


俺はそう言って立ち上がるとタイミングを見計らって飛び出した。


「開けろ!」


すると正面の木々が避けて1メートル位の穴が出来る。

俺はそこからサーカスのライオンの様に潜って飛び出すと、そのまま一気に木の上まで飛び上がった。

すると人面鳥達は俺を追って「キーキー!」言いながら上昇して追って来る。

どうやら人の頭は付いていても言葉は喋れないみたいだ。

しかもかなり獰猛の様でその口には鮫の様な鋭利な牙が並び、それを剥き出しにして襲い掛かって来る。


「食い意地の汚さはミズメと良い勝負だな。」


見た目に関しては天と地ほどの差があるけど、奴等は工夫もなく特攻による攻撃を仕掛けてくる。

どうやら爪と牙以外に攻撃方法が無いらしく、間合いに入った人面鳥を順番に始末するだけで5分も掛けずに終わってしまった。

てっきり四国で戦った空を飛ぶ魚みたいに何か仕掛けて来ると思ってたので拍子抜けだ。

周囲には他に魔物も居ないようだし、これならしばらくは大丈夫だろう。


そして川に到着するとそこには多くの鮭が泳いでいて水面には数えきれないほどの背ビレが動いている。

これなら取り放題だなと思いながら手掴みで鮭を捕獲し鰓からナイフを入れて頚椎を切ってからアイテムボックスへと入れる。

あまり多く取ると後で影響が出るかもしれないので100匹くらいで我慢しておいた。


「こんな物かな。」


周りを見ると数匹の熊も鮭を取って食べているのでここは鮭を取るのに丁度良い浅瀬なのかもしれない。

既に水も刺す様に冷たいだろうに彼らも冬眠に備えて頑張っているようだ。


そして目的を達成したので皆の許へと戻る事にした。

しかし、その移動中にクオナから声が掛かり、いつもに増して真剣な雰囲気を纏っている。

これは何か重要な案件だろうと予感し、移動を止めて空中で足を止めた。


『確認したいのですが先程の戦いでレベルは上がっていますか?』

「流石にあの程度の相手じゃレベルは上がらないだろ。」

『確認をしてみなさい。』


珍しく強い口調で指示が飛んで来たのでステータスを開いてレベルを確認してみる。

すると前回まではレベルが95だったのに、あの程度の戦闘で98まで上がっていた。

一部はユリを倒した時の経験値だとしてもこのレベルで3も一気に上がるのは明らかにおかしい。

今迄の経験から考えて上がっていたとしても1が限界だろう。

ただそれは置いておくとして、聞かれた事をクオナへ伝える必要がある。

こうやって聞いて来たという事は何か理由があるに違いない。


「98まで上がってるな。」

『そうですか・・・。なら今から私が言う事をしっかりと聞いて理解しなさい。』


なんだか理解しなさいと言った所に若干の棘を感じるけど大事な話なのは分かった。

そして聞かされた話は俺の知らないステータスの秘密についてだ。

確かにレベルが100に達した者が居ないという事で誰もそれについては知らなかった。

そこでレベルの上昇が止まるのか、又は更に上がっていくのか。

ただ聞いた話では通常は100で止まるらしく、問題はそのリミッターが俺の場合は外されているらしいと言う事だろう。

なので俺以外ではアケやユウ、それに熊親子も大丈夫とのことだ。

そして最大の問題はレベル100には人間としての限界を示す壁があり、それを超えると魂が壊れて死んでしまうらしい。


しかし魔物が襲って来れば倒すしか選択肢が無く、俺にとって護るとは戦う事を意味しているので止める訳にはいかない。

特にこの時代では魔物がその辺に歩き回っているので現代みたいにダンジョンの外なら安全と言う事は無い。

そうなれば俺にとっての今後の運命は明確な2つに搾られているという事になる。


戦って死ぬか、戦わずに死ぬかだ。

ミズメを見捨てる選択肢はそもそも無いので、死という運命を受け入れるしかないかもしれない。


「一応聞いとくけど100を超えると必ず死ぬのか?」

『壁と言ったようにそれを越えれば助かります。(その場合は人でないモノに変わりますが。)』

「そうか。それを期待してこのまま戦うしかないな。皆には何も言わないでくれよ。」

『死んだら約束は守りませんよ。』

「なら死なないようんしないとな。」


俺にとって死は恐れの対象に含まれていない。

それよりも戦わずにあの3人が死んでしまう事の方が遥かに辛い。

恐らくはここに居る熊の魔物は何人もの生贄を食って力を強化している。

明らかに高い経験値を持っている事が予想されるので確実にレベルが100を超えるだろう。

そうなった時にどうなるかは運しだいだ。


そして俺は地上に降りて家に入ると、そこでは何故か鍋がグツグツと音を立てていた。

煮えにくい根野菜は既に火が通っているので、こちらは既に準備万端で整っているようだ。

すると全員を代表するかのようにミズメが目をキラキラさせながら駆け寄って来る。


「早く早く!獲れたてのお魚を頂戴!」

「はいはい。捌くのは任せたからな。」


するとミズメは素早く俺の出した鮭を持って行くと見事な手際で腹を裂いて内臓を取り出し、ブツ切りにして鍋に放り込んだ。

豪快だけど料亭で食事をしている訳では無いのでこんな物だろう。

俺は追加で味噌を渡して味を調えてもらい追加で白米と醤油を出す。


さっき捌いた時に卵があったのでイクラ丼にすれば美味しく頂けるだろう。

漬けにする時間は無いので取れ立てを単純に食べようと言う訳だ。


「それじゃあこれは俺の方で食べとくから・・・。」

『ダン!』


すると俺の伸ばした手の指と指の間にミズメの手にあった包丁が通過して俎板の上に突き立った。

そしてミズメに視線を向けると、いつもに増してとても良い笑顔を浮かべている。

どうやらシアヌたちから既に卵も美味しいと知らされてしまったようだ。

流石は食のチャレンジャーミズメと言うところか、食べられると聞けば躊躇しない。

そして、その手は包丁を抜き取ると反対の手をこちらに伸ばして来る。


「追加をお願いね。」

「了解。」


俺は溜息を吐きながら鮭の雌を取り出していく。

ただ、適当に捕獲して来たので数が足りるか心配だったけど雌が30匹居たので人数分は確保できた。

まあ、お約束でミズメの量が他の人の10倍近くあるのは何も言わないでおこう。


そしてイクラ丼は今迄に食べた中で一番美味しい物だったので、これは現代に帰ったらまた鮭を取りに行かないといけない。

まさかこんな形で死ねない理由が増えるとは思わなかった。


そして、それ以外にも鍋を2回ほど空にしてから食事を終えた。

心なしか・・・いや、明らかにミズメの食べる量が増えているけどそこは突っ込まない事にしよう。

女性に対して「たくさん食べますね」なんてセリフは禁句でしかないからだ。

ただし、これはあくまで昼食である事を忘れてはいけない。

俺達の横でシアヌとウシュラが満足そうに腹を擦っているけど夜は食べれるのだろうか?

それに夕食の準備も万端の様でミズメが残った鮭の身に塩を振っている。

アイテムボックスに入れておけば腐らない事は知っているので保存の為ではないはずだ。

どうやら夜は汁物ではなく焼き物になりそうだ。


その後、皆のステータスを確認すると全員のレベルが爆上がりしていた。

まあ、90を超えている俺ですらレベルが上がるので当然だろうとは思う。

アケとユウは70を超え、ちゃっかりパーティに入っていたシアヌも40を超えている。

きっと俺が飛び出してからすぐに2人がパーティへ入れたのだろう。

しかし、この人数でもこれなら俺一人だとクオナから話を聞く前にレベルが100をオーバーしていた。

僅かな延命としてもパーティを組んでいて本当に良かった。


そして日が落ち始め外が暗くなってきた頃になると外の森に異変が起きた。

鳥が騒ぎ立てる様に飛び立ち、まるで逃げるようにこの周辺から離れていく。

そして聞こえてくるのは地面を揺らす振動と木々が折れて倒れる音。

どうやらこちらから探しに出向かなくてもあちらから現れてくれたみたいだ。


「来たみたいだな。山の神って奴が。」

「そんな・・・今まで滅多に山から下りて来る事が無かったのに!」

「今回は人面鳥も始末してるしな。怒りにでも触れたんじゃないのか。」


ここで俺達が居るからだとは言わないでおく。

どのみち誰を差し出しても俺達が見過ごされる事は無い。

それにアイツの標的は俺、又は覚醒者である可能性もある。


「ここは逃げるしかない!」

「今頃逃げても手遅れだ。お前もこの地に住むなら熊の鼻が良い事は知ってるだろ。」


きっと逃げてもニオイで追跡される。

そして逃げ続けてボロボロになり神経をすり減らして限界に来た頃に食われるか、恐怖の次は苦痛というスパイスがブレンドされるだろう。

さっき聞いた話だと生贄にされた奴は数日は悲鳴を上げていたそうだから楽には死なせてもらえないのは確かだ。


「それよりも俺が奴の相手をしてくる。みんなはここで待っていてくれ。」


俺はそれだけ言って立ち上がるとアケとユウが立ち上がって左右から俺の手を握って来た。

そこには不安や心配ではなく、ただ信頼しているという笑顔が浮かんでいる。


「ちゃんと戻って来てね。」

「待ってます。」

「ああ、当然だろ。」


俺はそう言って2人の頭をいつもに増して優しく撫でてやる。

すると今度は後ろからミズメが声を掛けて来た。


「もうご飯の準備はしてあるんだからね。残したら承知しないわよ。」


なんだか俺自身が死を意識しているからか、いつもと違う感じに聞こえる気がする。

それに俺が居なくても残る事は無いだろうに今日に限って変な事を言って来るので、人に気にされる程に顔に出ているのだろうか?

するとミズメは串に鮭を刺すと囲炉裏で焼き始めた。

これは即ち焼けるまでに帰って来いと言う無言の意思表示だ・・・多分。


「それならなるべく早く帰って来るよ。」

「すぐに帰って来なさい。」

「はいはい。分かりました。」


俺は鼻で溜息を吐くと背中を向けて外に出た。

するとそこには既に山の神を名乗る存在が待ち構えており、僅かに差し込む夕日の光でそのシルエットを浮かび上がらせている。

しかし、その体は夕日を浴びて赤く染まるどころか闇を抜き取った様に黒く、目だけが赤く輝き光の無い洞窟の奥底から睨まれているようだ。

体は想像していたよりも小さく10メートル程だけど力が凝縮している様な印象を受ける。

明らかに油断できない程に強い力を持っているだろう。


しかし俺は家の周りを囲むバリケードから出るとその巨体を見上げて話しかけた。


「どちら様ですか?」

「ゴアーーー!!聞いていた通りフザケタ人間だ。我はあの方の配下にして刺客。今日は貴様の命を貰いに来た!」

「あの方って言うのは邪神ボルバディスの事か?」

「ゴハァーーー!あの方の名前を軽々に呼ぶ愚か者よ。貴様の罪は万死に値する。それに今日はこの地に価値ある魂が多く集まっている。貴様を殺した後にゆっくりと料理してやろう。」


なんだかさっきから話し出しが五月蠅いし良い気になって変な事まで言い出している。

本当に山の神だったら困るので確認がてら会話してみたけど長話をしても意味が無さそうだ。


「それなら遠慮なくやらせてもらう。」

「出来るものならやってみるのだな。我を今まで倒して来た者達と一緒にした事を後悔させてやろう!」


俺は遠慮をする必要が無くなったのでSソードを抜きながら距離を詰め、横薙ぎに斬撃を放った。

すると二足で立っている状態で俺の攻撃を余裕ありげに前足の爪で受け止めている。

確かに言うだけはあるようで、かなりの膂力を備えているようだ。

それにこの時代に来てから1撃で決まらなかった魔物は数えるほどしかいない。

その中でも俺が放った本気の攻撃を無傷で防いだのはコイツが初めてなので周囲を気にして手加減しているとこちらが負けてしまいそうだ。


「本気で行かせてもらうぞ!」

「攻撃を受けられて負け惜しみか。」

「なら次の攻撃も防いでみろ。」

「ならば我が1撃も受けてみるが良い!」


俺は先程の素の本気から全てのスキルと称号を全開にして真の本気を出した攻撃を仕掛ける。

相手も足を地面にドッシリと着けて構えると右腕の筋肉を漲らせて攻撃の体勢に入った。

そして俺の踏み込みで足元の地面は大きく陥没させて地割れを起こし、受けた風が衝撃波となって周囲の木を薙ぎ倒していく。

しかし奴は逆に完全な待ちの体勢で動く気配はない。

互いの攻撃がぶつかり合った瞬間、俺の攻撃が上回りその巨体を大きく後方へと弾き飛ばした。

ただしこれは全てが俺の力というよりも奴が直前でこちらの攻撃力を察知して後ろに飛んだのが原因でもある。

あとコンマ1秒でも判断が遅れていれば俺の剣で奴の腹を掻っ捌いてやれたのに勘も良い物を備えているようだ。

その証拠に奴の爪はその全てが切り取られて無惨な姿を晒している。

しかし爪はすぐに伸び始めて元の長さを取り戻したので、これは爪の長さを自由に変えられるか再生系の能力を持っているのだろう。

または相手の強さを考えれば両方と考えるのが妥当かもしれない。


しかし先程の会話の流れから奴のプライドを圧し折る事は出来ただろう。

今は全身の毛を逆立て、爆発しそうな程の怒りが伝わってくる。


「ゴアーーー!!人間の分際でよくも私の体に傷を付けたな!」

「伸びてた爪を切ってやったんだ。感謝くらいしてくれても良いんだぞ。」

「舐めるなよ人間がー!」


今回の事で俺が攻撃力が奴の防御の上を行っているのは把握できた。

しかし攻撃を紙一重で躱した起点と瞬発力は侮れない。

そのため再び距離を詰めると大振りは避けて連撃に切り替える。

結局は俺に出来るのは接近して間合いに入り斬る事だけだからだ。


「おのれちょこまかと!」


俺は何度も相手の攻撃を躱しては浅く斬りつけて超至近距離のインファイトを仕掛ける。

しかし想定よりも相手の防御が高くてジャブの様な軽い斬撃では皮を軽く斬る程度しか刃が入らない。

しかも、ダメージに関しては予想通りというか、その程度の傷なら即座に治癒してしまう。

出来れば隙を突いて腕か足の1本くらいは奪っておきたいところだ。


しかし決め手に欠けたままの戦闘の中で先に動きを見せたのは相手の方だった。

次第にこちらの攻撃を躱し始め速度も増している気がする。

そして、とうとう俺の攻撃を完全に躱すと鋭い爪が俺の目前に迫って来た。

だが俺は事前に危機感知の反応が強くあったため既に回避の体勢に入っている。

それでも攻撃は鋭く頬を掠めて通り過ぎると見事に抉り取られて血が首まで流れ落ちてくる。


「驚いたな、体の大きさを変えられるのか。」

「それだけではない。先程までのは攻撃主体。これはあまり好きではないがスピードタイプと言う奴だ。しかしお前にはこちらの方が相性が良さそうだな。」


コイツは俺の攻撃を受けながらみるみる体を変化させ、10メートルあった体を4メートルまで縮小させている。

確かに人を恐怖させるならさっきの方が効果的だろうけど、俺にとってはこちらの方が脅威を感じる。


「さあ、第2ラウンドと行こうか!」


そう叫ぶと同時に魔物は先程までとは比べ物にならない速度で間合いを詰めてきた。

しかもその攻撃は格段に速く、こちらを十分に殺し得る威力を秘めている。

それは既にさっきの魔物の攻撃が俺の防御を抜いて頬を切り裂いた事で立証済みだ。

この時点で相手は俺の速度を上回り状況が大きく変わり、今まで攻めていたのが逆に攻められ体の至る所から血が流れる。

それを再生で回復させながら間に合わなければ回復魔法も併用して対応しているけど、警戒をしていた以上の強さに一方的に攻められていた。


「ハハハ!無様だな人間。この程度の雑魚ならば生け捕りすら出来そうだ。」


すると魔物の楽しそうな声を上げると顔が愉悦に歪んでいる。

それにどうやら言葉の通り弄り倒す事にしたのか攻撃の全てが致命傷になっていない。

そして戦いに余裕が出て来たからか魔物が戦いから思考を脱線させ始めた。


「良い事を思い付いたぞ。これから貴様の手足を切り取り、まさに手も足も出なくしてやろう。それからあの小屋の奴等を1人ずつ目の前で食い殺し。それぞれに手足を1つずつ残してお前の新しい手足として縫い付けてやる。そして、出来損ないの人形のような姿になった所であの御方に差し出し一時の御慰みとしていただこうではないか。」

「半分だけなら素敵な考えだな。」


俺はそれだけ呟くと今度はこちらが相手の攻撃を完全に躱して見せる。

別に俺の能力が上昇したのではなく奴の攻撃パターンが出尽くして俺のスキルにある見切りを発動した結果だ。

今迄もかなりの攻撃が躱せたのだけど、それだと奴の油断が消えて一気に勝負に来てしまう。

だから今までは全ての攻撃をあえて完全には躱さず受け続けていた。

もう如何に早くても俺が奴の爪を受ける事は無い。


「おのれ小細工をしおって!」

「小細工をする時間を相手に与えたのはお前だ。文句なら過去の自分に言え。」


しかし、これが好転に繋がるかと言えば否定するしかない。

このスキルが作用するのは躱すと言う一点のみで、カウンターは狙えても直接的な攻撃には作用しない。

ただし、ここで手詰まりなのは俺が1人だけで戦っていればの話だ。


「お兄ちゃん強化行くよ~。」

「私の愛で兄さんを強くして見せます。」

「アケ頼む。」

「私の存在を忘れてますよ!」


そう言われてもアケはともかくユウにはどう返せと言うんだ。

この非常時に冗談は止してもらいたいのだけど、流石のお兄ちゃんも困っちゃいそうだよ。


「ユウ、ふざけるなら後でお仕置だぞ。」

「兄さんからオ・シ・オ・キ!」


どうしてそこで顔を赤くするんだ?

まるで俺が妹に手を出して手籠めにしている危険人物みたいじゃないか。

これは後でしっかりと話し合っておかないといけないようだ。


そして俺は2人の魔法で強化してもらうと第3ラウンドへと突入して行った。

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