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12 鬼退治には犬だけ連れて?

「ヨシフル!」


周りを忘れて弾が切れないことに喜んでいた俺はその声で我に返った。

声のした方を見るとタカたちが鬼の死体を解体しているところだった。


「これも食うのか?」


そういうと呆れたような顔をされた。


「さすがに無理だろ。毒はなかった筈だが、まずくて食えないって話だ」


なるほどと思って鬼を見る。デカイ。多分8mくらいあると思う。そして、さっきも思ったがこれと言って鎧のようなものは着けていない。そうそう、何とかの巨人は筋肉骨格標本よろしくアレやナニは分からないが、こいつにはちゃんとナニが付いている。つまりオス。腰に巻いてるだけだもんな・・・


まるで関係ない話だが、こいつがフルプレートだったりしたらどうだろう。こんな沢筋歩けやしないだろう。

そりゃあ、この巨体なら人間が矢や槍で攻撃したところで大した攻撃にはならん。しかし、多少破壊力があるものを持ち込めば撃退は簡単にできる。

するとだ、ロボットも同じだよなと思ってしまう。戦車砲のAPFSDSはもちろんの事、RPGをはじめとした対戦車火器があれば、8~10m級のロボは恐れる必要はない。

なんせ、APFSDSやRPGの弾頭であるHEATってやつは500mmや1000mmの装甲を貫通できる。戦車の装甲なら防げるって?あれは複合装甲と言って、セラミックの多層構造なんだよな。戦車砲弾やRPG弾頭ってやつは一般の徹甲弾が装甲を強引に裂いて進むのに対して穴掘るように穿って進む。セラミックはそのエネルギーを金属より多量に消費させるから、半分程度の厚みで受け止めることが出来る。それでも半分程度、400mmとかいう分厚さになる訳だ。しかも、セラミックは脆いから通常の砲弾が当たれば簡単に割れてしまう。割れるのを防ぐために、通常弾用の装甲も必要になる。結果、現代の戦車の装甲厚は第二次大戦期の戦車の二倍から三倍は優にある。重量がそこまでではないのはセラミックが鉄より数段軽いからに過ぎない。


ロボットにそんな防御力を持たせるのは現実的か?確かに某宇宙が舞台のロボならデカイし可能かもしれんが、地上が舞台となると不可能だ。二足歩行は的がデカイから狙いやすい、この鬼のように・・・

じゃあ、四足は?昆虫みたいに六足や八足は?となるのだが、冗長性や接地圧の問題で履帯には敵わないという問題が出てくる。二足のロボがだめなら多脚戦車ってなるけど、やはりそれは今のタイヤ式装甲車程度の存在にしかならない。しかし、車輪に対して多脚構造が複雑になるのでデメリットが多くてメリットが少ないという問題がある。ラッパ吹く少女が主人公の多脚戦車とか虫みたいに動いてるんだけどね。

結局、歩行型巨大ロボットってアニメではカッコいいけど現実には使えないって事になってしまう。


おっと、何の話だっけ?そうそう。鬼が甲冑やフルプレートだったら俺のM95でも容易に倒せなかったかも知れないが、そもそも、こんな沢を自由に闊歩は出来ないって事だ。


「よし、埋めたら一度村へ帰るぞ」


俺がつらつらそんなことを考えていられたのも、警戒班だったからだ。

暫くすると撤収の号令がかかって撤収した。


「街でも鬼が出たと言っていたからこれで2騎目か。鬼は4騎から8騎の群で居るそうだからまだこの辺りに居るかもしれん」


村に帰って早速おばあへの報告が行われ、そんな話になった。


「まだ居そうなのか?」


「あの沢自体が海へ向かう川の支流に当たる、村や街とは別の流れになる。街に出た鬼がたまたま違う沢へ降りたんだとしたら、残りの鬼が向かったのが浜の一帯だとすれば、知らせが来るのは早くても10日は掛かる。が、この間の獣共が鬼に追われて出てきたのだとすると、この辺りに他の鬼どもが居ると考えるべきだろうな」


どちらにしても情報がない。10日も待っていて、この辺りに4騎だ6騎だと大量の鬼が現れては一大事だ。俺が倒した鬼が街で倒された鬼を探していただけなのか、それとも、群の見回り役だったりするのかで話が違ってくるようだ。どっちなんだろう。


「とにかく、何もわからないところで話し合っていても仕方がない。ヨシフルの魔砲で倒せることは分かっているから、ヨシフルとハナ、魔弓を使えるアイであの沢を遡ってもらおう。それから、タカはコロと狩人数人を連れて街の山沿いあたりを探ってもらいたい」


なんと、チッパイさんって魔弓師だったのね。


「ちょっと待って。何で私がコイツと一緒に山に入らないといけないの?私がどうなっても良いの?」


俺を見るなりチッパイさんはそんなことを言い出す。


「夫婦なのだから問題なかろう。すでに一つ屋根で過ごしているではないか」


おばあはシレっとそういう。チッパイさん、何も言えずに俺を睨む。

皆がそんな俺たちに生暖かい視線を向けてくる。いや、だからね・・・


そんなわけで、俺たちが沢の上流、タカチームが街周辺、まあ、ここから旧街道沿いだな。残りは村の警備という配置になった。


これ、鬼退治なのに犬しかいないのは良いんだろうか?猿はまあ、アレは無理だ。まさか鬼のツガイをアレがヒイヒイハァハァ言って煽ってるナニを俺たちは見たい訳ではない。雉は・・・、居るのか?ハーピー族みたいなのって。チッパイさんが呆れた目で見てくるのを見ると、居ないんだな。きっと・・・


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