争いの日々、閉じるは奈落
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悲鳴と爆音が鳴り続く。周りでは武器と魔法を駆使し両軍が戦い続ける…… 絵に書いた様な戦場だ。
「やっと、辿り着いたぞ……」
俺の前に剣を持つ1人の男とその仲間であろう男女5人が並ぶ。皆、髪は濃淡はあれど金色で肌は透き通るように白く、耳は先が尖っている。俺達の敵、エルフだ。
「今日が貴様の命日だ……同胞の無念をここで晴らすっ!死ね!!『双刃の悪魔』!」
言うやいなやこちらに飛び出す男。俺は両手に力を込める。すると両手のオープンフィンガーグローブ(指の部分が根元から出るように切り取られた手袋)の甲に刻まれた魔法陣が反応し魔力によって構成された刃が甲から直接伸びる。
男は速い、魔法によって身体能力を強化しているのだ。本来の身体能力は人間と大差ないがそれを産まれながらの魔導の才で埋める。これがエルフの近接戦闘だ。
そう、今このエルフと相対する俺は人間だ。そしてそんな人間の中でも俺は優秀らしく並のエルフ『ごとき』では魔導も身体能力も俺には届かない。
「何ぃ?!」 男が驚愕する。
俺の目の前で剣を1番上まで振り上げた瞬間、その両腕に俺の手から伸びる刃をそれぞれ突き立ててやったからだ。
「隙だらけなんだよ。」男にアドバイスを与えてから刃を引き抜き、流れるように断頭する。
後ろに居たエルフの5人組が驚きの表情を浮かべる。コイツはそこそこ強かったらしい。
まあ、……そんな事は関係無い。敵を逃す理由も無い。
5人組に向けて全力で走り出す。さっきのエルフは中々速かったが俺よりは遅い。当然さっきのエルフをパーティの中心としていたであろうこいつらよりも速い。
5人の各々武器を構えるが話になら無い。前から順に殺す。
長剣を構えたエルフが俺を切ろうとするが遅すぎるのでそのまま首を刈る。その後ろの槍を持ったエルフも上におなじ。弓を持ったエルフが矢を放ったが俺の動きに合わせきれず虚空へ矢が飛んだので前2名と同じく首を刈る。杖を持ったエルフは詠唱の途中なのかパクパクと口を動かしている。そこに目を向けてしまったので何となく刃を口に押し込む。
最後の1人。白いローブを来たヒーラーであろうエルフは両手を胸の前で組み、自らの無事を祈っている。
「取り込み中悪いがここに神は居ないぞ。」
俺がそう呟くとこちらの顔を見上げ、絶望の表情で固まった。そう、もし居るのであればこんな救い難い光景は産まれていない。
最後のエルフの胸、ちょど手を組んでいる上からブスリと右の刃を突き刺す……。
ふぅ……ちょっと休憩をとろ…
「『双刃の悪魔』!。また同胞をゴミのように……許さんぞぉぉぉおお!!!!」
エルフには珍しく重量のある大剣を握るエルフの男がそう叫びながら俺の前に現れる。その後ろには男の仲間であろう男女が8人……
「さぁ、死ね!!悪魔が!!」
男が距離を詰めてくる。さっきのエルフより速い。……が、俺より……遅い。
次から次と。悪魔、悪魔、死ね、悪魔、悪魔、死ね、悪魔、死ね、死ね、悪魔………
なんだよ同胞の無念って、お前らの仲間の無念は晴らされるべきで俺の友の無念は関係ないってか?そもそも、……
「てめぇらから始めといて舐めた事ほざいてんじゃねぇよっ!、大人しく森に還りやがれぇぇぇ!!!!」
俺は目前まで迫った男を切り捨て、その後ろの8人を切り捨て、夜までに64人を切り捨てた。
夜、駐屯地近くの酒場でちびちびと酒を飲みながらボートしている。今日も激務だったな…。
「ケイド!今日も凄かったなぁ!!」
体も顔もゴツイ男が俺の座るカウンター席の隣に来る。こいつはゴードン・ガイウス、最近は近くに配置される事が多いので俺の戦果を良く見ているのだ。
「はぁ……俺も隊を組んで動きたいよ。」
「ガハハッ!、『四英雄』様でも戦場はキツいってか。」
『四英雄』は現在の俺達の国、アストテアラの軍属人材の中で上4番の者達の事だ。要するに国の命令で動く最高戦力。俺はそんな自覚は無いが……。
故に戦闘は基本的に単独になる。配置位置のみ指定され後は勝手に殺しまわれとゆうような感じだ。
「そうだな…戦場はキツい。敵は強くないがモンスター共を殺すのとは訳が違う……。」
そう、俺達は軍属だが普段からエルフを殺してる訳では無い。今は隣接するエルフの国、エラリオルからの侵略戦争中なのでこうして戦っているのだ。そして俺は人を殺す経験が余り無かったので心の方が辛いのである。1人だと尚更だ。
「…まあ、気にすんなや。殺らなきゃ殺られる。お前は間違っちゃいないよ。」
「ちょっと飲みすぎたか…ゴードンの奴があれだけ勧めて来るから……。」
俺は少しフラ付きながらも駐屯地へ帰っていた。
「ん?」
酔いとは違う、足の裏から軽く揺さぶられいる感覚がある……。
そしてその感覚は少しずつ大きくなり揺さぶられるから明らかな揺れに変わる。
…地震かっ?!
そう思った瞬間その揺れは爆発的に大きくなりバランスを崩し倒れてしまう。
「何だこれはっ?!」
その揺れは凄まじかった。両脇のレンガ造りの建物は1つ、また1つと次々に倒壊していく。それでも揺れは収まらない。否、それよりさらに大きな揺れとなって瓦解した街をさらに砕いていく。
ゴゴゴゴゴッ……。
鈍い音が響く。何と地面にヒビのような物が何本も走りそのヒビの囲われた地面からゆっくりと埋没していく。この街が地面諸共地の底に崩れて行くかのようだ。
これは本当にただの地震なのか?!ふと産まれた問に1つの答えが導かれる。
彼方向こう、エルフ共の陣営からおおおぉぉぉっと沢山の雄叫びの様な声がする。
それと同時に青白い発光体が何百本と降り注ぎ無差別に破壊を追加する。
あれはエルフの長距離射撃術式……。
俺は立ち上がりこの惨状を生み出したであろう敵の方を睨む。
「おい……マジかよ……」
まさかこの崩壊は奴らの仕業か?いいやそうに違いない。その僅かな思考の間にも大地は割れ。建物は崩れ、人は潰れていく。一刻も早く阻止しなければ……まずは奴らの陣営に乗り込んで術者を……
「うぉぉっ!?」
しかし、俺は奴らの元へは行けなかった。ボロボロと崩れていた地面がまとめて陥没し、その上に立つ俺も地の底へ引きずり込まれたからだ………。
こうしてエラリオルとアストテアラの戦争が終結した。
アストテアラのほぼ全ての国土が陥没したことによって………。