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すみません! 人違いでした!  作者: 緑谷めい


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17 モーリス再び







 今夜は「腹黒眼鏡」ことモーリスの家である、ボワレー公爵家主催の夜会に出席している。

 もちろん俺はオリーヴをエスコートしている。そしてコラリー嬢も一緒だ。彼女はまだ婚約者がいない為、父親であるベルモン伯爵にエスコートされてやって来たのだが、伯爵は会場入りすると、さっさと友人達(オッサン仲間)の所へ行ってしまったらしい。

 オリーヴが妹を一人にするのは心配だと言うので、ダンスタイムが始まってからも、俺とオリーヴとコラリー嬢は三人でワインを飲みながら、他愛ない会話をしていた。

 すると、モーリスのヤツが俺たちに近付いて来るではないか。

 何の用だ? お前とは先日、王宮で揉めたばかりだろ!


「よぉ、ルイゾン。こないだは悪かったな。ところで、そちらの美しいご令嬢を紹介してくれないか?」

「知ってるだろ? 私の婚約者のオリーヴだ」

「ちがーう! お前、ワザと言ってるだろ! オリーヴ嬢なら良く知っている。そちらの情熱的な赤い髪のご令嬢だよ」

 

 ちっ、仕方ねぇな。

「オリーヴの妹のコラリー嬢だ」

「ベルモン伯爵家の次女、コラリーにございます」

 コラリー嬢は挨拶をしながら、値踏みするような視線をモーリスへ向けた。

「こっちは私の幼馴染の ”腹黒眼鏡” 」

「雑! ルイゾン! 紹介が雑過ぎる! そして悪意を感じる!」

 めんどくせーな。

「なら、自己紹介すればいいだろ?」


 俺がそう言うと、モーリスは余所よそ行きキラキラ公爵令息スマイルを浮かべ、コラリー嬢の前に立った。そして、

「私はボワレー公爵家の三男、モーリスといいます。コラリー嬢、一曲踊って頂けますか?」

 と、コラリー嬢にダンスを申し込んだ。

「はい、喜んで」

 コラリー嬢はモーリスの差し出した手を取り、二人はフロアの中央に行ってしまった。

 まぁ、いっか。腹黒眼鏡も俺の婚約者の妹だと知った上で、おかしなマネをする程のクズではないはずだ。

「オリーヴ。私たちも踊ろう」

「はい。ルイゾン様」


 オリーヴはダンスがとても上手い。そして楽しそうに踊る。つられて俺も、何だか楽しくなってくる。

「オリーヴ。次の回転ターンは3回転半で頼むぞ!」

「出来ませーん!」

「アハハハハ」

「もうっ! ルイゾン様ったら! うふふふ」

 キャッキャウフフと踊る俺たちを、周囲が生温かい目で見ている。

 羞恥心? そんなモノは何処かに行った。ダンスなんて楽しんだモン勝ちだ。

 踊りゃなソンソン、ルイゾンゾンってな。




 そのうち、コラリー嬢とモーリスが俺たちの所へ戻って来た。

 モーリスはそのままベッタリとコラリー嬢にくっついて離れない。あからさまなヤツだな。

「モーリス。お前、今夜の夜会の主催者側の人間なんだから、挨拶回りに行った方がいいんじゃないのか?」

 俺がそう言うと、モーリスは、

「私は三男だからいいんだよ。それは父と兄の役目だ」

 と、しれっと答えた。


「モーリス様は御婚約者はいらっしゃるのですか?」

 コラリー嬢が唐突にモーリスに尋ねる。直球だな。

 モーリスが答える。

「それが、いまだにいないのですよ。私は三男なので婿入り先を探しているのですが、なかなか良い縁に恵まれなくて」

 性格が悪い所為じゃねぇの?


「まぁ。そうなのですか? 婿入り先をお探しで?」

 気のせいだろうか? コラリー嬢の金色の目が一瞬ギラリと光って見えた。ぞわっ。

 ものすごくイヤな予感がするぞ……

※ 次回、最終話です。

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