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Black Paladin ~聖騎士団第十三部隊~  作者: Noire
序章 日陰の騎士たち
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優しすぎる騎士 その2

「お疲れ様。すごいねえ、それ」

「いえ、まだ未熟で…」

「謙遜することは無いって。ほら、疲れたでしょ?宿舎に戻ろう」

 一仕事終えた、とエルは帰りの支度を始めた。アイリスはフローレに手を差し伸べている。


「あ、あの」

 少しよろしいですか、と、彼女は三人に声を掛けた。

「ん、何かあった?」反応したのはエル。

「その、私…魔物が殺せないんです」

「え?なんで」


「ええと…」と、少し言いよどむフローレ。

「魔物が『造られた命』だと、分かってはいるんです。でも、殺すことに抵抗があって…」

「そうなのか?」

「はい。…というか、虫も叩けません」

「ふうん…。優しいんだな」

「い、いえそんなことはっ」

 彼が何の気なしに言った言葉だったが、フローレの顔はさらに赤くなっていた。

 その後ろでニヤニヤしているアイリス。

「やるなあ、エル」

「…何がだよ」


 フローレが続ける。

「こんなんじゃあ聖騎士失格だとは分かっているんですが…。すみません」

「いや、そんなことないよ。そんな聖騎士もいて当然だし…」

「そ、そうなんですか…?」

 彼女は少し目を潤ませている。

(ちょ、その目で見ないでくれ…)

「だ、だよなぁ、みんな」

「うんうん。聖剣ない人だっているし」

「それ俺じゃん」


 とにかく、とエルは話を区切った。

「そんな事、うちじゃあ何の関係もない。これからよろしくな、二人とも」

「わかりました」

「は…はいっ!」

「いやぁ、戦力増強だねぇ」

 帰路につき始める四人。その表情は明るかった。



 新人が十三部隊に配属されて半月が経った。

 防衛の任務に慣れてきたフローレ達。チーム全員の息も合ってきて、やがて追い払う「戦術」という物が確立されてきた。


「今日も行くよ〜!」

 アイリスの号令。それと同時に、アルバートが聖剣を解放する。

 狙うは、敵陣の後方。当てるつもりの無い威嚇射撃なら、味方を巻き込む確率が低いのだ。


「よそ見してんなよっ」

 乱れかけた陣形の中央に、エルが突っ込み、戦力を分散する。

「何だコレ…超戦いやすい。連携って大事だなあ」

 散り散りになった敵たちをできる限り誘導するように、エルやアイリスが引き付け、あるいは追い込む。


 そして、魔物たちが向かう先には、フローレが待ち構えている。

「皆さん、ありがとうございますっ」

 彼女が聖剣を解放し、敵の戦意を削ぐ。魔物たちは満足そうに帰っていった。


 ある程度固まっている相手に対して彼女の能力は有効である。その為、幅広く広がる敵陣形を崩し、ひとまとまりにさせてから使えば、効率よく追い払うことができるのだ。


「いやあ、アルバート君すごいねえ。この『山羊追い戦法』」

「いえ、僕は皆さんの能力を生かせる方法を考えただけですよ。この戦術を実行に移せる皆さんがすごいんです」

「参謀か…そういえばうちは、特にそういう事を気にせずにやってきたからなぁ」

「そう…なんですか?」

 そんな話をしながら、もう慣れた帰路につく。四人はすっかり仲良くなっていた。


 四つの歯車がかみ合い、動き出した。これが、物語の幕開けなのだ。

 これから始まる、聖騎士たちの物語。



(2017/08/08 改修)

長くしたい…とは言いましたが、この話は短いかな…?

精進していきたいです(^^)/

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