少女を救いに
「この騒動に一枚噛んでいるのは…聖騎士なんですか!?」
「ああ…マーリンから話は聞いていた。『赤い蠍』がガストと繋がっていることは知っていたが、どうしてこんなことを…」
聖騎士が賊と内通し、この事件を起こしたのならば…。それは、許されざる行為だ。
だが、あえてその罪を犯したのは、何故なのだろうか?
「エル、奴らの拠点、場所知ってる?」
「ああ、把握してる。あいつは危険だからな」
「今すぐ助けに行こう!フローレちゃんの命が危ない…!」
いつになく動転しているアイリス。仲間想いの性格もあって、こんなにも慌てているのだろう。
エルはそれを受け止め、そして言った。
「もちろんだ。俺も、仲間が死ぬなんてごめんだからな」
それに呼応するように、アルバート。
「…僕も行きます。罠かもしれませんが、こんなことをする人は許せません!」
最後にアイリス。
「みんな…ありがとう。行こう!」
三人の決意は固まった。そして。
地下室に続く廊下から、マーリンも姿を現した。
「君たち…私も混ぜてはくれないかい?」
「マーリン!?お前…」
救世主登場、と言った感じで、少々かっこつけている。
「…お前、外に出て大丈夫なのか?ずっと引きこもっていたのに…」
彼女が盛大にずっこけた。
「失礼な…。私だってたまには外に出るのだよ」
「…目的は?」
「お菓子を買いに」
「やっぱりな」
とにかく、と話を区切るエル。
「お前が仲間なら心強い。作戦は成功したも同然だ」
「…え?マーリンさんって、そんなに強いんですか?」
「見てればわかるさ」
四人は歩き出した。仲間を救うために。
すでに日は落ちている。火災の煙のせいか、空は雲がかかったようになっていて、星は見えない。
そんな空の下に、その屋敷はあった。
…いや、屋敷と表現するのは、いささかおかしいかも知れない。そこにあったのは、「要塞」とも表せるような建築物だったのだ。
「しっかし…。街中は似つかないよな、これ」とエル。
「浮いてるよね…。ミズキのお家とは違う意味で」
「さあ、行こうか。俺たちに楯突いたこと…後悔させてやろうぜ」
「おー!」「了解!」「行こう!」
エルの号令を合図に、まずアイリスが聖剣を解放する。
「『解放』センチネル・ウォール!!」
現れた光の壁が、建物全体を取り囲んでいく。護るためではなく、逃げ場を奪うために。
エルが正面から突っ込む。当然、何人か立ちふさがるが、それを剣の一振りでなぎ倒す。
「死にたくないなら、道を開けろ…っ!」
彼の切り開いた道に、後の三人が付いて行く。なぎ倒された者たちは再び立ち向かおうとするが、謎の力によって押し戻される。
誰も、四人に近づけないのだ。
「それ、新しい魔法道具か?」
「ああ。『敵意を持つものを遮断する』ってやつ」
「便利だな…てか、それ虫よけに使えかったのか?」
「『虫よけ』から構想を得たものだからね。できたのは最近さ」
そしてエル達の目の前に現れたのは、巨大な門。
「大きい…!先輩方、こんなものどう開けば良いのか…」
「…開かなきゃいいんじゃない?」
「…え?」
アイリスの言葉を聞いたアルバートが振り返ると、エルが暗黒の力を迸らせている。
「壊すんですか!?でも…」
「大丈夫だ」
彼が剣を突き出す。
「やあっ」
刹那。空間に青い閃光が走った。
その後、爆発のような衝撃が辺りを襲う!
空気が震える。轟音と砂煙の中、エルが姿を現した。
「な?大丈夫だろ?」
砂煙が晴れると、扉の部分だけが、跡形もなく消え去っている。扉の向こうにいた兵士たちが恐怖におののいていた。
「…いえ、これからも戦いがあるのに、そんなところで剣を壊してしまったらと…。」
「…しまった」
剣は音もなく崩れ落ちた。
「エル…。そんなとこで天然発揮しないでよ」とアイリス。
「すまん…剣ならあいつらから奪うから」
彼が兵士たちを指さすと、それは一目散に逃げだしていく。
「奪えるかな…?」
「たぶん…な」
戦いは動き始めた。物語が、一つの山場を迎えるのである。
マーリンさんが便利キャラになってしまってますね…
気を付けます(´・ω・`)




