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恐怖!触手人間!!

 「知らない天井……ってここは……さっきまで戦っていた階層だよな…生きてるのか…あれ?足もついてる…」



 一張羅の革のパンツが革の半ズボンになってはいるが、確かにドラゴンに噛み千切られた足がそこにはあった。

 隣に人の気配を感じ、顔を横に向けると小さな銀髪の女の子がスヤスヤと寝息を立てていた。



 「ウネちゃん?」


 「むにゃ?…マスチャーおはようごちゃいます」


 「随分とちっちゃくなったね、それは足が治って俺が生きているのと関係があるのかい?」



 召喚当初のウネちゃんは俺よりも少し低いくらいで、年でいうと16才位だったが、今のウネちゃんはどうみても幼稚園児位でしかない。



 「はい、マスチャーの体が30%程が欠損してまちゅて、血液も限界以上に出血していまちゅた。皮膚の火傷も危険レベルを超えていまちゅたが、エリクサーも枯渇していて回復手段がありまちぇんでちたので、緊急手段としてわたちの体の細胞を使ってマスチャーの体の欠損部位や負傷部位を再現ち、血液等を補充ちまちた」


 「もう多少の事では驚かなくなったと思ったけど、本当にウネちゃんはすごいな」


 「そうでちゅ、わたちはすごいんでちゅ、特別にナデナデしてもいいでちゅ」



 今までのツンデレもたどたどしい言葉使いだと、余計に可愛らしく感じてしまうな



 「ヨシヨシ、ウネちゃんありがとう」


 

 小さくなった頭を慈愛と感謝の気持ちを込めてなでる。



 「マスチャーの体から発情した雄の臭いがちまちゅ、トカゲをたおちてレベルが上がって守備範囲が広がりまちたね」


 「俺は幼児に発情したりしない、勿論人妻透きでもないし至ってノーマルだ!」


 「サキュバスのようなメリハリのある体の子がタイプなんでちゅね、だから夜な夜なあんなエッチなことをするでちか」


 「ナ、ナ、ナンノコトヲイッテイルノデデデショウカ」


 「わたちは他の人間の性交は見たことがありまちぇんが、あれがノーマルだとはとても思えまちぇん、飛んだり跳ねたりぶら下がったり、変な道具をちかったり」


 「わあぁぁぁぁ!ウネちゃん!アイス食べよう!」


 「アイスと言うのはかつてマスチャーが言っていた氷菓子の事でちね、そんな物何処にあるのでちゅか」


 「い、今は無いけど無事に故郷に帰れたら食べさせて上げる、甘くて蕩けて美味しいんだよ~ほら、想像してごらん、甘く豊潤な香りのバニラアイスの上にモチモチした白玉を乗せて、そして小豆をかけて、ほら~想像してみようね~」


 「ふむ、また知らない食べ物の名前が出まちたが、わたちの直感が告げていまちゅ。白玉と小豆は鉄板だと!」



 ふう~甘味話で何とか話を逸らせたけど、流石ウネちゃん小さくなっても相手の痛い所をガンガン突いてくるぜ。


 起き上がって周りを見回すと、先程まで死闘を繰り広げていたドラゴンの亡骸が横たわっている。

 全長50m位はありそうな巨体に凶悪な面構えもさることながら、驚いたのはその外皮の硬さだ。

 まさか聖剣が折れてしまうなんて考えもしなかったわ。

 召喚されて一年足らずで勇者が脱退して、その時に忘れていった物を頂いたのだが、約6年も大した手入れもせず、俺の拙い剣技に付き合ってくれて感謝感謝だな。

 ここに置いておくのもあれだし、刀身はウネちゃんに収納してもらい、折れた柄は鞘に納めて背中に担ぐ。

 うん、やっぱり長い間ずっとこのスタイルだったからしっくりくるな。


 ドラゴンの死骸も収納しておこう。

 仰々しく鎮座しているこのでっかい魔石も収納して、ドラゴンと一緒に見せれば魔王なんていなかったっていう証拠にもなるだろうし、さっさと元の居た世界に送り返してもらおう。

 この世界も馴れれば悪くはないのだが、何分治安が悪い。

 盗賊に会うのはしょっちゅうだし、襲われている人を助けても、夜にその助けた人が襲ってきたりするし、スられるわ騙されるわ美人局に会うわ、いい加減嫌になってくるのだ。

 後、メシが不味い。

 後、ウォシュレットもない

 おい剣豪!ちゃんと内政チートしてんのか?もっと文化レベル上げてくれよ。



 「帰るか、ウネちゃん」


 「はい、マスチャー帰りに世界樹を全て採取して行きまちょう、エリクサーが有れば恐らくマスチャーの体も元に戻りまちゅ、となれば私も元の力を取り戻せまちゅ」


 「良いけど、全部採取していいのかな?他の人もエリクサー必要としてるんじゃないの?」


 「世界樹の木は非常に濃い魔素の中でしか育ちまちぇん、もうこのダンジョンはマスチャーがダンジョンコアを取ったために死んでいまちゅ、なので魔素が発生していませんので、マスチャーが採取しなくても、暫くすると枯れてしまいまちゅ。」


 「ふーん、あの大きな魔石がダンジョンコアなんだ、取ってきて良かったのか…まぁいっか、あれがないと帰れないもんな」



 それから1週間掛けて世界樹の群生している階層まで辿り着いた。

 行きがけは魔物がウジャウジャといて大変だったけど、帰りがけはあんなに居た魔物は何処へいったのか殆ど遭遇せず、来た時と比べると遥かに安全な道のりだった。

 行きがけに約半分の世界樹をウネちゃんの中に取り込みエリクサーに加工して、その全てをドラゴンとの戦いで使いきったのだが、それでも中々の数の世界樹が残っていたが、これも魔素を産み出し続けるダンジョンコアが無くなってしまったのでその内に枯れるらしい。

 どうせ枯れるならと、世界樹の若木数本は根っこからそのままで、後は全部エリクサーに錬成するために取り込んだ。

 いつか、世界樹が育ちそうな環境が見つかれば若木を植えてみても良いかもしれない。

 まぁ元の世界には高濃度の魔素で満ちている所なんかないだろうけど、そんときはそんときだ。

 

 そうして、大量のエリクサーをゲットして早速摂取すると、ウネちゃんのサイズは元の16才程度の容姿に戻ったのだが、俺の体は完全には元には戻らなかった。

 それでも見た目的には完全に元通りだし、機能的にも大方問題ないと言って良い、指先から媚薬粘液が出ることを除いては…

 どうやらウネちゃんの細胞が一部が完全に俺の体に融合したため、ウネちゃんのデフォルトの能力である媚薬作成能力が備わったらしい。



 「クスッ…何ですかそれは?そんなお粗末な媚薬放出では触手人間は名乗れませんよ」



 いや、断じて俺はそんな仮○ライダーの怪人みたいな者を名乗りたくはない。

 たどたどしい言葉のウネちゃんが懐かしいよ。


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