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Black Paladin ~聖騎士団第十三部隊~  作者: Noire
第一章 紅蓮の剣
10/21

騎士団議会

 ミラディアンの王都、シュワイゼンは、国の中央に位置する大都市だ。魔物の侵入を防ぐため、他の都市とは転移魔法具によってのみ結ばれている。

 活気の溢れる街、健康的な住民…。エルたちの住まう南街と比べれば、ここの素晴らしさはすぐにわかるだろう。


 また、ここは上位三部隊の本拠地でもあり、住民たちの信頼と尊敬を得ている。…十三部隊とは大違いだ。

 王都の中心、シュワイズ王城を歩くエル。定期的に行われる騎士団議会に出席するため、この場に赴いたのである。


「おい…アイツって…」

「異端児…」

「悪魔の子って噂だぞ…?」

 聖騎士とすれ違うたび、心無い陰口が聞こえる。どれだけこれが彼の心に刺さった事か。

(そんなのは…もう慣れたけどな)


 大広間の扉を開き、議会に入場する。すでに半数以上の隊長が集結しているようだ。

 椅子に腰かけると、そのほぼ全員が彼のほうを見た。

「…何だよ」

「いいや、何でもないよ十三隊長」

「………」

 どこか軽蔑したような目をしているのは、第三隊の隊長。それをエルは睨みつける。

「…そんな怖い顔をしないでくれよ。我々は仲間だろう」

「先に挑発したのは、どっちだ…」

「おっと…、やるのかね?」


 火花を散らす両者。そこに、ミズキが割って入る。

「二人とも、やめよ。ここは決闘場ではないぞ!」

「「………」」

 ちっ、と舌打ちをして、相手方がエルから目を逸らした。

 ミズキがエルに目配せする。

(気にするでない。いつものことじゃ)

(ああ…ありがとよ)


「「「騎士王殿下、入場!!」」」

 暫くして、この国の騎士王、ロマノフ・A・アルフレッドが姿を現す。

「やぁ…久しいな、勇敢なる騎士たちよ」

 尊大そうな態度で、円卓の真ん中に着席した。


 議会が始まる。

「本日の議題は、迫る魔物たちへの対策、そして軍備の拡張についてだ」

 騎士団議会は、騎士王を中心に各部隊の隊長十三人で構成された会議だ。主にそこでは、国の政策や防衛について話し合われるのだが…


「王よ!これ以上の増強は必要ないのでは…?」

「…俺は賛成だ。この間俺の守る北街に怪物が侵入してきた」

「僕もだ。王都の連中と装備が違い過ぎる…!」

「…そうか。では、第七と第十一部隊の装備を特に増強、それで良いな…?」

「「感謝します、騎士王殿下」」

「……」

 恐るべき点は、ほとんどの部隊、いや、ほとんどの聖騎士が騎士王に賛同している事。軍備拡張に反対する、エル達のような者の意見など通らないのである。

 そして、それは同時に、騎士王の権限は絶対であることを示す。ほぼ独裁政治と変わらないのだ。


「それでは、議決を取る。賛同者は挙手せよ」

 ほぼ全員が挙手をする。決定だ。

「…おや?第五部隊長の姿が無い様だが…?」

 騎士王が問う。見れば、その席は空席となっている。

 そして、その時だった。

 …傷だらけの騎士が、議会に飛び込んできたのは。


「申し上げます…!賊たちが、南街に火を放ち暴動を起こしました!」


「…何だと?現在の状況はどうなっている」

「我ら第十部隊が鎮圧致しましたが…被害は甚大です。死傷者も多く…」

 その被害の割に、何の兆しも無かったとその兵士は語った。

「分かった。南街担当の部隊長はすぐに戻り、現場の状況を確認せよ。治療班をもつ部隊は、それを派遣し給え」

「御意」

「議会は中断とする。行け!」


 予知しようがなかった事件。しかし、エルは(まさか…)と思う事があった。

 街に着くなり、彼は全力で走った。破壊された市街、混乱する民衆をかき分けながら。

「あ…エルさん!」

 十三部隊の宿舎もほぼ全壊している。アルバートがこちらに気づき、呼びかけていた。


「大丈夫か?みんな怪我は…」

「そんな事気にしてる場合じゃないよっ」

 アイリスが涙目になって訴えかける。

「フローレちゃんが…攫われた!」

 言って、その場に泣き崩れる彼女。そこにエルは声を掛けた。

「大丈夫だ。もし攫うなら、人質としてだろう。すぐには殺されないはずだ」

「で、でも…奴らが今何処にいるか、分からないんだよ!?」

「大丈夫だ、絶対に見つけ出す」


 エルは真剣な表情で、二人に言う。

「みんな、心して聞いてくれ。今回の事件の裏にいるのは恐らく…」

「…恐らく?」

 それは、あの時マーリンに聞いた名前。

「聖騎士だ。第五部隊の隊長、ガスト・ガーフェイントだ」


最近はスマホのメモ帳で小説を書いています。

でもそれをPCに転送するのが難しいんですよね…

コピペしてメールに貼り付けて、そのメールをPCで受け取ってコピペして…

大変です(´;ω;`)


(2017/08/08 改修)

改行の修正…、あと、指摘のあった点を少しだけ加筆しました!

いつもありがたい感想ありがとうございます(*'▽')

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