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8 村は戦場だった?

岩山を破壊したことはバレずに済んだ。

みんな鬼の事で大騒ぎしていたから気が付いていないんだろう。良かった。


昨日のうちに塩を買っていたのであとは帰るだけ。例の若者が街を観光したがっていたがそんな余裕があるわけないじゃないか。


「うわ・・・」


昨夜現れた鬼の一部がまだ現地に残されていた。

街道から少し外れた川の中にあるのだが、街道からちょうど見えている。

巨人だった。既に半ばは解体されているが残った腕だけでも人よりデカイ。


「鬼がこんなところに出てくるなんて、お婆の話で聞いた事しかない」


タカも巨人の腕を見て驚いていた。

しっかし、こいつを倒す街の兵隊は凄いよな。

そんなこんなで山道へと入り、夜営である。

夜営場所が少し違うので一昨日出会った狼は来なかった。


異世界モノならあの話がフラグで街で領主に会うとかあるハズなんだが、現実はそんな物語ではなかった。つか、俺にはラノベ主人公みたいなチートは無いんだよな。エアガンで獣が殺せる以外には・・・

今のところ、魔王ウンヌンな話も無いし、この世界には冒険者や英雄は居ないらしい。

そもそも、俺は誰かに召喚されたのではなく、何かの間違いで飛ばされたに過ぎない。

このまま、のんびり過ごしていた方が気は楽だよな。ガスと弾はどう補給すればよいか分からんが・・・


帰り道で例の特異点で元通り!


なんてことは起きなかった。そりゃそうだ。簡単に帰れるなら、街の領主だって街をつくってやしないだろう。


「村の方がおかしい」


ハナとコロが街道に出た辺りから警戒している。

タカも何か気付いたんだろう。弓を構えている。

俺にはよくわからない。


「猪だ。狸も居やがるのか?」


タカが街道にいる人影を見て警戒感を更に高めた。

何が起きてるのかよくわからん。俺には獣か人かすら見分けが付かないんだが・・・

だって、二足歩行だぜ?俺の認識じゃ、二足歩行なんて人か猿くらいしか居ない。それ以外を瞬時に判断するに足るスキルや経験が無いんだよな。

俺には背丈からそれが人としか判断が付かない。

これが経験の差だろうか。


そういえば、異世界冒険モノって簡単に敵だの魔物だの察知して戦えるのってチートスキルだっけか?

俺がぼんやりそんなことを考えていると服を引っ張られた。

引っ張ったのはタカだった。


「奴らに見つかるぞ」


猪って鼻も良かったかな。よく知らんが。

風は向かい風、においで簡単に発見はされないだろう。

村に居る間にみた地形からすると・・・


「ちょっと街道脇を登って見ても良いかな?」


俺は偵察出来そうな場所を見付けていた。

タカも同じだったらしい。

俺はリュックから迷彩服を取り出して着替えると走り出した。

街道脇から登って行く、するとそこには狼がいた。


「人か」


狼があまり興味無さそうにすぐに視線を前方に向けた。


「あんた、なにやってるんだ?」


何故だが襲われないという安心感がある、一昨日の狼もそうだが、威圧感が無い。


「人の群れがどうなるか見ているのさ。この騒ぎで人の群れが居なくなれば縄張りが変わる」


なるほど、興味はそこなんだ。

ここから見下ろすと村がよく見えた。

騒ぎは表の門だけでなく、周囲で起きているらしい。守りの薄い裏口辺りでは人が柵の前で戦っている。


「狼・・・」


来たのはタカだった。狼が居ることに一瞬躊躇いを見せたが、敵意が無いと見るや無視することにしたらしい。


「撒き餌で大方は表に集まっているな。裏口のあれは・・・、来るのが早いだろ、なんで居るんだ」


タカは何かを見付けたらしい。


「ヨシフル、すまんが裏口を頼む。表は俺達がやる」


「了解」


さて、どうしたもんかな。

とりあえず、M95を取り出してみる。岩山がだいたい300メートルは離れていたハズだから、ここからあの集団を狙うことも可能だろう。


ダットサイトの後ろに3倍の専用サイトを取り付けて猪を見る。何とかなりそうだ。

1発撃つと予想以上の威力に驚いた。

ヤバイなんてモンじゃない。着弾した猪3匹が吹き飛んだ。何だよコレ。

威力はモデルになった実銃のそれをベースにしていそうだ。6発発射するから、それらがすべて実弾並の威力なら、うん、数発で肉片になるのはわかる。

デタラメだ。デタラメ過ぎるぞコレ・・・


「ほう、なかなかの魔砲よな」


狼が隣で感心している。

俺は唖然としたが気を取り直して更に撃つ。

肉片と肉塊を更に量産する。

5射だけで二桁近く数を削れた様だ。あまりこいつを使うと人にまで被害が出かねないのでそろそろM4に持ちかえる。


「それじゃ」


一応、狼に挨拶して裏口へとかけ降りていく。

こちらに気付いた猪から順に狩っていく。何だろう。頭が吹き飛ぼうと、腹が抉れようと気にならない・・・

5マガジンほど撃ち終えると立っている猪や狸は居なくなった。


「何者だ、魔砲師らしいが、おかしげな服を着て」


村で見たことが無い人に声を掛けられた。

そりゃこっちの台詞だと言いたかったが、何かがその人物に飛び掛かった。

こいつは、猿?人と違いは見られないが、少し顔が変?赤い。


「お前ら、動くなよ」


猿が喋った。今更驚くところはそこではない気もしたが。


なんだかヒッヒと言いながら飛び掛かった人の鎧を外している。


「そこの緑、こっちにこい。あ、その筒は捨てな」


俺?


「お前だ」


猿は更にヒッヒ、ヒッヒと、怪しく騒がしい。


俺がM4を置いて近付くと更にハァハァ言い出した。キモイ。


「お前が脱がせ」


飛び掛かった相手から離れずにそう指示する。


「お前、何ムグ」

取りつかれた人は口を塞がれた。


猿は後ろに居た人が動いたのを見逃さずに何かを投げた。

「見物人は邪魔するな」


やはり、ハァハァうるさい。さらに、何をしたのか取り付いた人が脱力する。

倒れるのを俺が受け止めた。まあ、今更だが、取りつかれたのはテンプレ的な事に女性だ。女騎士、いや武者ですね。鎧からいえば。

などと非常に別のことを考えていると自分が居た。

これ、あれだろ?この女性助けてさ、冒険はじまる。みたいな?


やはりハァハァうるさい猿が間近に居る。


「ほら、脱がせ」


目を血走らせている辺り、こいつはダメっぽい。

言われるままに・・・、これ、どうやるの?

わからなかった。


「これだ、ほら、あとはお前が脱がせ」


猿の鼻息が荒い。ハァハァうるさい。

女性はうんうん唸っているが、体に力が入らないらしい。

俺は猿の言うがままに着物を脱がした・・・

慎ましやかなチッパイで・・・


「ほら、ヤる事はひとつだ」


目が血走りよだれ散らしていう台詞かよそれ・・・

「お前らも待っていろ、見世物はもうす・・」


猿の頭にSIGの弾を叩き込んでやった。

「無礼者が!あ」


猿の呪縛から解放された女性ははだけた着物を纏うと立ち上がろうとして猿に躓いた。可愛いお尻が丸見えですよ。


「このっ」


チッパイさんに思いっきりひっぱたかれた。




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