1.「ニートと神を名乗る少女」
この度はこの小説を選んでくださりありがとうございます。
初の作品ですので拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただければ幸いです。
「お前生きてたの?自殺しろって言ったよな?」
「いい加減死ねよwww」
「なんなら今でもいいんだよ?ほらナイフwwww」
そこら辺の小学生より非力な彼女は、三人に囲まれあっという間に裏路地へ連れ込まれた。薄暗く人通りの少ない裏路地で彼女を助ける者はおらず、通る者も我関せずといった様子で横を通るだけであった。
「離せよ!そんなに弱い者いじめがしたいなら幼稚園児でもいじめてたらいいだろ!なんで毎回僕なんだよ…」
「お前幼稚園児より弱いだろww」
「なんでってテメェのいかにも被害者だって面がムカつくんだよ」
彼女の必死の抵抗も空しく、三人に見動きを封じられてしまった。
「一人なら殺れたのに…。僕は何もしてないのに…!畜生がぁ!」
泣き叫ぶ彼女の背中に三人組は何度もナイフを突き立てた。ヘラヘラ笑う三人の顔を睨み続け、数秒後視界が暗転した。
「僕死んだんだなぁ」
東雲響華は中学でいじめられ不登校になり、それ以来自室でネトゲ三昧になってしまった。いわゆるニートだ。一応通信制の高校に入学はしたが、続くはずもなく中退。それからは落ちるのが早かった。半年で貯金が尽き、小遣いなんか貰えず積みゲーを消化して欲求を抑えた。
中でもハマっていたのはFPSだった。小学生の時に親戚の家で初めてやったのがFPSで、元々男寄りの趣味な彼女がのめり込むのにそう時間はかからなかった。
多くのプレイヤーがアサルトライフルやショットガン、スナイパーライフルといった高威力の武器を使う中、いつもハンドガンだった。初めは皆と同じようにソ連のAK-47をメインに使っていた。
しかし、世界大会TOP3のプレイヤーに与えられる報酬としてゴールドとシルバーの対になるデザートイーグルを貰ってからはプレイスタイルが大幅に変わった。
サブウェポンで通算10000Killすると貰えるスキル『ツインアーモ』を使い、サブウェポンであるハンドガンをメインウェポンとして二挺持ちしRichWraith、大金持ちの亡霊という通り名で数多くのプレイヤーを屠ってきた。
「またレイプゲーかよ…。敵弱すぎ。新しいゲーム欲しいなぁ!」
そんなある日、唯一の友人に3000円ほど借りる為数年ぶりに直射日光を浴びた。父に挨拶をし、飼い猫を撫でて玄関を出る。
「ちょっと出掛ける。お昼前に戻るから、僕のご飯も取っておいてね」
「外出するなんて、雪でも降るのかしら」
私に向かって母はそんな冗談を言った。しかし、これが響華が最後に聞いた家族の声になってしまった。いや、正しくは此方の世界で最後に聞いた家族の声だ。家を出てすぐのコンビニの前で元いじめっ子達に会ってしまったのが運の尽きだった。
それからどのくらい時間が経っただろうか。彼女は眩しさを覚えゆっくりと瞼を開いた。
「あれ?僕死んだんじゃ…。それにここは…?」
目を覚ました場所の周囲を見渡すが、周りは薄暗く数メートル先に玉座のようなものがあるだけだった。
「目を覚ましたか、小娘」
周囲を警戒していると玉座の方から女性の声が聞こえてきた。そちらに目を向けると、そこには白いドレス風のワンピースを着た背丈一四〇センチ程で身長の倍程の長い金髪の少女が座っていた。
「えぇと…、あなたは誰?それと僕より年下に見えるけど」
状況をつかめず頭を掻きながら問う。
「たわけ、小娘が。妾はお主の世界でいう神という物じゃ。今年で三四九歳になる。お主の二十倍は生きておる」
神を名乗る少女は玉座から飛び降り、長い髪を白く細い指で弄ぶ。
「か、神様ですか…。ここは何処ですか?それに僕は…」
「妾がお主の魂を一時的にここ、神の間に留めておるのじゃ。して小娘よ。お主は人間の世界で死んだのじゃったな?」
少女は響華のもとへ歩みを進める。
「は、はい。そうみたいですね。ははは…」
「死んで早々で申し訳ないが、お主に二つの選択肢を与えよう。一つ目は普通の死者のように天界で成仏を待つ。二つ目が記憶など諸々そのまま別の世界へ転生するか…じゃ。選択後に三つだけ願いを聞いてやる。不老不死は出来ぬぞ」
そう言い響華を見据える。自称神のこの少女には見た目からは想像も出来ない威圧感があり、その威圧感の中に慈悲の光が見え隠れしてゆく。
「本当に急ですね…。でもこのまま終わりは嫌です。後者でいきます!」
響華の声が薄闇の無限空間に木霊する。
「良い目をしておるな。転生する世界じゃが、そこはとても貧富の差が見られ未だに奴隷制が現役な世界じゃ。お主が考えるより遥かに惨たらしいこともほぼ毎日行われておる。その世界である国を救って欲しいのじゃ。よいか?」
「はい…。でも救うって…」
どんな状況で、どう助ければよいのかと思考していると少女が口を開いた。
「簡単じゃ。その世界では長い戦争が行われておってな。お主はげーむという物が好きなんじゃろ?それのように敵対する勢力を殺すんじゃ。どうじゃ?やめるか?」
「僕やります。たった一つの国を救えばいいんでしょ?」
胸の前で手を組み、今度は響華が少女を見据える。
「お主に決めて正解じゃったわ。そこでお主の願いを三つ決めて欲しいのじゃが」
「それならもう決まってます!」
「今時の子は決定が早いのぅ。では聞かせてくれ」
これから決める体でいた少女は感嘆する。
「はい!まずは現代兵器を出せるようにして下さい。戦車や軍艦、核とかは要らないです。何らかの制限付きでもいいです。それから基礎ステータスの底上げを。そして最後に…」
「最後に?」
やや空いた間に少女が首を傾げる。
「あなたと一緒に行きたいです!」
「は、はぁ!?妾とじゃと?何を考えとるのじゃ!?妾と一緒だったらもうチートじゃないか!?」
想定外の回答に少女は慌てて反論を展開する。
「だって神様と会えたんだもん。一緒にいたいぃ。」
「わ、わかったからこの空間で暴れるでない。いくら神の間とて鉄壁ではないのだぞ」
床に寝ころび暴れる響華に少女が掴みかかる。しかし互いに肉体は非力な故拮抗状態の綱引きのような状況になってしまう。
「お主の願い聞いてやる。では転生準備に取り掛かるぞ。起きるんじゃ」
そう言い少女は響華の手を引き座らせる。
「転生ってどうやるんですか?」
「妾との…っぷんじゃ…」
「ん?」
大事なところが聞こえず少女の顔を覗き込むと、耳まで真っ赤に叫んだ。
「妾との接吻じゃ!」
「え、えぇ!?」
驚き一歩退くと、少女が自棄になり迫ってくる。
「目を閉じるのじゃ…。方法は知っておるが、妾も初めてな故勝手がわからんのぅ」
そう言うと少女は響華の頬を両手で包み、顔を近づける。言われた通り目を閉じた数舜後、響華の唇に甘く柔らかい感触が伝わる。
未知の体験に思考を放棄した響華と少女を青白い光が包み込む。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
「ニートJKは異世界でもレイプゲーを繰り返す」第一話、いかがだったでしょうか。
誤字脱字等ございましたら、コメント等でご指摘いただければ嬉しいです。
急で下手な百合展開ごめんなさい。本当はもう少し凝りたかったぁ。
いよいよ次回からは異世界での生活が始まります。なるべく一定の間隔で連載できればと思います。
では、この辺りで閉じさせていただきます。
次回以降も読んでいただければ幸いです。