王国編Ⅰ
本編スタートです。
そういや俺の格好はなぜか袴になっている。
あれだ、これ成人式で着たやつだ。実家にあったやつ。結構昔のなんだけど、手直しと刺繍入れたせいで、いかにも輩が成人式で着るやつみたいだ。
実際ヤンキー上がりだけども。脱ぎたい。
そんで腰にはなぜかあの夢の中の刀が差してある。抜いてみようとすると、何故か抜けない。
つまり見せかけだ。コスプレ感ぱねぇわ。すぐ服買お。
牛さんは黒のドレスだ。
黒に金髪と白い肌が映える。胸元…。うーん、エッチ。
ガイはなんか、山賊みたいだ。
マタギみたいといえば、少し心象は良くなるだろうか。ワイルドな感じがマッチしてちょっとカッコいいと思ってしまう。
いや確かに、野生の時はやってること山賊だけども。
兎にも角にも知らないとこに来てしまったんだから、なんとかせねばなるまい。
「生物がもっとも必要とするもの、それは水だ。ということで、水を探します!」
「なら、こっちだな。多分川あるぜ。」
なに?やはり野生の勘というやつなのか?
10分余り歩くと本当にあった。すげー。
いやー、うまい。まるで仕事終わりのビールだな。ビール飲みたくなってきた。
「んじゃ街どこにあるかわかるか?」
「んー、それはわかんねぇけどなぁ。足跡はあるから追ってけばいずれはつくんじゃねぇか?」
なんだこの熊は有能すぎやしないか?
人類は水源の近くから発展するものだ。多分川があるなら近くに街があってもおかしくはない…はず。
「お腹空きません?」
ハナさんは食事をご所望らしい。
ここは有能クマの出番だろ。
「ガイ、お前の狩りの腕見せてくれないか?」
ちょろいわ。
「あぁいいぜ!ちょっと待ってな!」
あれだな、サバイバルに必要なものはクマ一頭だな。本来なら出会いたくないランキングぶっちぎりで一位だけども。
しばらくしたら、ガイが獲物をとってきた。
結構でかい鹿だ。鹿ってこんな角してたか?
でも肉は火通さんとな。火起こしなんて俺には無理だ。こう異世界なんだからパッと火を点けれないだろうか。こう、魔法的な感じで「ボッ」と。
ん?ボッ?
ハナさんが火をつけてる。え、マジでできんの?なんなんだろうか、このお二人さんは。
「おお!助かるぜ!ハナさん。」
「いえいえ、レオさんあと少しで焼けますからね!」
「あ、あざす。」
有能すぎる。こんなの俺の立つ瀬がないじゃないか。
てか牛さんは肉もたべれるんだね。