2 ムラ、或はワ?
集まった人達は着ぐるみを見て回ってる。あ、今槍で突いた。
「これ、全部お前さんがやったのか?」
着物男がそう聞いてくる。
「そうだけど・・・」
ソレが一体何なのか、俺にはよく分からなかった。いや、分かりたくないんだ。
「魔砲で倒せる数には思えんが、見慣れない魔砲だな」
着物男はM4を見つめている。
「撃ってみますか?」
俺は着物男にM4を差し出す
「いやいや、魔砲なんて魔砲師にしか扱えない」
そう言って遠慮しているが引き金を引くだけで誰でも撃てると説明して握らせた。
カシュン
あれ?今のはただのBB弾だな。木に当たって跳ね返った。
「あれ?ちょっと失礼」
カシュン
何故だ、俺が撃つと木にめり込みやがった。
「ほらな、どんなカラクリか知らないが、魔砲は俺にゃ扱えないだろ」
唖然としている俺に着物男がそう言ってくる。
そして、目に触れないようにしてきたが、沢の下流で着ぐるみの解体が始まっている。
「で、あんた誰?」
先程からずっと隣に居るハナと呼ばれた女性が聞いくる、
「ああ、俺は秋山好古」
すごい名前だろ。知らない連中からは笑われ、知っている奴に似合わないと言われた。
たまたま秋山だったから真之か好古でと、某大作家ファンの親父が名付けたらしいが、かなり迷惑している。
「ほう、秋山とは、どこのお貴族さんかね?」
着物男がそう聞いてくる。つか、貴族?いつの時代だよ。
「秋山だけど、貴族や武家とは関係ない」
「ブケ?貴族じゃないのに苗字持ちなんてな。よほど有名な魔砲師なのかい?」
そう言えば、マホーシって何?
「面白い奴だな。魔砲師はお前さんみたいに筒の術で相手を倒す技使いの事じゃないか」
何言ってんだ?と顔に出ている。
「珍しくハナが人見知りしないんだ、自分の狩った肉なんだから、あの猪持ってかえれ」
「いや、帰る場所が・・・」
そう、帰るっても、ここは何処でどうやって?ジムニーも消えてるのに。
「じゃあ、うち来る?」
「犬が勝手なこと言ってんじゃねぇよ。まあ、修行か何かの途中ってんなら来いよ。村にいる間はお前さんに警戒してもらえば楽できそうだしな」
着物男がそう言ってわらう。
「おっと、そうだ、俺は村の狩頭をやってるタカってもんだ。よろしくな」
タカは着ぐるみ改、猪を解体している連中に呼ばれていった。
ハナが付いていかずに隣に居る。ケモノ耳・・・
頭を撫でようと手を出したら叩かれた。
「無断で尻尾さわる変態が」
じゃあ、何で隣に居るのさ・・・
その後、俺も呼ばれて解体された肉を持たされた。
つか、二本脚で歩いていたモノを解体するとかなんか気持ち悪さとは別の何かに襲われるよな。犯罪的なさ・・・
「ほら、あんたはこれ持ちな」
解体していたオッサンに解体部位を渡された。いや、もう、バラバラ殺人にしか見えないんだが・・・
何故、直視出来てれるかって?そりゃおまえ、あまりに現実感に乏しいからだよ。
「しかしまあ、いくらか魔砲だからって、頭飛ばしたらせっかくの珍味がなぁ~」
うん、フレンチにも中華にもあるね、ナントカの脳ミソ・・・
あ~、いきなり気分悪くなった・・・
嬉々として解体が続く、中にはケモノ耳の少年も包丁片手に解体に参加している。
「へ、凄いだろ、うちのコロには解体覚えさせたんだ。こいつの親も包丁つかえるぞ」
確かに、解体出来るのは凄いと思う。思うんだが、俺の疑問はそこじゃない気がするんだが。
残ったゴミを埋めて彼らに付いていく。
どれくらい歩いただろう。集落が見えてきた。
まあ、タカが着物だったからある程度予想はしていたが、まるで再現された遺跡だよ。
知ってるか?倭国の由来は集落の周りを壕で囲っていたからだと言う説がある。自らの集落を「わ」と呼んでいたって言うんだ。まさかな・・・
「ここだ」
タカが門に併設された櫓に声をかけると門が開かれる。
外から見えた縦穴住居と思われた屋根は倉庫らしい。住居はうん、様式は少し違うが縦穴住居で間違っていない。